◆あっという間に秋の彼岸、定年退職してからもはや二年半ともなる。しかし、なんだろう。ふと気づくと、追い立てられるような気持ちが失せている。人生において何ごとか成し遂げねばならぬという切羽つまった思いは消えたように思える。世に出ねばならぬ、名を上げねばならぬ、とどこかで思いこんで生きてきた。七月に五冊目の詩集を上梓した。四~五〇歳代にかけて、仕事のこと、文化芸術にかかること、ひとりでやったことは一つもないが、集団の一員としてそれなりの達成はあった。ものの本を読んで、また、何ごとか考えて好きなように文章を書くこともできている。休日に自分で淹れたコーヒーを妻とともに飲む。生きる目標などはなくたって構わない、のかもしれない。悟りの境地に至ったのか。成仏した涅槃に入ったお陀仏だ、みたいな話か。おかしな話だ。今後菩薩を名乗って生きようか。煩悩菩薩。
◆次には、ほんとうに美しい詩集を作りたいものだ。
◆次には、ほんとうに美しい詩集を作りたいものだ。
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