▼私は、こんな記事に感動する。
《 指とホチキス使い…シャトル耐熱材、宇宙で修復 06/16 19:04
国際宇宙ステーション(ISS)にドッキング中の米スペースシャトル「アトランティス」の宇宙飛行士が15日、打ち上げ時に機体後部の耐熱材にできた損傷を船外活動(宇宙遊泳)で修復した。ISSのロシア区画で発生したコンピューターの故障は3分の2が回復した。
米航空宇宙局(NASA)によると、特殊繊維製の耐熱材の損傷は亀裂ではなく、約15センチにわたって端がめくれ上がっていることが判明。ジョン・オリバース飛行士が指で元に戻し、特殊なホチキスで隣の耐熱材に固定した。
一方、ISSのロシア区画で13日に停止したISSの生命維持装置と姿勢を制御するコンピューターは、補助電源のスイッチを迂回(うかい)するように配線したところ、3系統あるうちの2系統が起動した。
NASAの担当者は「うまくいっている」と述べた。ロシアの飛行士が機能確認と、残る1系統の復旧に向けて作業を続けている。故障原因は不明だが、増設した太陽電池パネルの稼働に伴って発生した電磁気のノイズが有力視されている。
アトランティスの飛行士らはあと1回、船外活動を実施、21日(日本時間22日)に帰還する予定。(共同)》
映画『アポロ13』でも、似たようなハイテク環境でのアナログ的な修復作業が行なわれていた(実際のアポロ13号も同様だったのだろう)。
クールな作品である『2001年 宇宙の旅』でも、最後の最後で、宇宙飛行士が生身で真空に躍り出ると言う力ずくなシーンがあった。
私は、人間が肉体や頭脳をフル回転させる映画が結構好きである。
昼間も、ビデオで、『ミッション・インポッシブル:3』を観て、トム・クルーズが走り回っている姿を見て唸った。
▼・・・そして、映画に最も必要なものは、「緊張感」である。
昨夜、レイトショーで観た、メル・ギブソン監督作品『アポカリプト』は、二時間二十分の長尺全篇、マヤの一部族の運命を背負うことになった青年が、肉体を酷使し続ける緊張感が、ダレ場なく続く傑作であった。
ストーリーを簡単に書く。
末期にある文明は、内部から崩壊する。
・・・マヤ文明の末期、森に住む素朴な一部族が、首都の侵略的な一族に、村を徹底的に蹂躙される。
多くの村人は殺され、動ける者は捕虜とされる。
首都に着くと、そこには退廃があった・・・。
主人公はどうにか、首都を脱出し、追っ手との壮絶な闘いを経つつ、家族が待っているかもしれない森に走るのだった。
森の部族の生活が見事に描かれていた。
侵略者に蹂躙される村の滅亡が、悲しいがリアルに描かれていた。
侵略的な一部族の「常識」がうまく語られていた。
個々の人物の情動が、見事な演技で表現されていた。
主人公と「敵」の因縁が自然に語られていた。
首都・チチェインイツアの、文明末期の過渡の姿がダイナミックに活写されていた。
そして、後半の主人公の大逃走劇・・・。
それを包み込むジャングルの緑の濃淡・・・。
全く飽きる間がなかった。
これこそ、映画だ!!! ^^v
▼テーマはあるが、そこへの誘導はない。
何らかの恩着せがましい主題を求めようとしたならば、この物語は、スペイン人との闘争の物語になったであろう。
しかし、ここでは、その前夜の「国内状況」が描かれている。
それも、アクション要素たっぷりで。
メル・ギブソン監督の前作『パッション』での、キリストの鞭打ちシーンに代表されるような過激な描写が、『アポカリプト』でも目白押しなのだが、現代人の目から見ると「未開」の印象がある時代の姿なので、それ程に衝撃は受けず、リアリティを感じさせられた。
▼・・・つくづく、メル・ギブソンに興味が湧く。
・・・『マッド・マックス』シリーズを演じてきた。
続いて、『リーサル・ウェポン』シリーズ主演だ。
監督業をはじめても、シャマラン監督の『サイン』なんて言う能天気な作品にも出ている。
・・・なんで、それが、『パッション』や、この『アポカリプト』に帰結するのか?
メル・ギブソンが歴史上の核心を目指すようになった転機の作品として、アメリカ独立戦争を背景にした『パトリオット(2000)』で主演したことが大きいと思うのだが?
・・・と、思ったら、既に、スコットランド独立への抵抗運動のリーダーであったウィリアム・ウォレスを描いた『ブレイブハート (1995)』と言う作品を監督もしていたか!
