(承前)
【北アフリカ全図】
8.熱砂のエル・アラメイン
『エル・アラメインを包囲し、わが軍の機甲師団が南方に展開する敵の背後に出れば、マルサ・マトルーの場合同様、敵は壊滅するであろう』とロンメルは語った。
※ドイツ・アフリカ軍団のあたらしい仲間②『軽駆逐戦車ヘッツアー』・・・『カメさんチーム』でお馴染み
ドイツ・アフリカ軍団(DAK)は6月30日のうちに南のカタラ低地に向かい、60キロにわたるアラメイン戦線の南端を攻撃するかにみせかけ、暗くなり次第北東に進路を変えて、エル・アラメインの鉄道駅まで20キロをつき進むのである。夜にまぎれてDAKの各師団はアラメインとデイル・エル・アビュアドの中間をすりぬけて敵の背後に出、第90軽師団はマルサ・マトルーのときのように南に迂回、海岸通りに出てそこを封鎖し、同基地を孤立化させることになった。
しかし計画通りには行かなかった。エル・アラメイン南方は走行に適さない地形のうえ、砂嵐に阻まれてスケジュールに遅れが生じ、英軍はその間に防衛体制を整えてしまったのだ。
第90軽師団は南アフリカ第1・第2・第3旅団の猛砲火に遭遇して大損害を被った。
DAKはルエイサト北方に陣地を築いた南アフリカ第1旅団を撃滅したが,この戦闘で55台しか残っていなかった戦車のうち実に18台を失った。
アリエテ師団(イタリア)はまるでお話にならなかった。マオリ兵に蹴散らされ、持っていた大砲を全て奪われる始末で、DAKは側面からの攻撃に晒されることになってしまった。
損失の多い戦闘を避けて敵の裏をかくロンメルの作戦は挫折した。
ロンメルは諦めず重火器を投入したが、もはやDAKの戦車は26台(!)しか残っていない。これではどう足掻いても突破は無理だと判断せざるをえなかった。
7月3日の夜、機甲軍は停止し、塹壕を堀って英軍の攻撃に備えることになった。
英国艦船がアレキサンドリアを出港し、英軍本部がカイロを放棄していたまさにその時、ドイツ・アフリカ軍団は力尽きて砂漠に斃れたのだった。
(つづく)
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