ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

ドニー・フリッツ@渋谷タワレコ

2009-09-27 15:14:38 | ルーツ・ロック
DONNIE FRITTS / ONE FOOT IN THE GROOVE

9月26日、渋谷タワーレコードへドニー・フリッツのインストア・イベントを観に行ってまいりました。ドニー・フリッツって人気あるんですね。まさかあんなに大勢のお客さんが集まるとは思いませんでした。私は開演45分程前に現地に着いたのですが、その時ちょうどリハーサル中で、既にかなりの人が入って盛り上がっている様に「え?始まってるの?」と勘違いして焦った程ですから。その後もさらに人が集まって来て、始まる頃には立ち見のお客さんでいっぱいになる程に。伝説のスワンプ・シンガーをこの目で観たい、本物のマスル・ショールズ・サウンドを体感したいというお客さんの期待がひしひしと伝わってくるようでした。

司会者に紹介され登場するドニー・フリッツ。アラバマからそのままひょいっと来たようなTシャツにキャップというラフな出で立ちが良く似合います。そして注目はバックの4人。ギタリストに元COWBOYのスコット・ボイヤーとAMAZING RHYTHM ACESのケルヴィン・ホリー、キーボードにN.C. サーマン。この人は小柄でいい雰囲気の叔父ちゃまって感じでしたが、プロフィール曰く「マッスルショールズでのスタジオワークに加えてグレッグ・オールマンや、パーシー・スレッジなどのツアーにも参加」している方だそうです。そしてベーシストはかのデヴィッド・フッド!! 60年代からマスル・ショールズでソウルやロックの名盤に携わって来た名ベーシストですね。

この4人は THE DECOYS と名乗り数年前に「SHOT FROM THE SADDLE」というアルバムもリリースしている。そのアルバムにはドニー・フリッツもゲスト参加していたようですが、ドニーの最新作「ONE FOOT IN THE GROOVE」もこの THE DECOYS の面々がバック・アップしています。今回のドニーの来日は、ドニー・フリッツが来日してくれるだけでも嬉しい限りですが、 THE DECOYS を引き連れて来てくれるということが奇跡に近いのです。日本で本物の南部サウンドが堪能出来る訳ですから。ドニーの後ろでふくよかなサザン・グルーヴを醸す4人の佇まいは、さしずめ現在のマスル・ショールズ・リズム・セクションといったところでしょうか。

曲目は1st作からトニー・ジョー・ホワイトとの共作「Sumpin' Funky Going On」に始まり、最新作から「Nothing But The Blues」、レイ・チャールズやリタ・クーリッジがカヴァーしたことでも知られる「We Had It All」、2nd作からまたもトニー・ジョーとの共作「Short End Of The Strick」、最後はダン・ペンとの共作「Memphis Women and Fried Chicken」だったかな? インストア・イベントということで、静かなしっとりとした曲中心になるのかと思いきや、意外にもファンキーな曲を並べて来てびっくりしました。さらにドニー・フリッツのヴォーカルは、名作「PRONE TO LEAN」での柔らかく優しい歌声が印象的ですが、これが予想外に力強いというか、荒くれた感じで痺れました。ミネラル・ウォーター片手に歌う姿は、どちらかというとお酒飲みながら歌ってるような雰囲気で、なんか南部魂を感じましたね。会場も割れんばかりの拍手と歓声で盛り上がりました。

終演後はお楽しみのサイン会。私もしっかりサインを頂きました。しかしまたしても自分のスペルが伝わらない…。「R」が伝わらないんですよね~。「アール」って言っても「i?」とか「Y?」とか聞かれちゃって…。結局机の上に指で「R」と書いてやっと分かってもらえました。いや、でも「ROYJI」じゃなくて「RYOJI」なんですけど…。ま、いいか。 THE DECOYS の面々もいい人ばかりで、サイン会の最中、ず~っと残って熱心なファン達と懇親していました。彼らがマスル・ショールズの強者達なら、観に来る人達も流石に強者ばかりで、皆さん自慢のレコードやCDを持参してサインを頂いたり談笑したりしていましたね。なかには、よく見えなかったのですがたぶん、COWBOY や THE DECOYS のアナログ盤を持って来てる方もいらっしゃって、凄いな~と。

そんな中、一番人気があったのはやはりデヴィッド・フッドでしょう。入れ替わりでサインをしたり写真を撮ったりで、忙しそうでした。なかにはトラフィックのアナログ盤を持って来られた方がいらして、その中ジャケの写真を観ては懐かしそうに楽しそうに話しをされてましたね。英語が喋れない私も根性でなんとかデヴィッド・フッドのサインだけは頂きました。


*写真はサインを頂いたドニー・フリッツの最新作「ONE FOOT IN THE GROOVE」。腎臓移植手術を経ての復帰作です。プロデュースはダン・ペン。バックには THE DECOYS の面々の他、スプーナー・オールダム(key)、トニー・ジョー・ホワイト(g)、ジェイムズ・ペネベイカー(steel g)、ウェイン・ジャクソン(t)などが参加しています。ドニーのいなたくもソウルフルな歌声を含め、マスル・ショールズの土の匂いを感じさせる彼らの演奏は極上です。トニー・ジョー・ホワイト夫妻との共作「One Foot In The Groove」からスワンピーなグルーヴが炸裂。2曲目「She's Got A Crush On Me」はドニーらしい、じんわりとしたメロディーと今にも崩れそうな歌がとても味わい深い。これぞサザン・リズムな「Chicken Drippings」はダン・ペンとの共作。さらにドニーらしい温かさが滲み出るようなテックス・メックス風味の「Huevos Rancheros」も良いです。珍しいレゲエ調「The Heart」は盟友クリス・クリストファーソンのカヴァー。そして1st作にも収録されたスプーナー・オールダムとの共作による大名曲「My Friend」のセルフ・カヴァー。良いですね~。こういうのライヴで聴きたいです!月曜日に演ってくれないですかね~。(ちなみに太字がドニー・フリッツのサインで細字がデヴィッド・フッドのサインです。)

9月28日、月曜日のライヴがますます楽しみになりました。