●宇宙探査●月と火星を第2の地球に!―SPE―         科学技術研究者   勝 未来

                 ~各国は月と火星の探査計画を着々と実行に移している~   

●宇宙探査●JAXAと鹿島建設など、月での無人による有人拠点建設をイメージした2種の自動化建設機械による実験を行い成果

2019-03-31 00:03:08 | 天体観測施設

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と鹿島建設は、芝浦工業大学、電気通信大学、京都大学とともに、宇宙での拠点建設と地上での建設技術の革新を実現するために、2016年から「遠隔操作と自動制御の協調による遠隔施工システムの実現」を目指した共同研究開発を進めてきたが、3年間の研究開発を経て、このほど鹿島西湘実験フィールド(神奈川県小田原市)において、月での無人による有人拠点建設をイメージした2種の自動化建設機械による実験を行い、拠点建設の実現可能性を見出すことができた。

 これまで多くの人手に頼っていた建設産業においては、将来の熟練技能者不足への対策として様々な取り組みが進められており、鹿島では、建設機械の自律・自動運転を核とした次世代の建設生産システム「A4CSEL(クワッドアクセル)」を開発し、2015年から建設現場に適用している。

 そこで、宇宙での拠点建設に向けた課題解決策として、A4CSELの開発で得た自動化施工技術を導入し、遠隔操作と自動制御の協調による遠隔施工システムの実現を目指し、JAXAをはじめとした5者による共同研究開発を進めてきた。

 これまでの共同研究開発により、A4CSELの自律的安全機能を採り入れた自動化建設機械による効率的な協調作業を実施できた。今回の成果をもとに、システムの機能・性能の向上を図ることでより現実的な技術を確立し、地上における革新的な建設作業を目指すとともに、宇宙での拠点建設の実現に向け、GNSS(衛星測位システム)が使えない月や火星での高精度な位置推定技術、正確な地形認識技術、不安定な通信環境下におけるシステムの安定性確保など、さらなる研究開発を進めることにしている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●宇宙探査●JAXAなど、世界初の宇宙食料マーケット創出を目指す「Space Food X」プログラムを始動

2019-03-29 14:46:59 | その他

 リアルテックファンド(東京都港区)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、シグマクシス(東京都港区)とともに、JAXAの共創型研究開発プログラム「宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」の取り組みの一環として、宇宙および地球上における食料の生産・供給に関する課題解決ならびにそれに伴うマーケットの早期創出を目指す「Space Food X(スペースフードエックス)」プログラムを始動することになった。

 「サステナブル(地球環境を保全しつつ持続が可能な産業や開発)で“Well-being(身体的・精神的及び社会的に良好な状態)”な人類未来社会を実現する」をビジョンとして掲げ、多種多様な30以上の企業・大学・研究機関・有識者等と共に、同プログラムを推進していく。    月面や火星などにおける長期の宇宙生活をサステナブルに行うためには食料確保が不可欠であり、地球からの食料輸送に加えて、現地にて少ないリソースで効率的に食料を生産することのできる技術が求められている。

 宇宙での食料生産に向けては各国においても生産モジュールの検討・研究開発が進められているが、生産効率や生産可能な食料の種類などの観点で開発要素や検討課題が数多く残されている。

 遠隔操作ロボットや3Dフードプリンターなどのロボット・AI技術の他、日本には、和の精神に基づく世界有数の優れた食文化が存在しているが、これらの優れた技術・食文化を最大限に活用することで、宇宙生活における優位性の高い閉鎖型物質循環・食料生産システムや食料供給サービスなどを構築することが可能であり、ここで構築されるプロダクトやサービスは宇宙と地球の共通課題である食料問題を解決し得るものと考えている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●宇宙探査●JAXA、米科学誌「サイエンス」に「リュウグウ」の初期成果をまとめた論文発表

2019-03-27 14:31:24 | 宇宙探査機

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、小惑星探査機「はやぶさ2」による小惑星「Ryugu(リュウグウ)」の探査活動に基づく初期成果をまとめた論文を米科学誌「Science(サイエンス)」に投稿したが、同誌のウェブサイトに3月19日に掲載された。

