ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

ボ・ディドリーを偲ぶ

2008-06-21 14:26:57 | ブルース
BO DIDDLEY / BIG BAD BO

08年6月2日に亡くなられたボ・ディドリー。言わずと知れたチャック・ベリー、リトル・リチャード達と並び賞されるロックン・ロールのオリジネーターの一人であり、今でも数多くのミュージシャンからリスペクトされ続ける偉大なアーティストです。

1928年、ミシシッピ州の生まれ。55年にチェス/チェッカーより「Bo Diddley/I'm A Man」でデビュー。この55年って、ピーコックからのシングルが鳴かず飛ばずだったリトル・リチャードがスペシャルティからデビューした年で、チャック・ベリーがチェスからデビューした年でもあるんですよね。まさに何かが動き出そうとしていたその年、ボ・ディドリーは自分の名を冠した曲で颯爽とシーンに登場したわけです。しかもボ・ディドリー・ビートと呼ばれる斬新なリズムに乗って!

このボー・ディドリー・ビート、言葉では表現しづらいのですが、ちょっとアフリカっぽくもありラテンっぽくもあるエギゾチックなリズムで、ロックン・ロールを演奏するアーティストは誰でも一度は演ってみたくなる魅惑のビートなのです。かのローリング・ストーンズも演ってますしね。

とにかくそのアーティストの名前でもって広く認知されているリズムなんてこのボ・ディドリー・ビートぐらいなものですし、実際、誰が演ろうとそのビートを聴くだけで瞬時に「あ、ボ・ディドリーだ!」と彼の名が頭に浮かびますからね。ある意味このビート一つでロックン・ロールの歴史の波に乗り続けてきた男でもあるわけです。

もちろん全盛期は50年代~60年代ということになるのでしょうが、80年代以降も同世代のロックン・ロール・レジェンド達に比べて不思議と常にヒップなオーラを保ち続けていた印象があります。トレード・マークの四角いギターを持ったりというキャラ的なインパクトも強かったですしね。

私がボ・ディドリーを知ったのは、おそらくストーンズから遡ってだったと思いますが、彼のことを本格的に意識したのは以外にも日本のバンド、ボ・ガンボスからでした。ボ・ガンボスはボ・ディドリーと度々共演していますが、ローザが好きだった私にとって、特にデビュー前後のボ・ガンボスは刺激的でした。私がノリとしてのボ・ディドリー・ビートを初めて意識したのは間違いなくボ・ガンボスからでしたね。

ボ・ディドリーは何度か来日していますが、私がボ・ディドリーを生で観たのはただ一度だけ、92年のジャパン・ブルース・カーニヴァルの時でした。確か途中、ゲストでボ・ガンボスのどんとが出てきたように記憶しています。この年はジュニア・ウェルズも出演していて、個人的にはかなり印象的なブルカニでした。中でもやっぱりボ・ディドリーの存在感は格別でしたね。でも今ではみんな居なくなっちゃって寂しい限りです…。


さて、写真のアルバムは74年の「BIG BAD BO」。チェス/チェッカーでの最後のアルバムで、最近めでたく初CD化されました。ジャケが良いですよね~。流石に70年代になるとボ・ディドリーもファンク路線を打ち出してまして、しかもこのアルバムはニューヨークとトロントで録音されたものの、サウンド的にはニューオーリンズ色が濃厚。中にはアラン・トゥーサンが絡んでんじゃないの?と疑いたくなるような柔らかいファンクが秀逸な曲もあったり。でも荒っぽい言い方をさせてもらえば、ボ・ディドリー・ビートにスナップを効かせればニューオーリンズのセカンドライン・ファンクになるような感じってありますよね?やっぱり黒人音楽は根っこで繋がっているな~と。そう言えばデビュー当時のボ・ガンボスのサウンド的2大看板はボ・ディドリーとニューオーリンズでしたね。どんとって深いな。

晩年のボ・ディドリーは精力的にライヴ活動などしていたそうですが、昨年07年5月に心臓発作(脳卒中?)で倒れ、入院後自宅療養していたそうです。そして今年08年6月2日に帰らぬ人となってしまいました。

今頃、天国でどんとと再会しているでしょうか。