[冤罪防止（前編）]

☆・・・ポスティングバイトの事務所は立川にあり、その日その日の現場に、事務所でチラシの束を受け取り、私の場合は電動自転車に積み込み、そして、現場に赴く（他のバイトはほとんどバイク）。

　その事務所は、簡単に言うと、事務室と、チラシの保管室の二個室がある。

　保管室で、その日に持ち出しするチラシを用意する。

　私はいつも、朝の８時に赴き、社員の方に、その日の現場についての書類を受け取り、その書類に書かれた数量のチラシを用意する。

　で、その日に配るチラシを用意したら、社員さんに数量などを確認してもらい、現場に出かける。

　しかし、私は大体、社員にチェックしてもらった後、１時間ほど前に朝食を食べての、ほどよくこなれた腹からウンチョス君を出すために、事務所でトイレに行ってから出かける。

　ポスティングの現場では、なかなかウォシュレットを完備した公衆トイレなどはなく、事務所でスッキリしてからポスティングに集中するといった流れが定着している。

　トイレは、事務所の中の、チラシ保管室にあるのではなく、事務室のほうにある。

　作業者は、基本、その事務室にはあんまし入る用はないが、トイレに行くときには入室する。

　早朝の時間帯は、社員は一人しかいない。

　社員が交代で朝のバイト受付をする。

　で、その社員はチラシ保管室のほうで、バイトの対応をする。

　事務室には誰もいない。

　誰もいない中を私はトイレに向かう。

　・・・と、いつも、女性社員のKさんが早朝担当の時は、事務室に置かれているKさんのカバンの中から、長財布が見えているのである。

　これがいつもいつも気になってしょうがない。

　私はもちろん、その財布を盗むなんてことはしない。

　しかし、私が現場に向かった後に、他のバイトがトイレを使い、魔が差して、その財布をちょろまかすなんてことは往々にしてあり得る。

　で、犯人探しが行われた時に、「あっ！ ミドランはいつも必ずトイレに行くので、あいつが盗ったんだ！」と濡れ衣を着せられるかもしれない。

　私は、それが気になって気になってしょうがない＾＾；

　ポスティングしてる途中でも、今、事務所のほうではKさんの長財布が紛失して、私が犯人候補として社員の間で話題になっているかも知れない・・・。

　もう、Kさんが早朝担当の時は、それで頭がいっぱいだ。

　だが、昨日のポスティングバイトの時、私がいつもの通りにウンチョス君を終えて事務室に出ると、ちょうどKさんも事務室に入ってきた。

　だから私は言った。

「えーと、すいませんが・・・、いつも、財布がカバンから見えているので、どっかに隠してください。僕はいつもトイレに行くので、いつも見えちゃうのです。この時間は、ここ（事務室）に誰もいないので、僕が現場に出た後にスタッフの一人がトイレを使うときに魔が差して財布を盗んじゃうかもしれません。となると、疑いが僕にも向けられることになりそうなので、それを未然に防いでおきたいのです」

　そしたら、Kさんは「あっ、はい！ 気をつけます！」と言った。

　・・・一件落着である・・・＾＾ｖ

　なお、写真は、ちょっとお高めのパンチェッタである＾＾

　いつもは四角いブロックなのに、これは丸い＾＾

　（追記）

　なお、この文章は、文章書きとしては失敗作である。

　何故か？　・・・私が冤罪を被ることを心配するにあたっての説明が、地の文と、私のセリフとで二度繰り返されていて、クドイからである。

　本当は、最初の地の文のほうでは、私の杞憂をボヤかして、最後のKさんへのセリフの中で、全てが明らかになるという構成こそが完璧な文章なのである。

　だが、時間がないのと、私も年を取り、文章構築へのネチッこさがなくなってしまっているのである・・・＾＾；

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（2018/07/03）