●宇宙探査●月と火星を第2の地球に!―SPE―         科学技術研究者   勝 未来

                 ~各国は月と火星の探査計画を着々と実行に移している~   

●宇宙探査●月の物質からどうやって「酸素」や「水素」や「水」を作り出すのか

2013-03-31 13:01:55 | 月の資源
 人類が月面工場を建設する際、「酸素」や「水素」や「水」が欠かせないが、これらをどうやって月の物質からつくりだすのであろうか。「人類の夢を育む天体『月』―月探査機かぐやの成果に立ちて―」(長谷部信行・桜井邦朋編/恒星社厚生閣刊)に、これにつての解説があるのでここで紹介する。


 月の物質は、その大部分がケイ酸塩鉱物と金属酸化物からなっており、重量比で約45%の酸素が含まれている。しかし、これらの酸素は、シリコン、アルミ、鉄、チタンやその他の金属と大変強く化学結合している。

 月の物質のケイ酸塩鉱物から「酸素」を抽出する方法は、ケイ酸塩鉱物を1500~1800℃で溶融させ、直接電気分解することによって得られる。

 また、月の物質である金属酸化物から、気相熱分解により「酸素」を抽出する。次に、酸化鉄(FeO)を多く含むガラス質を水素還元法により、「金属鉄」と「水」を製造する。

 一方、月の海には、チタンに富んだ土壌で、イルメナイトと呼ばれる鉱物がある。これらは、長い間太陽風に曝されて水素や揮発性ガス(ヘリウム、窒素、炭素、硫黄など)を大量に吸蔵している。この「水素」は、レゴリス(月の表層を覆っている非常に細かい砂の層)を約700℃に熱することで、その大部分を取り出すことができる。

 さらに、このイルメナイトを還元し、生成したCO2をCOとO2に電気分解し、COを再利用することが考えられている。

 レゴリスから「酸素」を製造する方法は、いろいろ考えられているが、水素還元法が、「酸素」を容易に抽出・分離でき、かつ還元剤である「水素」を再利用することができるので、一番効率的だと言われている。

 このほか、レゴリスの還元法として、メタン(CH4)、フッ素(F2)、一酸化炭素(CO)を利用した方法が考えられている。その一つに、レゴリスからフッ素還元法を使い、二酸化ケイ素(SiO2)から「酸素」を抽出することも考えられている。

 
 
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●宇宙探査●核融合の原料の一つ「ヘリウム3」は、月に大量に存在するというが・・・

2013-03-27 14:30:18 | 月の資源


 東京電力福島第一原子力発電所の事故は、核分裂を利用した現在の原子炉の危険性を世界に知らしめた。また、核廃棄物処理についても今のところ抜本的解決の道筋すら立っていない。現在、わが国では新しい原子炉の高速増殖炉「もんじゅ」の開発に取り組んでいるが、これまで事故が相次ぎ、一部ではその危険性が指摘されている。

 そこで、注目を集めているのが核融合を利用した原子炉の開発だ。核分裂の利用に較べ、核融合炉は次のような特徴を有すると言われている。①核分裂反応のような連鎖反応がなく、暴走が原理的に生じない② 高レベル放射性廃棄物が継続的にはあまり生じない③機能喪失時の炉心溶融リスクがない―など。

 つまり、核融合炉は、核分裂炉のように、常に核分裂の暴走の危機に晒され、大量の放射性廃棄物の処理を迫られることから、避けることができるというのである。

 これまで、核融合炉の開発は、旧ソ連、日本、米国、中国などで行われて来た。現在においては、日本、EU、米国、ロシア、中国、韓国、インドが参加して、国際機関「イーター国際核融合エネルギー機構」が結成され、現在、各国の協力の下、国際熱核融合実験炉「ITER(イーター)」の開発が、フランスのカダラッシュで進められている。

 核融合炉においては、「D-D反応」「D-T反応」「 D-3He反応」の3つの反応が候補に上っている(D:重水素、T:三重水素<トリチウム>、3He:ヘリウム3)。この中の「 D-3He反応」は、必要な温度が高く、技術的にも大変難しいとされ、実用化されるのはまだかなり先になりそうであるが、長いスパンで考えると、実用化は不可能ではないであろう。

 この「 D-3He反応」で使われるヘリウム3(3He)は、地球上にはわずか数百㎏しかないが、月の表面には数百万トン存在するという。そうなると、遠い将来、月面でヘリウム3を原料として、核融合発電を行い、それをレーザーやマイクロ波に変換して地球に送り届けることも考えられる。

 こうなると、他国に先駆け月面上のヘリウム3を見つけ出し、自国のものにする争いが、将来起こらないという保証は何処にもない。仮に条約を結んだとしても、実効支配ということで、特定の国がヘリウム3を独占することも考えられる。

 このヘリウム3に限らず、月の資源は、最初に発見し、自国のものだと宣言した国の所有となるのか。もし、そうならず、世界各国の共有の資源となるとしたら、他国に先駆け月までロケットを飛ばし、リスクを負い月面工場を建設し、月の資源を確保した、最初の国の権利はどう保証されるのか。今や世界各国は、この問題から目を背けることはできない。(勝 未来)
 
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●宇宙探査●ジェラルド・オニールの宇宙ステーション「スペースコロニー」構想とは?

