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『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
ここでは、気軽に読めるエントリーを記していきます^^

[映画『バンテージ・ポイント』を観た]

2008-03-20 18:52:53 | 物語の感想
☆予告編を何度も見ていたが、予告編では、この作品の傾向がいまいち分からなかった。

思ったのが、何人かの主人公の「視点・主観」で、大統領暗殺事件の真相が二転三転するストーリーのようだった。

「ああ『羅生門』かあ」とは思ったのだが、画面は派手なアクションが展開されていた。

公開されて、各種のネット映評を覗くと、かなり評価が高い。

私は楽しみにしていた。

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黒澤の『羅生門』(原作は芥川龍之介の『藪の中』)は、物語や思想、主張、議論といったものを突き詰めて考えた時、必ず立ちはだかる問題<それぞれの主観>をテーマにしていた。

黒澤作品においては、イタコの口を借りた死者にまでも真実を語らせないという人間の業を描いていた。

私は、黒澤作品がビデオでは発売されていなかった17,8年前に、NHK衛星で放送された『羅生門』を見て感動した覚えがある。

だから、その後『アイアンメイズ』や、天海祐希主演の『ミスティー(だっけ?^^;)』など、『羅生門』にインスパイアされた作品と聞くと、異常に気になった。

しかし、『バンテージ・ポイント』の舞台は、現在である。

このハイテク情報記録機器が行き渡った時代である。

それぞれの主観の出る幕ははないはずなのである。

とにかく、私は、楽しみにしていた。

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いやはや、面白かった。

ここ数日、『魔法にかけられて』『ケロロ軍曹3』と、傑作ばかりで楽しい毎日だ^^

・・・なんなんだろう・・・?

とにかく、構成が緻密であった。

緻密と感じさせないハリウッド風の娯楽的見せ方の「緻密」であった。

集会での大統領暗殺の場面が、複数の登場人物の視点で繰り返し語られる。

   テレビ番組の制作者たち
   大統領警護のシークレット・サービス
   舞台となるスペインに旅行に来ていたアメリカ人
   女に惚れて、その頼みごとを聞いた刑事
   集会を見に来た母と娘
   テロリストに弟を捕らえられ、その要求通りに動かなくてはならない殺し屋
   大統領
   テロリストの女活動家
   テロリストのリーダー

正午12時から12時半までの30分が何度もくり返されるのだが、その内容は、それぞれの視点ではない。

微妙に客観的な視点がちりばめられている。

そして、その5,6回くり返される30分間は、単純な並列ではなく、リピートを続けつつ、核心に至る情報が徐々に足されていく。

それが、知的に、実に心地良いのだ^^

いわゆる「アハ体験」を連続させてくれるのだ。

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私が危惧していたハイテク時代の、暴かれる『羅生門』とは異なっていた。

ハイテクはハイテクとして、実際の犯罪者を記録していた。

しかし、30分の間のことなので、その瞬間においては、個々の登場人物の主観に頼るしかないのだ。

<ラショーモン>の形式を借りつつ、娯楽大作として、観ている私たちが満足できるオチを用意してくれている。

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全員が主人公だが、特にシークレット・サービスのバーンズ(デニス・クエイド)が良かった。

過去の事件(大統領を暗殺から救い銃撃される)にPTSDを抱え、精神安定剤を飲みつつ現場復帰しているのだ。

挙動が不審で、かなり頼りない。

私は、このバーンズが黒幕だったりして? などと思いつつ見た。

まあ、バーンズは悪ではないと言っておく。

そこをネタバレしても、考える選択肢は無数にあるからだ。

わずか、わずか40分後、バーンズが異常に頼もしい男に復活する様は、スタローン映画並みにスカッとする。

これは、挫折した親父の再生の物語である。

もう一人の生き残りし主役の親父も、妻と不仲で傷心旅行中だったのだが、愛を復活させる。

ちゃんと人間ドラマとしても成立しているのだ。

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数年前に、『メメント』とか言う、つまらない物語をモンタージュし、奇を衒った駄作があったが、

この『バンテージ・ポイント』は、モンタージュを駆使しなくても面白い作品になっただろう。

足によるチェイス、カーアクション、爆発、ガンアクション・・・、それら一つとっても「極上」であった。

皆さんも観に行ってほしい。

傑作である・・・。

                        (2008/03/20)

[映画『超劇場版 ケロロ軍曹3』を観た]

2008-03-20 15:26:40 | 物語の感想
☆チビの姪っ子と甥っ子を連れて、『超劇場版 ケロロ軍曹3/ケロロVSケロロ 天空大決戦であります』を、いつものMOVIX昭島に観に行った。

MOVIX昭島は、『ドラえもん』『ワンピース』『ライラ』と子供向けの作品が目白押しだったのでメチャ込みだった。

MOVIX昭島が、開館20周年記念で、千円均一と言うこともあったのだろう。

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子供らは、『ドラえもん』が観たい風もあったのだが、それでは私が辛かった。

