ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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グラム・パーソンズ 1

2006-09-16 17:57:29 | ルーツ・ロック
GRAM PARSONS / THE COMPLETE REPRISE SESSIONS

最近グラム・パーソンズの周辺がちょっぴり騒がしいです。

去年だったか「RETURN TO SIN CITY」というノラ・ジョーンズやキース・リチャーズが出演したグラム・パーソンズのトリヴュート・ライブのDVDが国内でもリリースされ、さらについ数カ月前、グラムの半生を追ったドキュメンタリーDVD「FALLEN ANGEL」もリリースされました。そして先日、既に輸入盤で話題になっていたグラムのリプリーズ時代のCD3枚組セット「THE COMPLETE REPRISE SESSIONS」の国内盤(写真)が発売されました。

グラム・パーソンズといえば、インターナショナル・サブマリン・バンド、ザ・バーズ、フライング・ブリトウ・ブラザーズと渡り歩いたカントリー・ロックの寵児ですが、彼が最後に2枚のソロ・アルバムを残したのが、リプリーズ(REPRISE)でした。

70年にフライング・ブリトウ・ブラザーズを脱退したグラム・パーソンズは73年に初のソロ・アルバム「GP」を発表します。

バックにはジェームズ・バートン(g)、グレン・D・ハーディン(key)、・ロニー・タット(ds)という当時のエルヴィス・プレスリーのバック・バンドの中枢を中心に、多くのつわもの達が名を連ねています。

その中には、スティール・ギターの巨人バディ・エモンズ。そしてもう一人のスティール・ギター奏者アル・パーキンスとフィドルのバイロン・バーラインはカントリー・ロック界の売れっ子奏者 。そして何といっても、グラムが探し当てた最高のデュエット・パートナーがエミルー・ハリス。当時彼女は無名のフォーク・シンガーで、カントリーもよく知らなかったと言います。

そしてプロデューサーはグラム本人と元ブラインド・フェイスのベーシスト、リック・グレッチがあたっています。


さて、アルバムは眩しいくらい軽快な「Still Feeling Blue」で幕を開けます。
スピード感の有る、フィドル、スティール・ギター、バンジョー、その上に乗る爽やかなグラムの声、ハーモニー、どれも最高です。

「We'll Sweep Out The Ashes In The Morning」はグラムとエミルーの名デュエット。伸びやかで艶やかななエミルーの声が光っています。

「Streets Of Baltimore」「That's All It Took」「Kiss The Children」あたりののどかな哀愁は、いかにもカントリー的で心に染みます。どれも素晴らしい!

ですが、このアルバムのハイライトは、何と言っても「A Song For You」「She」「The New Soft Shoe」の3曲。胸を締め付けられるほど美しいスロー・ナンバーで、グラムのオリジナル曲です。儚さを感じるメロディーに、その後のグラムの運命を思わずには居られません。

今回のセットには、もちろん多数の未発表テイクが収録されていますが、未発表曲や強烈な別ヴァージョンが有る訳では無いので、若干インパクトには欠けますが、グラムの歌に微妙なニュアンスの違いが感じらる「She」や、リック・グレッチとのデュエットによる「Kiss The Children」のオルタネイト・ヴァージョンなど、興味深いものも。

そしてラジオ放送でのエミルーとのスタジオ・ライブ「Love Hurts」「Sin City」の2曲は、それに伴うインタヴューと合わせて、エミルーとグラムの居た時間をちょっぴり体験出来たような、そんな感じを味わえました。

つづく。


*「Kiss The Children」のオルタネイト・ヴァージョンは本セットのクレジットにはバリー・タシアンとのデュエットと有りますが、レコードコレクター誌によりますと、それはリック・グレッチの誤りとのことです。



~関連過去ブログ~ お茶のお供にどうぞ。


 05.10.15 グラム・パーソンズ、グラム・パーソンズを思う