2013-03-23 11:16:23 | 宇宙ステーション
 米国の物理学者のジェラード・オニール(1927年―1992年)は、1970年代の半ばに人類が宇宙空間に乗り出し、地球外で生活することができる大規模な宇宙ステーション「スペースコロニー」の建設構想を発表した。

 このスペースコロニーを建設するための建設資材は、それまでに人類が建設しているであろう月面基地から運び出されることになっている。

 そして、このスペースコロニーの建設場所は、太陽、月、地球の中間に位置するラグランジュ点がいいと提案している。

 スペースコロニーの大きさはというと、円筒形を基本とし、その直径は3-6㎞、円筒の長さは30㎞にも達する大規模な構造となっている。全体は6分割され、人間の居住地区は一つ置きとなっている。その間の3つの場所には、開閉できる鏡板が設置され、太陽光を反射して内部に導き、開閉によって昼夜をつくりだす。

 人間の居住地区には、人工池や川、さらに公園もつくられ、地球上とそう変わらない生活環境を創出することになるという。また、スペースコロニー自体を回転させ、人工重力もつくる。

 このスペースコロニー構想が注目されるのは、単なる夢物語ではなく、物理学者が科学的見地に立って打ち立てたところにある。月旅行が可能となってきたきた現在、ジェラード・オニールの「スペースコロニー」構想は、単なる夢物語ではなく、現実味を帯びてきたと言えないだろうか。

 ジェラルド・オニールは、米国の物理学者で、宇宙開発に関する先駆者。1969年、プリンストン大学で「オニールのシリンダー」と呼ばれるスペースコロニーのアイデアを研究・提案した。1975年には、オニールのスペースコロニーのアイデアを大衆側からサポートするL5協会が結成された。1977年、オニールはプリンストン大学に宇宙研究所を創設し、宇宙ステーションのほか、宇宙移民、太陽光発電衛星、月および小惑星での採掘なども研究した。


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●宇宙探査●月面基地の建設はどのように進めるのか

2013-03-21 14:52:07 | 月面基地
 月面生活は、地球とは比べ物にならないくらいの過酷さが待ち受けている。まず、放射線環境である。月面では、銀河宇宙線の主成分である高エネルギー原子核成分(陽子、ヘリウム、重元素など)が降り注いでいる。これは、ガンマ線や電子線に比べて大きな吸収線量を持ち、生物に致命的な打撃を与えることになる。

 このため、月面生活を行うには、まず、これらの放射線から身を護るにはどうしたらいいのかが大きな問題となる。月面基地建設当初には、遮蔽物をつくることは不可能なことだ。そこで、現在有望視されているのが、月の地下に長く広がっていると見られる火山性の洞窟である溶岩チューブを利用する方法である。溶岩チューブは、溶岩が流れ出したあとにできる空洞のことである。

 この溶岩チューブを利用すれば、高エネルギー原子核成分を持つ放射線から逃れることができるし、月面に衝突する微小隕石から身を護れる。また、夜間-200°C、昼間は100°Cという温度変化も、溶岩チューブ内ならば一定の温度を確保しやすい。さらに、月面を覆っているレゴリスという細かく砕かれた砂のような物質から、人間や機械を護ることも可能となる。

 この溶岩チューブを利用した生活空間が確保された後に、初めて分厚い遮蔽物を持つ月面基地の建設が可能となる。さらに、これを延長させて、月面工場の建設や火星などへ向けてのロケット発射基地の建設が開始される。
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●宇宙探査●米スペースX社のドラゴン補給船運用2号機、ISSとの接合に成功

2013-03-05 13:50:37 | 宇宙ステーション
 米スペースX社のドラゴン補給船運用2号機「SpX-2/CRS-2」は、国際宇宙ステーション(ISS)との接合に、3月3日成功した。

 今回のSpX-2フライトは、ISSに補給物資を運搬と物資の回収を行うミッションで、ドラゴン補給船としては4度目のフライト。

 SpX-2フライトでは、約544kgの補給品をISSに運搬し、約1043kgの実験成果やISS関連機器などを回収する予定という。

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●宇宙探査●中国、2013年後半に月探査機「嫦娥3号」を打ち上げ

2013-03-01 22:53:11 | 月面探査
 中国は、月探査機「嫦娥3号」を2013年後半にも打ち上げる計画を進めている。

 「嫦娥3号」は、原子力電池を搭載した小型探査車を月まで運び、3か月間におよぶ月面探査を行うことを目指しているという。

 着陸地点は「虹の入り江」(Bay of Rainbows)で、着陸後は探査ローバーにより月面調査を行う。この成果は将来の月面基地建設の候補地選定のために活用されるとみられる。

 次に計画されている「嫦娥5号」は、2017年頃までに打ち上げられる予定という。この「嫦娥5号」は、月のサンプル採取・回収ミッションを行う。また、月からのロケットの再打上げもテーマとして上げられている。

 さらに中国は、第2段階(2025年~2030年)で短期の有人滞在、第3段階(2030年以降)で長期滞在の有人月面基地の構想を持っているという。


 
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