徒然地獄編集日記OVER DRIVE

起こることはすべて起こる。/ただし、かならずしも発生順に起こるとは限らない。(ダグラス・アダムス『ほとんど無害』)

強化部失格?/サッカー批評No.60「社長失格」

2013-02-09 18:41:51 | SHIMIZU S-Pulse/清水エスパルス11~14


遅まきながらサッカー批評60号「社長失格 『降格』は偶然の産物ではない」。
2012年降格組のガンバ、神戸を中心にレポート。さらにマリノスの現・社長の嘉悦朗氏、千葉の現・社長の島田亮氏、日ハム・セレッソの社長を務めたの藤井純一氏などインタビュー。しかしどうせならガンバか神戸のフロントのインタビューが欲しかったところか。経営=ヴィジョンなんだから大宮の“落ちそうで落ちない”経営美学あたりは読みたかったかな。まあ中心に据えられているのが降格=「社長失格」がテーマなのでなかなか拡げられなかったのかもしれないけれども。マリノスにとっての日産のように、大宮の超メインスポンサーであるNTTにとっては、どう考えてもタイトルはもちろん、成績云々よりもとにかくJ1残留が至上命題になっているはず…見込んでいるんだがどうなんだろう(それなりの補強はいつもするんだが…)。

ただし「社長失格」とはいえ、ガンバ降格に対して選手構成の問題に言及した部分が付け足しのように少ないのはちとおかしいと思うし(ほとんどあのまんまでJ2というのもいかがなものか)、もう少し拡げようのある企画だったとは思う。まあ、それだと「強化部失格」というテーマになるが、この特集でも具体的な経営について言及したマリノスの嘉悦社長インタビュー以外は経営以前の話に終始しているような気もしないでもない。監督問題や補強話なら、やはりこれは「強化部失格」と銘打つべきだろうし、ホームタウン云々の話ならば今更目新しいエピソードが出てくるだろうか(それならもっと取り上げるケースを増やすべきじゃないか)。マガダイと同じようなことサッカー批評がやっていても仕方がないと思うのだ。

翻って我がエスパルスである。幸いにも清水には故バーケンさんが立ち上げたSの極みという有料サイトが継続されていて、経営情報とまではいかないまでも、「クラブのヴィジョン」という意味では、監督なり強化部長なりスタッフなりがある程度の頻度で取材を受け、そのメッセージを読むことができる。ましてや毎日更新される情報の中でもアフシンは「言い訳」と揶揄されるほどメッセージを発するマネージャーだし(あれは決して「言い訳」ではないけれども)、先日の原強化部長のインタビューなんてのは実にタイミングが良かった。
ある程度の情報の透明性と明快なメッセージさえあれば誤解は生じようがない。それがないから目先の結果に惑わされて誤解が生じるのだ。

それにしても竹内社長は前・社長(現・特別顧問)の早川“イワヲ”巌氏に比べると影が薄い。まあ鈴与のやり手で、某アンチサッカー系夕刊紙には"独裁者”とまで書かれたイワヲ氏は逆にとても目立つタイプだったので比較することはないんだが、昨年4月の報道によると経営体制はイワヲ氏が特別顧問に就任し、会長に片山直久氏が就任し3頭「トロイカ体制」と話していた。特集で取り上げられた社長さんと比較すれば社長の個性はそれほど見えてこない。
メインスポンサーの鈴与は実に堅い会社なので(航空事業には驚いたとはいえ)、クラブ経営に極端なヴィジョンは描かないとは思うが、まあ、それが竹内社長とアフシンや強化部長との役割分担とも言えるとも思う。経営が「保守的」とは聞いたことはあるけれども、情報の透明度は割合高いのではないかと思うのだが…。何てったって清水というクラブは、言わなくてもいいのにアレックスが「クラブの経営」を慮って移籍したクラブなのである。

<清水を運営するエスパルスは26日、静岡市内のホテルで第17期(11年2月1日~12年1月31日)決算を発表した。売上高は前期を3億6800万円下回る31億1800万円。純損失は前期より200万円改善したものの、7700万円と2年連続の赤字決算となった。
 昨年は東日本大震災の影響もあり、集客の落ち込みが目立ち、リーグ戦の1試合平均は前期比12・2%減の1万5801人。カップ戦は前期比より3試合減となったため、69%減の1試合平均9290人だった。
 Jリーグは来年から5つの基準から成り立つクラブライセンス制度を導入。竹内康人社長(52)は「1試合平均17800人が今季の目標。累積損失の解消に向け売り上げの維持、拡大、費用面の見直しを行っていく」とするとともに、静岡市とも連携。ホーム・アウスタ日本平の「大幅な改修」へ協力を要請する。
 早川巌代表取締役会長(68)が特別顧問に就任し、日本興業銀行OBで鈴与㈱参与の片山直久氏(67)が新たに代表取締役会長に就任。竹内社長は「トロイカ体制になる」と話した。>(スポニチ 2012年4月27日付

クラブのヴィジョンに関しては納得、支持しているのだけれども、この報道での昨年の課題、クリアしていないような気がする…。

サッカー批評、次は「20年目のサポーター論」らしいです。これは楽しみ。
 
プロサッカークラブが果たす地域のシンボルとしての役割/㈱エスパルス・竹内康人社長(カンパニータンク)
新体制発表記者会見(13.01.25)(J's Goal 1月25日付)

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