REACTABLE
2月22日、武道館でビョークを観てきました! その躍動感から、民族、野生、あるいは動物的な感性を喚起させられる、圧巻のステージでした。
定刻より20分程押してスタート。まず噂のブラス隊が演奏しながら登場。演奏しながらという“ざわついた”雰囲気が、これから始まるスペシャルな夜を期待させます。その10人程のブラス隊は全員アイスランド人だそうですが、赤と黄色、オレンジを中心にコーディネートされた衣装+背中から赤い旗といういでたちは、無国籍そのもの。
そして歓声に迎えられビョーク登場。いきなり「Earth Intruders」。派手な蓑虫のようなラメラメ&ワサワサな衣装に身を包み、小さな巾着的な物を腰からぶら下げ、全身を小刻みに振るわせながらエネルギーを放出する彼女の姿はまるで“炎の精”のようでもありました。実際に火柱も上がりましたし、ブラス隊の色彩も、照明もオレンジを基調にしたものでした。この“炎”のイメージは否が応にも、闇の奥で行われる祝祭的雰囲気を演出し、エギゾチックな興奮が湧き上がりました。
バック・メンバーはおそらく、キーボードにJo´nas Sen、プログラム関係にマーク・ベルとダミアン・テイラー、ドラムスにクリス・コルサーノ。LFOのマーク・ベルはビョークとの仕事でもう御馴染みですね。ダミアン・テイラーも最近のビョーク作品に名前を見るクリエーターで、「VOLTA」にも参加しています。またUNKLEとの仕事でも知られます。クリス・コルサーノはフリー・ジャズ系のドラマーで、やっぱり「VOLTA」に参加していますね。Jo´nas Senはアイスランドのキーボーディストでしょうか? たぶんこの4人だと思うのですが、正直正確な裏を取れていません。間違っていたらごめんなさいね…。
曲目は「Hunter」「All Is Full Of Love」「Jo´ga」「Bachelorette」「Who Is It」といった近年の代表曲を中心に、「Vertebrae by Vertebrae」「Wanderlust」
など最新作「VOLTA」の楽曲を絡めた感じ。もっと「VOLTA」中心のセット・リストを予想していたのですが、案外「HOMOGENIC」からの曲が多かったですね。ビョークの声も素晴らしかった! 静から動へ、陰から明へ、自由自在に駆け巡る彼女の歌声はまさに天然記念物級。
アレンジ面でもエレクトロニクスと生楽器の2極性が際立ちながらもそれらが渾然一体となって躍動するサウンドは圧巻でした。とんでもない電子音の音圧で攻める「Army Of Me」。ブラス隊に囲まれながら静かに歌う「Immature」。鍵盤とのデュオで聴かせる「Cover Me」など、どれもライヴならではの魅力に溢れていましたが、ハイライトは終盤の「Hyper-ballad」から。
この曲は後半の4つ打ちリズムが高揚感を誘うのですが、今回はあろうことか、ぶっとくも跳ねたベースラインという新アレンジ。でもこれは違うんじゃないの?と思っているうちに、まるでマシンガンのようなビート音の嵐となり、レーザー光線が飛び交い、さながらカオティックなディスコ状態。まるでリズムが全身を攻めてくるよう。ただただ興奮が沸いてくる。凄いよ「Hyper-ballad」!
*後になって知ったのですが、この「Hyper-ballad」の後半はLFOの「Freak」という曲が元ネタになってるそうです。この「Freak」、PVがかっこ良くてリリース当時良く見ていたのですが、曲自体は頭からすっかり抜けていていました。この2曲を結び付けたとは恐るべしマーク・ベル。
続いて「Pluto」!最強の連続攻撃。この曲ではブラス隊もステージ前へ躍り出て、旗を靡かせながら踊りまくる。まるで喚起の輪のようなその様から連想されるのは“祭り”。その中心で「ウ~、ウ~」「ア~、ア~」と叫ぶビョークはまるで祭祀か酋長か? この曲ってこんなに祝祭的な曲でしったっけ?という疑問ももはや笑うしかないような圧倒的なサウンド&ビジュアル空間にただただ興奮&放心させられました。
そしてアンコール。まずはブラス隊がビョークを取り囲んでしっとりと「The Anchor Song」。本来のブラス・ヴァージョンを生で聴いたのはこれが初めてかも。感動。そして最新作中最もパンキッシュな「Declare Independence」。まるで大地から湧き上がるような躍動感はやはり民族的。そしてまたもブラス隊が踊りまくる“祭り”モード。ビョークの声は終盤にきても衰え知らずで、彼女がサビを叫ぶ度にどんどん高揚感が増して行き、その豊かな声量と伸びやかな歌声がエクスタシーな空間へと誘います。最後は大量の紙吹雪が舞い大団円。約1時間半。ちょっと短い?
