ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

波止場のエディ 気仙沼2005 Ⅷ 港のカウンターバー

2021-03-06 21:39:56 | 波止場のエディ
 夜の波止場に霧が深い。
 マッチを擦るつかの間、サングラスの横顔が浮かび上がる。
 バー・カウンタ-の小さな四角い籠の中に、きっちりと、店の名前の入ったマッチが並べてある。そんな時代遅れの酒場が、俺には似合っている。
 「この国の、どこかに、まだそんなお店が残っているかしら?」
 エリカ、この街には、この夢の街には、まだ、一軒だけ、化石のようにそんな店がある。
 バーテンダーは、うんとドライなマティーニをつくる。女の子には、スイートなマティーニをつくることもできる。
 でも、エリカ、おまえを連れて行くには、まだ早い。


注Ⅰ)内湾にほど近い南町マンボ通りに、バー・ダンヒルがあった。震災の後、再開はならなかった。バーテンダーでマスターの新沼さんは、現在、サイフォンでコーヒーを入れるヴァンガードの午前中の常連である。マンボは、近くに移転再開。春には、いちごババロアが人気である。
注2)「マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」は、寺山修司の代表作。


※現時点では、全8話でとりあえずの終結。

付録)気仙沼市南町ヴァンガードでコーヒーを(Yahoo!ニュース)
   文・千田基嗣 写真・佐藤慧

付録)こちらは私のブログから


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