ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

風の音

2009-02-12 23:14:20 | 寓話集まで
   
坂道を下ると
風の音がする
良く晴れた空
みなとの光景

函館や小樽や神戸の坂
長崎は未だ見たことがない
横浜の坂はちょっと違う気がする

神戸を見たのは
震災の前
ちょうど、一年ほど前だった

トリエステなどという東地中海のみなとまちは
想像するほかない
想像するにも術がない
どんな坂道がそこにあるのか
どんな人々がその坂を下るのか

ヨーロッパの美しいまちを
そのかたちを真似するのでなく
落ち着いた統一性を真似ぶ
学ぶ

明治以前の日本のまちなみいえなみにあったはずの
おのずと備った統一性
地場の材料に頼らざるを得なかった地域性
それらはいま
あえて求めずには得られないもの

良く晴れた秋の日
みなとを見下ろしながら
坂道を歩くと
風の通り道に沿って
ここちよい風の音が
聞こえてくる


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1 コメント

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須賀敦子 ()
2009-04-05 00:15:05
 須賀敦子は、地元の本読みの先達のお宅で見つけて、勧められ、読み始めた。一語読み始めて、取りつかれた。透明な上品さ。戦前からの裕福な家の子女。高度成長期以前のあこがれに満ちた欧州。
 ぼくらが憧れ学ぼうとし一生に一度は訪れてみたいと思ったヨーロッパ。
 須賀敦子のイタリアと、私の気仙沼をいささかでも重ねられたら望外の喜び。
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