あんまし、深く考える必要もないか・・・。
今回の作品には、ジョージ・ミラー監督やリチャード・ドナー監督仕込みのエンターテイメント要素もたっぷりであった。
メル・ギブソンは、淡々と、これまでの映画人生で学んできたことを作品に積み重ねているのだろう・・・。
特に、白塗りの人物たちや、神話の壁画、装飾の濃い権力者の姿なんてのは、『マッド・マックス サンダードーム』の影響大だ。
▼『アポカリプト』は、その終幕を、歴史上の異文化の来訪(【ハイテク】との邂逅)で締めている。
『猿の惑星』のラストシーン的な衝撃ではある・・・。
ここで、安易に衝突させないとこが、メル・ギブソン演出の「抑制」である。
面白かった。
映画とは、こういうものを言う。
シンプルな事象を、最大限、観る者の心に植えつけてくれるものだ。
そう・・・、
【生きることは、走ること】
と言う単純な答えを示してくれた。
(2007/06/17)
《 指とホチキス使い…シャトル耐熱材、宇宙で修復 06/16 19:04
国際宇宙ステーション(ISS)にドッキング中の米スペースシャトル「アトランティス」の宇宙飛行士が15日、打ち上げ時に機体後部の耐熱材にできた損傷を船外活動(宇宙遊泳)で修復した。ISSのロシア区画で発生したコンピューターの故障は3分の2が回復した。
米航空宇宙局(NASA)によると、特殊繊維製の耐熱材の損傷は亀裂ではなく、約15センチにわたって端がめくれ上がっていることが判明。ジョン・オリバース飛行士が指で元に戻し、特殊なホチキスで隣の耐熱材に固定した。
一方、ISSのロシア区画で13日に停止したISSの生命維持装置と姿勢を制御するコンピューターは、補助電源のスイッチを迂回(うかい)するように配線したところ、3系統あるうちの2系統が起動した。
NASAの担当者は「うまくいっている」と述べた。ロシアの飛行士が機能確認と、残る1系統の復旧に向けて作業を続けている。故障原因は不明だが、増設した太陽電池パネルの稼働に伴って発生した電磁気のノイズが有力視されている。
アトランティスの飛行士らはあと1回、船外活動を実施、21日(日本時間22日)に帰還する予定。(共同)》
映画『アポロ13』でも、似たようなハイテク環境でのアナログ的な修復作業が行なわれていた(実際のアポロ13号も同様だったのだろう)。
クールな作品である『2001年 宇宙の旅』でも、最後の最後で、宇宙飛行士が生身で真空に躍り出ると言う力ずくなシーンがあった。
私は、人間が肉体や頭脳をフル回転させる映画が結構好きである。
昼間も、ビデオで、『ミッション・インポッシブル:3』を観て、トム・クルーズが走り回っている姿を見て唸った。
▼・・・そして、映画に最も必要なものは、「緊張感」である。
昨夜、レイトショーで観た、メル・ギブソン監督作品『アポカリプト』は、二時間二十分の長尺全篇、マヤの一部族の運命を背負うことになった青年が、肉体を酷使し続ける緊張感が、ダレ場なく続く傑作であった。
ストーリーを簡単に書く。
末期にある文明は、内部から崩壊する。
・・・マヤ文明の末期、森に住む素朴な一部族が、首都の侵略的な一族に、村を徹底的に蹂躙される。
多くの村人は殺され、動ける者は捕虜とされる。
首都に着くと、そこには退廃があった・・・。
主人公はどうにか、首都を脱出し、追っ手との壮絶な闘いを経つつ、家族が待っているかもしれない森に走るのだった。
森の部族の生活が見事に描かれていた。
侵略者に蹂躙される村の滅亡が、悲しいがリアルに描かれていた。
侵略的な一部族の「常識」がうまく語られていた。
個々の人物の情動が、見事な演技で表現されていた。
主人公と「敵」の因縁が自然に語られていた。
首都・チチェインイツアの、文明末期の過渡の姿がダイナミックに活写されていた。
そして、後半の主人公の大逃走劇・・・。
それを包み込むジャングルの緑の濃淡・・・。
全く飽きる間がなかった。
これこそ、映画だ!!! ^^v
▼テーマはあるが、そこへの誘導はない。
何らかの恩着せがましい主題を求めようとしたならば、この物語は、スペイン人との闘争の物語になったであろう。
しかし、ここでは、その前夜の「国内状況」が描かれている。
それも、アクション要素たっぷりで。
メル・ギブソン監督の前作『パッション』での、キリストの鞭打ちシーンに代表されるような過激な描写が、『アポカリプト』でも目白押しなのだが、現代人の目から見ると「未開」の印象がある時代の姿なので、それ程に衝撃は受けず、リアリティを感じさせられた。
▼・・・つくづく、メル・ギブソンに興味が湧く。
・・・『マッド・マックス』シリーズを演じてきた。
続いて、『リーサル・ウェポン』シリーズ主演だ。
監督業をはじめても、シャマラン監督の『サイン』なんて言う能天気な作品にも出ている。
・・・なんで、それが、『パッション』や、この『アポカリプト』に帰結するのか?
メル・ギブソンが歴史上の核心を目指すようになった転機の作品として、アメリカ独立戦争を背景にした『パトリオット(2000)』で主演したことが大きいと思うのだが?
・・・と、思ったら、既に、スコットランド独立への抵抗運動のリーダーであったウィリアム・ウォレスを描いた『ブレイブハート (1995)』と言う作品を監督もしていたか!
あんまし、深く考える必要もないか・・・。
今回の作品には、ジョージ・ミラー監督やリチャード・ドナー監督仕込みのエンターテイメント要素もたっぷりであった。
メル・ギブソンは、淡々と、これまでの映画人生で学んできたことを作品に積み重ねているのだろう・・・。
特に、白塗りの人物たちや、神話の壁画、装飾の濃い権力者の姿なんてのは、『マッド・マックス サンダードーム』の影響大だ。
▼『アポカリプト』は、その終幕を、歴史上の異文化の来訪(【ハイテク】との邂逅)で締めている。
『猿の惑星』のラストシーン的な衝撃ではある・・・。
ここで、安易に衝突させないとこが、メル・ギブソン演出の「抑制」である。
面白かった。
映画とは、こういうものを言う。
シンプルな事象を、最大限、観る者の心に植えつけてくれるものだ。
そう・・・、
【生きることは、走ること】
と言う単純な答えを示してくれた。
(2007/06/17)