さて、今回のビョークは今までの「エレクトロ+弦楽器隊」という構成から「エレクトロ+管楽器隊」という構成に変えたことにより、近年の流麗さや柔らかさは後退し、瞬発力や躍動感が前面に出たように感じました。それには管楽器隊の活躍はもちろんReactable(写真)など最新機器を駆使したエレクトロニクスの存在も欠かせませんでした。
このReactableは、テーブルの上のブロックを動かすことによって音を変化させる最新のシンセサイザー。実際にそのテーブルを映像で見せて「何か変なことやってる?」と観客を驚かせつつ、前方ではビョークとブラス隊が踊りまくってるみたいな。原始的な“祭り”の雰囲気と未来感覚の機器がごちゃ混ぜとなったビョークならではの異空間。この異空間こそ「VOLTA」の世界観だったのかもしれません。やっぱビョークはスゲエよ!
Reactableについて詳しくはこちら
http://wiredvision.jp/news/200708/2007082121.html
昨年のグラストンベリー・フェスでの「Hyper-ballad」
http://www.youtube.com/watch?v=iJvNMMGSkQM&feature=related
LFO「Freak」のPV
http://jp.youtube.com/watch?v=53Zq1I5_WAA
~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!
07.07.15 ビョーク(「BJORK / VOLTA」)
08.02.03 グラミーノミネート特集:ビョーク『Best Alternative Music Album』
08.02.16 ビョークとルーツ Part 1
2月22日、武道館でビョークを観てきました! その躍動感から、民族、野生、あるいは動物的な感性を喚起させられる、圧巻のステージでした。
定刻より20分程押してスタート。まず噂のブラス隊が演奏しながら登場。演奏しながらという“ざわついた”雰囲気が、これから始まるスペシャルな夜を期待させます。その10人程のブラス隊は全員アイスランド人だそうですが、赤と黄色、オレンジを中心にコーディネートされた衣装+背中から赤い旗といういでたちは、無国籍そのもの。
そして歓声に迎えられビョーク登場。いきなり「Earth Intruders」。派手な蓑虫のようなラメラメ&ワサワサな衣装に身を包み、小さな巾着的な物を腰からぶら下げ、全身を小刻みに振るわせながらエネルギーを放出する彼女の姿はまるで“炎の精”のようでもありました。実際に火柱も上がりましたし、ブラス隊の色彩も、照明もオレンジを基調にしたものでした。この“炎”のイメージは否が応にも、闇の奥で行われる祝祭的雰囲気を演出し、エギゾチックな興奮が湧き上がりました。
バック・メンバーはおそらく、キーボードにJo´nas Sen、プログラム関係にマーク・ベルとダミアン・テイラー、ドラムスにクリス・コルサーノ。LFOのマーク・ベルはビョークとの仕事でもう御馴染みですね。ダミアン・テイラーも最近のビョーク作品に名前を見るクリエーターで、「VOLTA」にも参加しています。またUNKLEとの仕事でも知られます。クリス・コルサーノはフリー・ジャズ系のドラマーで、やっぱり「VOLTA」に参加していますね。Jo´nas Senはアイスランドのキーボーディストでしょうか? たぶんこの4人だと思うのですが、正直正確な裏を取れていません。間違っていたらごめんなさいね…。
曲目は「Hunter」「All Is Full Of Love」「Jo´ga」「Bachelorette」「Who Is It」といった近年の代表曲を中心に、「Vertebrae by Vertebrae」「Wanderlust」
など最新作「VOLTA」の楽曲を絡めた感じ。もっと「VOLTA」中心のセット・リストを予想していたのですが、案外「HOMOGENIC」からの曲が多かったですね。ビョークの声も素晴らしかった! 静から動へ、陰から明へ、自由自在に駆け巡る彼女の歌声はまさに天然記念物級。