 これによると、投稿内容は次のような内容を含む。

 「リュウグウ」は顕著な円形の赤道リッジをもつコマ(独楽)型(spinning-top shape)をしていることがわかった。従来知られているコマ型小惑星は、高速自転天体(自転周期が4時間程度以下)がほとんどであったが、「リュウグウ」の自転周期は7.6時間とゆっくりである。形状モデルの解析から、赤道断面の円形度および中低緯度帯の軸対称性が高いことがわかり、遠心力による変形が生じた可能性が高い。リュウグウの現在の形状解析から、自転周期を3.5時間にした場合、重力(引力+遠心力)に垂直な水平面に対して表面の傾斜が31度でほぼ一定となることが明らかになった。これは、「リュウグウ」の形状が、かつてこのような周期で高速自転していた際に作られたことを示唆する。

 精密な重力計測と形状モデルから、「リュウグウ」のバルク密度(質量を体積で割った値)は、1.19±0.02 g cm-3と低いことが明らかになった。炭素質コンドライト隕石の粒子密度を使うと、空隙率(粒子間にある空隙の体積割合)は50%以上となる。この空隙率は小惑星探査機「はやぶさ」が訪れた「イトカワ」の44±4%よりも高い。「イトカワ」はその高い空隙率などから、破壊された母天体の破片が再集積して形成されたラブルパイル(瓦礫)天体とされている。「リュウグウ」表面に「イトカワ」の2倍の密度で大きな岩塊が分布することと合わせて、「リュウグウ」はラブルパイル(破砕集積体)天体である可能性がきわめて高い。コマ(独楽)型の形状は過去の高速自転により形成された。  

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●宇宙探査●宇宙探査のアイスペース、2020年に月周回軌道投入、2021年に月面着陸・月面探査の実現を目指す

2019-03-24 06:38:25 | 月面探査

 宙探査のアイスペース(袴田武史社長)は、現在、月面探査機「HAKUTO‐R」による月面探査ミッションを推進しており、2020年に月周回軌道投入、2021年に月面着陸・月面探査の実現を目指している。

 同ミッションには、日本航空(月着陸船の組み立てや燃料パイプ溶接、非破壊検査、輸送)、三井住友海上火災保険(月保険の設計などリスク管理)、日本特殊陶業(全固体電池の実証実験)の3社が参画する。

 月面探査が実現すれば民間企業による初の快挙となる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●宇宙探査●「SUWA小型ロケットプロジェクト」、最高高度2501mに達しロケット4号機の打ち上げ実験に成功

2019-03-21 09:45:14 | ロケット

 長野県諏訪地域の企業や信州大学、自治体などで構成する「SUWA小型ロケットプロジェクト」は、3月17日にロケット4号機「SRP004」を秋田県能代市で打ち上げ、点火22秒後に最高高度2501mに達し、海に着水し、実験は成功した。

 今年度の課題にあったシミュレーションによる正確な着水位置の推定はクリアでき、また開発から作製まで手がけた2段パラシュートの作動も無線信号により確認された。

 平成31年度は、同プロジェクトの5年計画の最終年度にあたり、音速を超えるためのエンジン開発、音速超えに耐える機体や計測器の作製を行うことにしている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●宇宙探査●インターステラテクノロジズ、観測ロケット「MOMO」の後継機「ZERO」開発へ

2019-03-20 14:20:31 | ロケット

 ロケット開発会社のインターステラテクノロジズ(IST、北海道広尾郡大樹町、稲川貴大社長)は、従来よりも低コスト(1回あたり約6億円以下を想定)かつ高頻度で超小型衛星を打ち上げ可能な宇宙輸送事業の実現をミッションとして掲げており、その実現に向け衛星軌道投入ロケット「ZERO」の開発を現在進めている。

 「ZERO」は、既に開発完了段階にある同社開発の観測ロケット「MOMO」と比較して、より機体サイズが大きく、打ち上げ能力が高いロケットで、開発難易度も「MOMO」と比較すると高くなる。

 「ZERO」の開発に当たり、同社のミッション・事業に共感する企業・団体によるサポートチーム「みんなのロケットパートナーズ(略称:みんロケ)」が始動した。現在、8企業・団体がパートナーとして参加している。

<みんなのロケットパートナーズ 発起人>

    佐渡島庸平(コルク会長、「宇宙兄弟」編集者)
    岡田武史(FC今治オーナー、元サッカー日本代表監督)
    山崎直子(宇宙飛行士)

<みんなのロケットパートナーズ パートナー>

    丸紅
    北海道大樹町
    レオス・キャピタルワークス
    日本創生投資
    キャステム
    ユーグレナ
    バスキュール
    宇宙航空研究開発機構(JAXA)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●宇宙探査●ロケット開発のインターステラテクノロジズ、2社とスポンサー契約締結

