ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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JAPAN BLUES & SOUL CARNIVAL その2

2010-06-02 23:47:48 | フェス、イベント
SOLOMON BURKE / SOUL ALIVE!

5月30日、ジャパン・ブルース&ソウル・カーニヴァル、後半です。

さて、いよいよソロモン・バークです。おそらく観客の9割以上、いやほとんど10割の皆さんがソロモン・バークを観に来てたと思うんですよ。帝王ソロモン・バーク登場の瞬間を待ち構えてたと思うんです。特にステージ中央に黄金で縁取られた真っ赤な玉座が用意されてからは、あと数分でそこに座るであろう主の姿を想像しただけで熱くなっていく、そういう空気が会場中に横溢してましたよね。そんな期待と興奮の入り交じった独特の雰囲気の中、満を持してソロモン・バークの登場です。

バンドの演奏に促され、コーラス隊と共にソロモン・バークは車椅子に乗って登場。普通、70歳になるレジェンドが車椅子に乗って現れたら、やっぱり心配になるものですが、ソロモン・バークの場合、車椅子にすら“キング”の貫禄を感じてしまう。そんなオーラがありますよ! そして巨大な玉座に腰を下ろす。迫力満点の体格を上下真っ青なラメラメで決めたソロモン・バーク。帽子を被った姿が格好良い! バック・バンドはコーラス隊、ホーン隊、そして奇麗な2人のお姉さんによるヴァイオリンを含めた15人編成。何もかも破格!

1曲目は最新作から「Nothing's Impossible」。もうソロモン・バークの第一声を聴いただけで昇天ですよ。艶やかでふくよかな歌声。その衰え知らずな声量が堪らなく円やかに響く。そして会場の盛り上がりを全て受け止めて包み込むかのような包容力。またこの曲の緩やかなリズムが野外の夕暮れ時によく合うんですよ。続いて「Got To Get You Off My Mind」。アトランティック時代を代表するヒット曲であり、65年にR&Bチャートのトップを記録した、言わば代名詞的な曲。あ~、目の前でソロモン・バークがアトランティック時代の曲を歌ってる!なんか感無量でしたね。

まあ、とにかくヒット曲が多い人ですし、近年の作品も傑作続きということで、前半から名曲のオン・パレードですよ! ストーンズがカヴァーしたことでも知られる「Cry To Me」や「If You Need Me」が早くも登場。特に「If You Need Me」はメドレーになってまして、これがまた感動ものでした。特に後半、「Take Me (Just As I Am)」あたりは“語り”っぽくなるんですけど、それがゴスペルの説教を思わせる雰囲気で、その口調にジ~ンときちゃいましたね。元々ソロモン・バークはゴスペル歌手からスタートした人ですからね、やはりその辺の味わいっていうのは格別なものがあります。そして締めは「I Can't Stop Loving You」で、サビへ流れる瞬間がまた最高でした。思わず一緒に歌っちゃいましたよ!

近年の曲では02年の復活作「DON'T GIVE UP ON ME」からトム・ウェイツ作の「Diamond In Your Mind」。この曲は良いですよね~。大好きです! もちろん生で聴くとさらに素晴らしい。そして前作「LIKE A FIRE」からクラプトン作のタイトル曲「Like A Fire」。この曲なんかはソロモン・バークにしてはポップすぎる印象もありますが、ライヴの流れで聴くとまったく違和感を感じませんでしたね。とにかく新旧織り交ぜた楽曲をソロモン・バークの大きな歌唱が包み込む感じで、流石はキングなのであります。

全体の雰囲気としては、例えば近年来日したオーティス・クレイとかサム・ムーアなんかは、ある種の“いなたさ”とか、年相応の“枯れ”がありましたが、ソロモン・バークはもっと徹底した“ソウル・ショー”な感じ。何しろ椅子に座ったままとはいえ、ソロモン・バークの存在感はエンターテイナーそのもの。バックの人達は全員黒ずくめなのに一人だけ真っ青のキラキラですからね。「Diamond In Your Mind」で帽子をバッと後ろへ投げる、すると入道頭が顔を出す。それだけで絵になりますから。曲間ではコーラスのお姉さん(たぶん娘さんのキャンディー・バーク)がその入道頭の汗を丹念にタオルで拭き取る。それすらパフォーマンスに見えるんです。いや多分見せてるんでしょうね。ある意味コテコテ。

