第3部 海の碧と空の蒼
語り
ひとりの老紳士とひとりのご婦人が、こざっぱりとした身なりをして、洋傘をステッキ代わりにしてはおりませんが、小さな入り江を囲む港のあたりを、こんなことを言いながら歩いておりました。
紳士
―ぜんたい、ここらのまちは怪しからん。木造2階建て瓦葺の昔ながらの町家があるかと思えば、鉄筋コンクリートのビルもある。中途半端に西洋の真似をして、表だけ四角く囲った店も多い。全く、雑然とうるさいことだ。
婦人
―本当に… でも、内湾を囲んで、家並みが続き、なかなか風情のあるまちじゃありませんか。それぞれの建物の表に掲(かか)げた、屋号・印(しるし)も面白い…
紳士
―明治維新この方、西洋の文明摂取にやっきとなって、古来のわが国の文化はなおざりにされてきた。
婦人
―あら、あなたも、ザンギリ頭に、イギリス紳士風のジャケットをはおって、良くお似合いですよ。ちょんまげに羽織袴ではねえ…
紳士
―確かに、この地にいながら、モーツァルトは聴ける、プッチーニも聴ける。西洋音楽を学んだ日本人作曲家の名曲も数多い。みなとまつりには、伝統の打ちばやしも勢ぞろい。和と洋、西と東の融合、ベストミックス。
婦人
―海も青ければ、空も青い。山にも青々と木が茂っています。
語り
空は、良く晴れ渡って、南の空に太陽が出て、海は、きらきらとその光を反射しています。湾を囲む山なみは、茶色がかった針葉樹や、枯れ枝の広葉樹が目立ちますが、季節が巡れば、青々と若葉が吹き出します。
紳士
―洋の東西を問わず、古き良きものを学び、伝え、そのうえで、新しい文化を創造する。このまちの子どもたちも、現在のこの国の、そして、この土地の良きものを体得して、次のカルチャーを生み出していって欲しいものだ。
婦人
―本当に…
語り
ひとりの老紳士とひとりのご婦人が、こざっぱりとした身なりをして、洋傘をステッキ代わりにしてはおりませんが、小さな入り江を囲む港のあたりを、こんなことを言いながら歩いておりました。
紳士
―ぜんたい、ここらのまちは怪しからん。木造2階建て瓦葺の昔ながらの町家があるかと思えば、鉄筋コンクリートのビルもある。中途半端に西洋の真似をして、表だけ四角く囲った店も多い。全く、雑然とうるさいことだ。
婦人
―本当に… でも、内湾を囲んで、家並みが続き、なかなか風情のあるまちじゃありませんか。それぞれの建物の表に掲(かか)げた、屋号・印(しるし)も面白い…
紳士
―明治維新この方、西洋の文明摂取にやっきとなって、古来のわが国の文化はなおざりにされてきた。
婦人
―あら、あなたも、ザンギリ頭に、イギリス紳士風のジャケットをはおって、良くお似合いですよ。ちょんまげに羽織袴ではねえ…
紳士
―確かに、この地にいながら、モーツァルトは聴ける、プッチーニも聴ける。西洋音楽を学んだ日本人作曲家の名曲も数多い。みなとまつりには、伝統の打ちばやしも勢ぞろい。和と洋、西と東の融合、ベストミックス。
婦人
―海も青ければ、空も青い。山にも青々と木が茂っています。
語り
空は、良く晴れ渡って、南の空に太陽が出て、海は、きらきらとその光を反射しています。湾を囲む山なみは、茶色がかった針葉樹や、枯れ枝の広葉樹が目立ちますが、季節が巡れば、青々と若葉が吹き出します。
紳士
―洋の東西を問わず、古き良きものを学び、伝え、そのうえで、新しい文化を創造する。このまちの子どもたちも、現在のこの国の、そして、この土地の良きものを体得して、次のカルチャーを生み出していって欲しいものだ。
婦人
―本当に…
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