『ドラえもん』や『ポケモン』ってのは、主人公達に毒がないので、物語の幅に限界があり、初見の子供ならば楽しいだろうが、子供の頃から見ている私には、展開が読めて飽き飽きしてしまうのだ。

その点、『ケロロ』や『しんちゃん』は、そもそもが毒入り(^^;)なので、物語的に冒険が出来るのだよね。

「悪は善を内包している」って訳だ^^

初期の映画『ドラえもん』の、ジャイアンやスネ夫みたいな立ち位置だな。

まあ、今や、テレビ版のジャイアンやスネ夫でさえも、「いい奴」に骨抜きされてしまっているが・・・^^;

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さて、『ケロロ3』である。

感動した。

不覚にも、私は泣いてしまった。

テーマは、「友情」と「リーダー論」であり、

悪のケロロこと<ダーク・ケロロ>との戦いの中で、段階を追って、非常に論理的にそれが語られていくのである。

もちろん、北朝鮮を模したギャグなど、毒も盛りだくさんだ。

<ダーク・ケロロ>は、圧倒的な力で、ポコペン(地球)を侵略していく。

ポコペン人は、謎の電波で、<ダーク・ケロロ>の操り人形と化す。

しかし、ケロロ軍曹は、「そんなやり方は良くないのであります。そもそも、地球は私が侵略するのであります」と立ち上がる。

しかし、<ダーク・ケロロ>たちの力は強大で、ケロロ小隊の兵たちは、何度もやられる。

ケロロが世話になっている冬樹は、なぜか「操り人形」と化することはなく、ケロロと協力し合うのである。

<ダーク・ケロロ>は、「何で、あのポコペン人は、あんなバカ(ケロロ)に協力するのだろう?」と疑問を持つ。

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<ダーク・ケロロ>の居城は、空の天空城にあり、物語の随所に、高さの強調が見られた。

冬樹は、ホバーバイクで、雲海を突き破り、

夏美は、操られながら、<ダーク・ケロロ>の巨像造りの現場で、足場をスルスルと降りる。

気絶したケロロは、天空城から落ちて行く。

高さの演出は、宮崎駿には及ばないけれど、

落下するケロロを仲間たちが助けた時、隣りに座っていた子連れの奥さんが、思わず身体をビクリとさせていた^^;

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しかし、所詮は、子供向けのアニメのヒロインに過ぎない夏美なのに、

何で、あんなに、身体のラインがエロいんだろう。

そのなで肩、腰の艶かしい曲線・・・、私は見惚れるのだ。

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仲間たちが終結した時、<ダーク・ケロロ>は、それぞれに、仲間を認識できないリングをはめてしまう。

『ドラえもん』の<石コロ帽子>みたいなものだ。

そうして、それぞれの「友情」などというものが、所詮は見かけだけのものと分からせようとする。

しかし、仲間達はそれぞれ、<約束の地>を目指す。

そして、お互いがお互いを見えない中で、ガンプラを組み立てる。

私は、ここで、泣いた。

そして、ここからが凄かった。

『ガンダム』最終回のパロディをやり始めたのだ。

製作会社はサンライズだし、バンダイや角川書店とのつながりもあるので、権利問題にはならないのだろうが、

それとは別問題で、ここまで精巧なRX-78は、もう、これ以後、大画面では見れないのではなかろうかと思い、驚いた。

ガンダムの足の裏があんなになっているなんて、初めて知った^^;(とてもリアル!)

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私は、そこがクライマックスと思いきや、物語は更に続く。

ケロロと冬樹の友情を壊すべく、<ダーク・ケロロ>は、「仲間を認識できないリング」の効果をアップし、お互いに悪い相手の幻影を見せる。

しかし、冬樹の友情が、それを打ち破るのだった。

「お前のようなやり方では、王になれない!」

とか、ケロロは諭す。

が、それでも、<ダーク・ケロロ>は、

「一人でも、こんなポコペンは治めてみせるぅぅぅ」

とか言いながら、最終兵器を繰り出す。

そして、最後の天空大決戦となる。

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・・・ただ、私は、アンゴル・モアちゃんが、<最後の審判>を発動してくれたら、戦いはさっさと済んだと思うのだ^^;

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この作品の世界観は、『うる星やつら』的だなあと思いました。

特に、二重人格者が、多数、市民権を得ているところなどが^^;

また、天空城の地下回廊の存在が『カリオストロの城』を彷彿とさせた。

物語展開の妙も、初期の宮崎アニメのようなうまさを感じた。

最後のクレジットの背景で語られる<ダーク・ケロロ>の「その後」も良かった。

・・・私は、非常に楽しみました^^

昨夜、『バンテージ・ポイント』と言う傑作を観たのだが、満足度では、こちらも負けませんでした。

PS.地下通路の天井を這う小雪のお尻も可愛くて、そのシーンなど、物語上意味なく、ちょっと足を滑らして、水面に飛沫をあげさせるような演出も良かった^^

                           (2008/03/20)