雪の朝、ナナが天に帰って行きました。
清泉寮で保護されて、保健所に連れていかれる前日に可哀そうだからと連れ帰った
人から私の友人を経てミューで飼うことになりました。
前に飼っていたチロが19歳で天寿を全うしたのですが、犬小屋を片づけるのが忍び難く
そのままにしていたのを見た友人が「犬小屋もあるし」と連れてくることになってしまいました。
前の犬も捨て犬で、今度もし犬を飼うなら子犬を飼ってみたいと思っていました。
ナナは置いて行かれた猟犬で、見た目は可愛いとは言えず、怖いような感じでした。
見かけによらず、トラックを見るとおびえて草むらに飛び込んでしまうような気弱な犬でした。
放浪中に怖い目に合ったのでしょう。
散歩の途中など、スキを見て良く逃げられました。
猟犬だけあって、走るのが早く、美しい流線型になって走っていました。
こんなに元気なナナでしたが、一昨年あたりから後ろ足が弱り目も白内障になり、
耳も聞こえなくなって、チロと同じ順序で老いて行きました。
毎年お正月にお出でになる犬好きなお客様が「今度来るときはもうナナには会えないでしょう」
と言われました。春まではと思っていましたが、お正月を過ぎてから衰えが激しくなり、とうとう
旅立ちました。
去年の夏ごろからは朝日が登る頃になると吠えて、お客様のある日はドキドキでした。
その内、昼間は静かに眠っているのに夜になると吠えて、私を悩ませました。
可愛そうでしたが、お客様のある日は吠えれないように、口にケースのようなのをつけました。
心残りはいっぱいありますが、鎖からも解き放たれて美しい流線型の姿で空を駆けていることでしょう。
ナナ有難う。