後半はそんな“ソウル・ショー”が更なるバラエティーに富んだ展開を見せていきます。特に印象的だったのは「Proud Mary」や「A Change Is Gonna Come」という王道カヴァー。まあカヴァーと言っても、先の「I Can't Stop Loving You」もそうなんですけど、ソロモン・バーク自身もスタジオ作として過去に録音し、シングルにもなってる曲なんですよね。なのでカヴァーであり、言わば持ち歌な訳ですよ。で、面白いのは「A Change Is Gonna Come」なんかはそのスタジオ作では出だしをファルセットがかったソフトな声で歌ってるのに、ライヴではサム・クックばりに声を張り上げてソウルフルに歌ってる。これは痺れましたね! また「Proud Mary」のアゲアゲな感じも“ソウル・ショー”ならでは。

またバック・コーラスを担当していたソロモン・バークの息子さんが「Keep A Light In The Window」を、娘さんのキャンディ・バークがグローリア・ゲイナーの「I Will Survive」を歌って会場を沸かせました。ちなみにソロモン・バークには21人の子供と90人の孫がいるとか。凄いですね~! なにもかも規格外。

でも後半のハイライトはやっぱり「Don't Give Up On Me」ですかね。02年にリリースされた復活作のタイトル曲ですが、この歌唱は素晴らしかった! 現在のソロモン・バークならではの切なくディープな味わいに聴き惚れました。そして私の知らない曲も何曲かあったんですが、その中で「The More」って曲は良い曲でしたね~。「モーア、…モーア、」と噛みしめるように歌う歌唱も印象的でした。

そんな最高なステージに応える観客達もブルース&ソウル・カーニバルならではのディープな盛り上がりを見せていました。踊り、叫び、思い思いにソウルに浸る感じ。終盤になってステージから大量の薔薇の花が配られ始めると、一気に観客達が前方へと詰め寄せたりなんて場面もありました。なんかいかにも“ソウル・ショー”って感じですよね。そこには野外ならではの開放感と一体感がありました。

最後は「What a Wonderful World」でさらに幸せな気分にさせられ、待ってましたのキラー・ソング「Everybody Needs Somebody to Love」。否が応でも「ユー!ユー!ユー!」と盛り上がり、それが「聖者が街にやってくる」へと傾れ込む。そして車椅子が用意され、夢のようなライヴの終わりがきたことを悟る。しかしソロモン・バークは玉座から車椅子へ移る瞬間、両手に杖を持って立ち上がり、腕を激しく振って踊ってみせる。 いや~、最高!!

およそ20曲近くで約70分のステージ。まあ、凄いものを観た!って感じです。セット・リストは前日29日の分も含めて「ブルース銀座」さんのブログにアップされています。ガチガチに決められた演目をこなすのかと思いきや、かなり違うセットを披露していることが分かり、驚きました。土曜日の曲目も魅力的ですね~。「Down In The Valley」とか「I Wish I Knew」とかいいな~!! それとオーティス・レディングのあの曲も!!



*写真のアルバムはソロモン・バークの「SOUL ALIVE」。80年代のライヴを収めたライヴ盤です。「Everybody Needs Somebody To Love」、「Proud Mary」、「Cry To Me」、「Got To Get You Off My Mind」など、ブルース&ソウル・カーニバルで演った曲が収録されていますが、何と言っても「 Take Me (Just As I Am)~I Can't Stop Loving You」でしょう。感動です! 他にもいくつかメドレーが入っていて、どれも極上です。


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 10.05.31 JAPAN BLUES & SOUL CARNIVAL その1
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 10.05.25 ソロモン・バークの新作