まつお文庫からのご案内

仙台市若林区中倉3-16-8にある家庭文庫です。水・土の3時~6時(第2土は休み)どなたでも利用できます(無料)。

今月の詩 ’14年3月

2014-03-11 18:42:22 | 文庫のページ
    やさしいけしき   まど・みちお
 あちらには 山
 こちらには 海

 川が 山のたよりをあつめては
 マラソンで
 海へ おくりとどけ

 雲が 海のたよりをあつめては
 うたにして
 山へ おくりとどけ

 天から
 日
 月
 星が
 ほほえんで 見おろし

 そして なんおく年
 とうとうある日 生まれでてきました
 かずかぎりない 生きものたちが
 笑いさざめきながら…

 この やさしいけしきを
 もっと やさしくするために
   (『まど・みちお全詩集』理論社)

  まど・みちおさん、たくさんの詩をありがとう!
 2月28日、まど・みちおさんが104歳でお亡くなりになりました。1909年山口県徳山市に生まれたまどさんは20代半ばから詩を書き始めました。100歳を過ぎても詩作を続けましたので、80年近く、現役の詩人として活躍しました。1992年に出版された『まど・みちお全詩集』には1100編以上の詩が載っています。この詩集が出版されてからも20年以上たっていますので、その数はもっと増えていると思います。すごいですね。
 曲がついて歌われている詩もたくさんあります。「ぞうさん」が最も有名です。その他にも「ふたあつ」「やぎさん、ゆうびん」「ふしぎなポケット」「一ねんせいになったら」「ドロップスのうた」など、一度は聞いたり歌ったりした人も多いと思います。
 『まどさんのうた』(童話屋)は、まどさんの詩を取り上げながら詩人阪田寛夫さんがまどさんについて書いた興味深い「まど・みちお論」です。たとえば、まどさんの「まちかど」の詩を取り上げながら、「まど・みちおさんの心に、明るい窓があって、みんなが見すごす大事なものを、ちゃんと見てくれている。『まどさんは まいあさまいばん 空のましたで まじめに まどしてる』のである。」と書いています。「つけもののおもし」や「ぞうきん」「けしゴム」「蚊」「おならはえらい」などの詩を読むと、ものがそこに存在していることの確かさに感動します。
 「はひふへほは」や「くちびるたいそう」「がいらいごじてん」など、ことばあそびの楽しさや日本語の持つ豊かさをうたった詩も多く、文庫では声に出してたくさん楽しませてもらいました。「今月の詩」で選んだ「やさしいけしき」のように広大な自然や宇宙の崇高さをうたった詩も多く、まどさんの世界は広いなぁと改めて思います。子どもから大人まで楽しめる世界です。
 まどさんの詩集を展示しています。この機会にまどさんの詩の世界をどうぞ親子で楽しんでみてください。どれかひとつでも好きな詩に出会ったら、覚えてみませんか。
コメント
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