現在、重力波の観測一番乗りに各国が競っているが、現在、日本において、人工衛星を使い重力波を観測しようという 0.1ヘルツ帯干渉計型重力波天文台による「DECIGO」計画(DECi-hertz Interferometer Gravitational wave Observatory)が、国立天文台などが中心となり進められている。
DECIGO計画は、1,000 km離れた3台のドラッグフリー衛星から構成され、重力波によって引き起こされる衛星間の距離のごく微小な変化を、レーザー干渉計を用いて計測するもの。
ドラッグフリー衛星とは衛星の中に浮かぶ基準質量に対して、衛星全体の相対位置を制御することにより、太陽輻射圧などの影響を受けずに、重力のみで運動する人工衛星のこと。
現在、わが国では地上検出器の重力波望遠鏡「かぐら(KAGRA)」による「LCGT」計画( Large-scale Cryogenic Gravitational wave Telescope)が推進されている。これは、岐阜県の神岡鉱山内にスーパーカミオカンデやカムランド、XMASSと同じ地下に建設されており、レーザー干渉計の基線長は3,000m。
一方、DECIGO計画では、宇宙空間に浮かぶ0.1~10 Hzの周波数帯を狙う重力波検出器であり、地上検出器である「LCGT」計画の次の日本の計画として、現在推進されている。
DECIGOの最大の目的は、重力波を通して宇宙誕生直後の世界(10-36~10-34秒後)を直接観測し、宇宙誕生の謎を解き明かすこと。これは、重力波でのみ可能なことであり、電磁波では宇宙誕生後38万年以前の世界は観測できない。
これ以外にも、宇宙の膨張加速度の計測によるダークエネルギーの性質の解明や、銀河の中心に存在する巨大ブラックホール形成の観測も期待されている。