「黒井健絵本ハウス」は黒井健さんの絵本の原画が展示してある素敵なミュージアム。ほんとに近くにあるのに、なかなか行けなくて年一回何とか行っている。今年もお客さまに勧められてやっと先日行ってきた。「だれかがぼくを」の原画が展示してあった。この絵は5年も描くことができなかったと黒井さんが書いていた。重い題材の絵本だったが、海の色の変化からお花畑に変わり見事に表現されていた。 表紙のカバーの裏に作者・内田麟太郎さんが、「わたしは六才で生みの母を亡くしている。まもなく新しい母が来てくれたが、愛されることが薄く、その面当てにヤクザになろうと考えていたときがある。その継母も晩年には「愛さなくて、ごめんね」と謝ってくれたが。今、ヤクザになることはなく、絵本の世界にいる。どうしてだろうか。それは顔もおぼろげに憶えていない母が、「りんちゃん、かわいい」「りんちゃん、かわいい」と、くり返してくれていたからだと思う。母はそうくり返しながら、わたしを抱きしめてくれたにちがいない。わたしはむろん微笑んだだろう。 本を書くということは、人を信じ言葉の橋を架けることである。荒んでいたわたしのこころに宿っていた人への信頼。わたしは引き返すことが出来た。母がくり返してくれていた、言葉の力で。」と書いている。
庭が秋の風情になり、大満足している。紅葉したと思っていたツリバナがもう散り始めた。ツリバナの紅葉は美しくて、散って落ちても見苦しくない。今日は久しぶりにスズメガ(この前あなたは誰と書いていたら、蛾の一種と教えてもらった)を見た。また一生懸命蜜を吸って働いていた。
大分前に、友人の母上が使っていた足踏みミシンをもらったが、そのまま納戸に入れっぱなしにしていた。本体をはずして、きれいに磨いて、2階の出窓に飾ったらとても素敵な置物になった。よく見ると丁寧に作ってあってきれいに飾りが書いてある。日常に庶民が使うものがこんなによく作ってあることに感動した。いま私たちが使っているもので、何十年もたってもなお美しいものがいくつあるだろうか。
今年はスズメバチが何ヶ所も巣を作り、どうしたものかと悩んでいた。友人宅にも巣を作ったと聞いた。蜂用の強力な殺虫剤を買ってきて、かわいそうだが退治してもらった。庭で立ち話をして家に入ってしばらくしたら、太股がガラスか何かで刺されたように痛くて何事?と思った。スズメバチがキュロットスカートの下から入って刺したのだ。これで4度目、どうなることと思ったが痛いだけでおさまってホッとした。死に至ることもあると聞いていたが、刺された場所が良かったのか。去年は手の甲を刺されてすごく腫れて病院に行ったが、冷やしておくしかないと言われただけだった。スズメバチは黒色が好きだとか、そういえばキュロットスカートは黒だった。