しろみ茂平の話

郷土史を中心にした雑記

黒塗りの教科書①服部百年誌

2020年06月09日 | 昭和20年(戦後)
「服部百年誌」   福山市服部百年誌刊行委員会 2001年 発行より転記。

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敗戦のすぐ後、秋ごろであっただろうか、教室に来た先生が硯を出して墨をするように指示された。
書道かなと思ったところ、先生は教科書を机の上に出させ、
○○ページの○○行目から○○行目まで墨を塗りなさいと順々に同様なことをすすめられた。

墨を塗った箇所は「天皇のために」とか「大東亜共栄圏」とか、
戦意高揚の言葉のあるところであった。
私は自らを「黒塗り世代」といい、その時の心の傷は今日なおどうしようもなく心の中に潜んでいる。

 黒塗り教科書に続いたのは新聞紙のような教科書である。
物資のないこのころ、教科書は本になった形で配布されたわけではない。
配られたのは新聞紙と同じような印刷物で、
それを縦に折り、横に折りして教科書と同じ大きさになる。
折り曲げたところをナイフで切り、右端を綴ると一ページ二ページと一冊の教科書になるわけである。

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