『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
ここでは、気軽に読めるエントリーを記していきます^^

[映画『愛と誠』を観た(二観目:吉原の太夫)]

2012-06-19 23:44:15 | 物語の感想

☆実は、今日は、彼女もバイトも本職もない、完全なるオフの日であった。

 運が良いのか悪いのか分からないが、台風襲来の日だったし、朝から映画を一本見て、外食し戻ってきたら、小学6年生の姪っ子が帰宅していた。

 この子は、ヤンキー物が大好きなので、再観を決めていた『愛と誠』に、「行くか?」と聞くと、二つ返事で「行く!」とのこと。

 規制が「PG12」なので、ちょうど、この姪っ子は解禁の歳だ^^

 ・・・私は、なーんか「心にフィットする作品」を見ると、その面白さの理由が気になり、何度も見てしまう傾向がある。

 本日行った<ワーナーマイカル・武蔵村山>もまた、客が一桁しかいなかった^^;

   ◇

 確かに、一度目に見たときよりは、はるかに新鮮さがなくなったが、それでも、2時間強の「やや長い」上映時間はあっという間に過ぎた。

 いや、そもそも、この作品には、ちょっと冗長な点がある。

 おそらく、長大な原作と折り合いをつけるギリギリのタイムラインなのだろう。

 例えば、メインの登場人物は、必ず、ミュージカルで一曲持たされる。

 それぞれのキャラクターには、それぞれのエピソードがあるはずだ。

 しかし、それを全て語っていたら、テレビシリーズで2クールは必要とするだろう。

 だから、歌い踊り、それで、その人の背負っている「物語」を力づくで理解させてくるのだ。

 でも、その「冗長さ」にも「力づく」にも、必ず、フォローが入り、長所への転換が為されている。

 ミュージカルシーンでは、一人の個性を表わすために、全ての曲がフルコーラス歌われて踊られる。

 私は、「三番まで歌うのかよ^^;」と苦笑いするも、例えば、繰り返される、岩清水を演じる斎藤工の「イッちゃった動き」や「底抜けの愛の賛歌の笑顔」、そして、そのステップや手の振りを、

 あたかも「東京オリンピック」での市川崑監督のような、アップのカメラワークで、丹念に執拗に取り上げていることで、俄然、こちらの興味を引く。

 続く、武井咲のミュージカルシーンにおいては、その「あえての拙さ」の、あまりにもの可愛らしさに目が離せなくなる。

 これも、三番が歌いはじめられ、その時、私は「ああ、もうちょい、なんか恥ずかしい可愛さを堪能できる!」と嬉しくなった。

 振り付け担当のパパイヤ鈴木、凄いわ。

 ごっつい顔して、この「可愛さ」抽出には敬服する。

 誰も語らないので、いちお記しておくが、

 ここでの振り付け(その所作・媚びる目の動き)は、江戸時代の吉原の太夫の踊りを髣髴とさせる。

 「純喫茶」で働かされるメイド姿の武井咲も、なんかメンバーそれぞれの動きが全然シンクロしていないのに、総体で見ると、完成していて、なんかエロいのだ。

 お立ち台に上がらされた武井咲の足先から「絶対領域」、ミニスカの裾へと舐めていくアングルの、イヤらしくないイヤらしさ^^

 ・・・何かの欠落があると、映画を構成する要素の何か一つが、常に補っている。

   ◇

 そして、舞台が花園実業になるのだが、そのあまりにもの「無法地帯」描写があり^^;

 あらたなキャラクターが大挙として登場する。

 ガムコ、由紀、座王権太・・・。

 この作品は、ギャグの「間(ま)」・「テンポ」が秀逸で、それで笑わせられるところが多い。

 しかし、なんちゅうか、ガムコは、うまいのだが、たまに「間(ま)」が0.01秒ズレるときがある。

 それは致命的な「シラケ」に繋がるときもある。

 だが、ガムコのガムを噛むクチャクチャ音などを強調させたり、

 新人の転校生・誠に因縁吹っかけるも、ちょうどクラスの中で野球をしていたバッターの打球(硬球)を、コマ落とし的なテンポで、頭にくらうなどして、

 常に、絶対、見ている者の心に楔(物語への興味)を打ち込んでくるのだ。

 ・・・続きは明日に書きます^^(注:この続きは、三回目を見てから書きまする!!!)

