芭蕉の老いの自覚
令和3年3月4日(木)
初句の修正句は、
めでたき人の
かずにも入らン
老のくれ
必死で生きる追い詰められた状況と
そのような生活を見せびらかす
ような心が潜む。
芭蕉にも自分に対して矛盾する評価
がある。
その二重性を言表するには、
ひらかなの茫洋とした「めでたき」
のほうが複雑な心根を表現している。
と、師匠は語る。
「年のくれ」は平凡すぎるから、
「老いのくれ」に変えた方がと
何となくすわりがよい。
「老い」と「暮れ」とのハーモニー
もよい。響き合う感じ。
これでよいか。
芭蕉は満足しない。
「かずにも入ン」がやや不明瞭。
めでたき人の
数にもいらむ
老の暮れ
「いらむ」で少し「えっ」という感じ。
そこで、「入む」という平凡で
わかりやすい表現として、
納得の最終句となる。
めでたき人の
かずにも入(いら)む
老のくれ
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