ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

五羽のカモメと四隻の船

2009-02-23 21:00:04 | 寓話集まで
   
この五羽のカモメたちは群れであるというよりおのおの気儘に存在している
だが共にあることを止める気配がない
四隻の船は停泊していたり座礁していたり横転していたり航行していたり別のカテゴリーのなかで行動しておりおのおのお互いに存在していないもののようだ

うみがそらであり
そらがうみである
陸はうみでなく
そらは陸でない
近くの半島は遠く
遠くの岬は近い
放置されたワイセツな枯れ木が無人の築港への進入路である

八個のテトラポッドが人であったり入であったり黄色かったりグレイがかったり白が勝ったり一つとして同じでない
三棟の質素なあるいは粗末な建築はそれぞれの役割を負い山を背負い湾に面したあるかないかの土地に軒を重ねている

五羽のカモメたちの中に平和を希求するふりをした白いハトが紛れ込んでいたかもしれないし
四隻の船の中には酔どれの幽霊船が数えられてヨーロッパからフロリダあたり目指していたのが今ごろジャマイカのキングストンの港に迷い込んでいるかもしれない


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1 コメント

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画家常山俊明 ()
2009-05-27 00:16:31
 この詩は、同級生の画家常山俊明が描いた絵に付けたもの。以前、霧笛で気仙沼の市民文化祭に参加したとき、絵を描いてもらって展示して、それにあわせて詩も展示した、のだったと思う。
 絵自体は、常山に返しているが、当時の霧笛に写真を載せている。そのうち、霧笛探すか、あるいはいっそ、絵自体を借りて写真載せたいと思う。
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