                                                  (2012/06/19)


[映画『裏切りのサーカス』を観た]

2012-06-19 19:34:22 | 物語の感想

☆東西冷戦下、英国の、対ソビエト諜報戦の物語。

 主人公ジョージ・スマイリー(ゲイリー・オールドマン)が属しているのは英国MI6で、話のメインが「英国諜報部(通称サーカス)内に潜む二重スパイを探し出す」であるので、

 物語は、雰囲気的に、英国諜報部の「見えない敵からの防戦」あるいは「内紛」的だ。

 派手な爆発や銃撃戦はなく、初老を迎えたゲイリー・オールドマンが、その外見・演技と同じく、内部調査を堅実に、粛々と行なっていく。

 私などはすぐに、そもそもの「二重スパイ」がスマイリーで、それがオチになるのだろう、などと考えていたのだが、

 この作品は、その類いのエンターテイメント作品ではなかった。

 ひたすらに、携帯などない時代の諜報戦をリアルに、重厚に描いていく。

 ・・・最初から、それ(スマイリーがニ重スパイでないこと)だけでも分かっていれば、こちらも、もっと余裕を持った鑑賞が出来たのになぁ・・・。

 そのリアルさに、私も酔いしれればいいのだが、残念ながら、私は、そこに退屈さと、リアルさ重視故の「物語の起伏のなさ」を感じてしまった。

 「サーカス」内の裏切り者候補は4人(それぞれ通称:ティンカー・テイラー・ソルジャー・プアマン)で、

 私は、その4人が推理物においての容疑者のように、スマイリーの捜査の俎上に繰り返し上がってくるものと思っていたのだが、そこら辺は、捜査の帰結として、一人の二重スパイが浮かび上がってくると言う展開となり、ちょっと拍子抜けした。

 そして、その「浮かび上がり」なのだが、4人の容疑者がそれぞれ、ソビエトとのバーターでの情報取引があり、私は「オリエント急行殺人事件か?」とも思ってしまったもので、

 実は、その中に、真の機密事項を漏らしている二重スパイがいる、と言うことなのだが、

 最終的に、4人の内から一人が二重スパイとして抜きん出ている、という、展開上の納得できる理由が見当たらないのも辛かった。

 ただ、二つの、意味は分からないが、何となく効果を持つ演出がある。

 それは、ソビエト諜報部KGBの大立者である非情な男・カーラと、

 諜報戦には直接的な関係はないが、スマイリーの奥さんがいて、

 この2人、作中で、姿を現わさないのだ。

 現わさないことによって、国際諜報戦の闇の奥…、情愛の理由のなき深さ…、が、作品に物理的なスケール感と心理的なディープさを付加してくれていた。

 作中の折々とエンディングで、、かつてのリーダーのもとでのメンバーとその家族のパーティー風景がカットインされる。

 いいシーンではあるが、この硬質な作風の中では、そこに情感は起こり難い^^;

   ◇

 かつてのリーダー(通称:コントロール)を演じたジョン・ハートの風貌の味わいはいいね。

 私が初めて知ったジョン・ハートは、中学のときに観た「エレファントマン」の主役だ^^;

 思えば、不幸な出会いだ・・・。

 紅一点役のスヴェトラーナ・コドチェンコワは、こりゃ、かつてのナスターシャ・キンスキーみたいな美しさ^^

 私も、こんな女のためなら、作中の若い工作員と同じく、危険を顧みず助けに走り、最後の賭けに出て・・・、そして、スパイ引退し、余生を仲良く暮らしたいと願います^^

 ただ、彼女の結末と、冒頭の、ブダペストでの赤ちゃんを抱いた母親の流れ弾による死は、作品の傾向を表わしていますが、私的には見ていて辛い展開だった・・・。

   

 それから、作中に、別個に2組のシリアスなホモが出てくるが、登場人物の数に比べ、ホモ・パーセンテージ高過ぎ!!!^^;

                                                   (2012/06/19)