アレンジ面でもエレクトロニクスと生楽器の2極性が際立ちながらもそれらが渾然一体となって躍動するサウンドは圧巻でした。とんでもない電子音の音圧で攻める「Army Of Me」。ブラス隊に囲まれながら静かに歌う「Immature」。鍵盤とのデュオで聴かせる「Cover Me」など、どれもライヴならではの魅力に溢れていましたが、ハイライトは終盤の「Hyper-ballad」から。
この曲は後半の4つ打ちリズムが高揚感を誘うのですが、今回はあろうことか、ぶっとくも跳ねたベースラインという新アレンジ。でもこれは違うんじゃないの?と思っているうちに、まるでマシンガンのようなビート音の嵐となり、レーザー光線が飛び交い、さながらカオティックなディスコ状態。まるでリズムが全身を攻めてくるよう。ただただ興奮が沸いてくる。凄いよ「Hyper-ballad」!
*後になって知ったのですが、この「Hyper-ballad」の後半はLFOの「Freak」という曲が元ネタになってるそうです。この「Freak」、PVがかっこ良くてリリース当時良く見ていたのですが、曲自体は頭からすっかり抜けていていました。この2曲を結び付けたとは恐るべしマーク・ベル。
続いて「Pluto」!最強の連続攻撃。この曲ではブラス隊もステージ前へ躍り出て、旗を靡かせながら踊りまくる。まるで喚起の輪のようなその様から連想されるのは“祭り”。その中心で「ウ~、ウ~」「ア~、ア~」と叫ぶビョークはまるで祭祀か酋長か? この曲ってこんなに祝祭的な曲でしったっけ?という疑問ももはや笑うしかないような圧倒的なサウンド&ビジュアル空間にただただ興奮&放心させられました。
そしてアンコール。まずはブラス隊がビョークを取り囲んでしっとりと「The Anchor Song」。本来のブラス・ヴァージョンを生で聴いたのはこれが初めてかも。感動。そして最新作中最もパンキッシュな「Declare Independence」。まるで大地から湧き上がるような躍動感はやはり民族的。そしてまたもブラス隊が踊りまくる“祭り”モード。ビョークの声は終盤にきても衰え知らずで、彼女がサビを叫ぶ度にどんどん高揚感が増して行き、その豊かな声量と伸びやかな歌声がエクスタシーな空間へと誘います。最後は大量の紙吹雪が舞い大団円。約1時間半。ちょっと短い?
さて、今回のビョークは今までの「エレクトロ+弦楽器隊」という構成から「エレクトロ+管楽器隊」という構成に変えたことにより、近年の流麗さや柔らかさは後退し、瞬発力や躍動感が前面に出たように感じました。それには管楽器隊の活躍はもちろんReactable(写真)など最新機器を駆使したエレクトロニクスの存在も欠かせませんでした。
このReactableは、テーブルの上のブロックを動かすことによって音を変化させる最新のシンセサイザー。実際にそのテーブルを映像で見せて「何か変なことやってる?」と観客を驚かせつつ、前方ではビョークとブラス隊が踊りまくってるみたいな。原始的な“祭り”の雰囲気と未来感覚の機器がごちゃ混ぜとなったビョークならではの異空間。この異空間こそ「VOLTA」の世界観だったのかもしれません。やっぱビョークはスゲエよ!
Reactableについて詳しくはこちら
http://wiredvision.jp/news/200708/2007082121.html
昨年のグラストンベリー・フェスでの「Hyper-ballad」
http://www.youtube.com/watch?v=iJvNMMGSkQM&feature=related
LFO「Freak」のPV
http://jp.youtube.com/watch?v=53Zq1I5_WAA
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