2019-03-19 22:44:54 | ロケット

 インターステラテクノロジズ(北海道広尾郡大樹町、稲川貴大社長)は、投資運用会社のレオス・キャピタルワークスおよび日本創生投資と、次回打ち上げ実験を実施する予定の観測ロケットのスポンサー契約を締結した。

 <スポンサー契約内容>

 ①ネーミングライツ(命名権)販売 

 「MOMO3号機」は、命名権を取得した丹下大氏によって「宇宙品質にシフト MOMO3号機」と命名され、ロケットの機体には「宇宙にシフト!宇宙品質」と掲載される。

 ②ロケット機体への広告の掲載

 「宇宙品質にシフト MOMO3号機」の機体には、レオス・キャピタルワークスが運用する投資信託「ひふみシリーズ」のイメージキャラクター「ひふみろ」および日本創生投信のロゴをデザインする。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●宇宙探査●JAXAとトヨタ、国際宇宙探査ミッションへの挑戦で合意

2019-03-12 19:40:04 | 月面探査

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)とトヨタ自動車は、国際宇宙探査ミッションでの協業の可能性を検討していくことについて、合意した。
 
 その第一弾として、これまで共同で検討を進めてきた「燃料電池車(FCV)技術を用いた、月面での有人探査活動に必要なモビリティ『有人与圧ローバ』」について、さらに検討を協力して加速することに合意した。月面まで輸送し得るエネルギーが限られる中、この有人与圧ローバは、月面で1万km以上の走行を可能にする。
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●宇宙探査<新刊情報>●「地球外生命と人類の未来」(アダム・フランク著/青土社)

2019-03-11 17:34:42 | ●宇宙探査<新刊情報>●

 

<新刊情報>

 

書名:地球外生命と人類の未来~人新世の宇宙生物学~

著者:アダム・フランク

訳者:高橋 洋

発行:青土社

 遥か昔から、作家たちは地球外文明について思索してきた。何億もの惑星が何億年も存在してきたのであれば、高度に発達した文明がどこかにあってもいいものだ。しかし、われわれは未だ「地球外文明」になど接触していない。宇宙に地球外生命や地球外文明は存在するのかという問題提起をベースにし、人類の喫緊の問題である気候変動など地球生態学的な問題を、宇宙物理学や宇宙生物学の視点から領域横断的にとらえたユニークな一冊。地球外生命体の可能性を考えることによって見えてくる、地球人が抱えた絶滅の危機に迫る!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●宇宙探査●JAXA、ISS日本実験棟「きぼう」利用サービス提供事業者にSpace BDを選定

2019-03-08 15:11:46 | 天体観測施設

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」の船外プラットフォームにおける軌道上利用サービスを提供する事業者について、平成30年12月5日より公募型企画競争を実施し、厳正なる評価の結果、Space BDを選定した。

 選定された事業者は今後、独自の営業活動を開始し、2020年4月より、部品・コンポーネント実証実験や地球観測ミッション等のために「きぼう」を利用したい国内外のユーザに対して、軌道上利用サービスの提供を行う。

 JAXAでは「きぼう利用戦略」に基づき、「きぼう」の利用事業について、民間等による事業自立化(民間への開放)を目指しているが、今回、超小型衛星放出事業の民間開放に続く第2弾となる。

 2016年、JAXAは船外実験プラットフォームに取り付ける中型曝露実験アダプター(i-SEEP)を開発し、2016年に運用を開始した。これは、従前より手軽に宇宙実証が可能な船外実験プラットフォーム化(利用機会の高頻度化、定時化)を目指し、ISSにおいて「きぼう」だけが持つ強みであるロボットアーム及びエアロックの両機能を活かしたもの。

 これまでのi-SEEPの利用例としてはJAXAの技術開発ミッションとして実施した民生品ベースのハイビジョンカメラや小型ホイールの軌道上実証、ソニーコンピュータサイエンス研究所による光通信軌道上実証(今後予定)、Space BD及びスペイン宇宙ベンチャーSatlantis社による小型衛星向け双眼鏡の軌道上実証(今後予定)などがある。

 これまでJAXA単独での有償利用サービスを提供してきたが、今後は軌道上利用サービス提供事業者が、民間ならではのアイデアやサービスにより、国内外に広く独自のサービスを提供することで更なる船外の利用需要を拡大することが期待される。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする