アンネイ手帖

キモノや着付け、暮らしの覚え書き。

読書の秋~青木玉の本を読んで

2010-10-22 | キモノ
青木玉。
幸田露伴の奥方 娘、幸田文がその母親であり、 祖父は露伴。
↑間違いだらけ、ごめんなさい!

幸田文の小説は、震災や戦争を体験する中での身の回りに関する、
もちろん着物についての話が多く興味深いもの。
青木玉さんは、写真で見る限り派手や華やかという方ではないけれど、
お母様の着物やそれに係る生活を生きて来られて、
着物についてはものすごく幅の広い道を歩いて来られたと思います。
着物好きな方なら、読まれた方もきっと多くいらっしゃるはず。
これもそのうちの1冊。

着物あとさき
青木 玉
新潮社


例えば、反物を選んで仕立てということが、単純作業には終わらない。
または、誰それのあの頃の着物を解いてあったものとかから始まっていく。
こだわりについては、私なんぞの知り得ない遠い遠い所に究極があって
どういう染め、どういう織、仕立てはどうこう、
それは単純にお金をかけるだけではなく、職人さんから職人さんへと流れるうちに
いったいこの1枚に、どれだけの技術や思いが封じ込まれているのか
というぐらいの着物に仕上がる。

でもそれが本当に素晴らしくて、当人にぴったりであるという結果は100%ではない。
仕上がって着てみて、あぁこれはもう少し先に着ましょうなんてことになる。
洋服のように「今これが着たいから買ってすぐ着ておでかけ!」
なんてないのだ。

きもの暮らし―着こなしの知恵と楽しみ
青木 玉,吉岡 幸雄
PHP研究所


そして、それは本人だけのこだわりであって
見る側からは見ただけでは理解し得ないことがいっぱい隠されている。

着物を好きな人なら、お仲間の着物を見た目だけではなく
染め色や織りの種類、組合せの妙みたいなことが話題になったりする。
それはただ高価であることが持てはやされるのではなく、
自分にはない世界が相手の着物にはあるのだというドキドキワクワクな楽しみなのだ

彼女がたまたまあの家の娘であったからこそ通るべくして通ってきた道であり、
もし私にいくらお金や人脈があったとしても、決して同じ道を通ることは無い。

着物は、着る人にとっては何らかの縁が必ず存在して巡ってくるものであって、
個々の価値観も同じものは一つとして無いだろうと思う。
それが新品でもリサイクルでも、いただきものでもね。
本当に、なんておもしろい着衣なんだろうと思う。

拙い感想文でした~

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