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ミセスローゼンの道後日記

近未来見て来しやうな蜻蛉かな


「今日の写真と句」
裏庭の草に止まった半空蝉半蝉様の物を蟻が這い回っている。気持ち悪くて物悲しい。ジブリ映画「風の谷のナウシカ」の「王蟲」はこういう物から空想したのかなと裏庭に立ったまま考えていると、ふと空から何者かに見られている気がした。蜻蛉が中空にホバリングしていた。



「ハイフェッツとカラヤン」

カラヤン&ベルリンフィルのブラームスのYouTubeを見ていた。他の指揮者では見た事ない、無言の魔法のような技を使っている。「カラヤンはやっぱりすごいね。」という話から昔話となった。ハイフェッツの愛弟子の一人であったヴァイオリニストのピエール(アモイヤル)から聞いた話。

僕がハイフェッツクラスを卒業してヨーロッパへ帰るという時、ハイフェッツ先生がこう仰った。

「二つだけ約束して欲しい。一つはカラヤンと共演しないこと。二つ目はマキシムへ行かないこと。約束できるかね?」

当時のピエールは高級フレンチにもカラヤンにも縁がない気がしたので、「約束します。」と、気軽に答えてLAを去った。月日は流れ、ある時カラヤンから演奏会のオファーを受けたピエールは、あの約束がまだ生きているかどうかもわからず、この魅力ある誘いを到底断る事は出来なかった。コンサートが終わって、いつものようにハイフェッツ先生に挨拶の電話をかけたところ、「先生は電話に出られません。」と秘書に言われ、「かけ直して下さい。」と頼んでも電話は来なかった。何度電話しても同じ事の繰り返し。秘書に理由を聞いたところ、「ハイフェッツ先生はあなたがカラヤンの為に弾いた事をご存知です。」と言われた。それ以来、ハイフェッツはピエールと絶縁したまま亡くなった。
ちなみに、何故マキシムに行かせたくなかったか聞いてみたら、ハイフェッツが若い頃マキシムにゲストを連れて行ったら、ネクタイ無しで入れないと門前払いをされたからだという。

「私はヤッシャ・ハイフェッツだ。」とハイフェッツが胸を張って言うと、給仕長も胸を張り返した。
「ハイフェッツだろうがサウジアラビアの王だろうが、ネクタイをしない客は客ではない。」と、ハイフェッツを追い返した。

それ以来ハイフェッツはマキシムに二度と足を踏み入れなかったそうだ。カラヤンとハイフェッツの間にどんな確執があったか推して知るべし。




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