呪師霊太郎ふたたび!
以前ご紹介した『
人喰いの時代』の続篇にあたる作品です。
短編集『
人喰いの時代』の最初の作品が86年初出となってますから、実に30年後の再登場になります。
それだけ、呪師霊太郎(
しゅしれいたろう)なる探偵に対する愛着があったということでしょうか?
この無邪気で正体不明な名探偵キャラは、どんな話にも狂言廻しとして登場させ易いのかもしれません。
短編集『
人喰いの時代』では、最後の作品で『
それまで叙述されていた事件そのものがなかった』という超絶のドンデン返しを用意して、P.K.ディック的な日常崩壊感覚をタップリと味わわせてくれたワケですが、今回の呪師霊太郎はちゃんと事件の謎を解き明かします。
ただし事件が解決されるのは40年後だったりするワケですが・・・これでは役に立たーん!
この本には4つの作品が収められています。
【
神獣の時代】北海道の沖にある吐裸羅島に渡った霊太郎はそこで3人の男たちと出会う。巨大なアザラシの王『
ウエンカム』を狩った者が船団の長の娘を娶ることができるというのだ。その中で起こる不可能殺人・・・一人称で事件を語る犯人の意外な正体には驚愕必至です。
【
零戦の時代】映画のヒロインを選ぶオーディションに受かって喜ぶ劇団員、だがオーディションそのものが無かったとは?消えた映画の台本が示唆する40年前の犯罪の真実を霊太郎が解き明かし、決着を付ける!
【
啄木の時代】石川啄木の短歌に秘められた驚愕の事実。啄木は犯罪を目撃していたのか?赤木圭一郎の事故死を背景に当時の映画界へのオマージュともなる霊太郎の名推理が冴えわたります。
【
少年の時代】花巻温泉遊園地に滞在する霊太郎の前に現れた怪盗『
少年二十文銭』とは?その犯行には下敷きとなった作品がある?名作のシーンを再現する奇想天外のトリックを仕掛けた人物は誰なのか?
いずれも『
見知った日常を別の見方をしてひっくり返す』作品です。
これ読むと
石川啄木と
〇〇〇〇(特に名を秘す)について驚愕の新事実が明らかに!
文学好きのヒトは必見です!