
十人の手を振る息の白さかな
「わがまま」私のスキークラスが嵐でキャンセルになった。先生の軍隊クラスはもちろん続行。一人でモテルにいてもつまらないので、先生のロッジで待つことにした。先生の運転で、大雨の山中にさ...

雨雲のそのうへにある冬の雲
「卒業試験」今日は晴れ。リフトが動くまであと三十分。どきどきするなあ。若いうちからスキーやってた人には馬鹿みたいなことだろうけど、五十でスキーを始めた(先生も同じ年にスキーに出会っ...

新雪を木の葉のやうに滑りゆく
やった! ピークからベースまで一気に滑った! こけなかった! ぐらつきもしなかった! エッジをピザにしたのも数回だけ! ずっとパラレルで、大きく、小さく、ターンしながら、合流地点以...

短日や一回りして元の道
「前途多難」LPレコードを七十二丁目の古本店に持ってく。店番の男が、あなたの演奏が好きだ、レコードもCDも持ってる、と先生に言う。でもだからといって、たくさん出回っているハイフェッ...

鳩を蹴り鳩につまづく冬日かな
「スキー場で聞いた話1・2」 1 先生の軍団の紅一点、二十代のぽっちゃり美人が、「スキー...

鹿の角当たる音して落葉かな
昨日はさんりんぼう。愚痴を書く。ぐちを聞きたくない人はこちら。簡単バージョン。 「いちりんぼう」 捨てたいのに、捨てられないスピーカーのせいで筋を痛めた。「にりんぼう」」 サーコ...

その女皮手袋を噛んでゐし
「モスボール」なんのかんのいっても引越しが進む。先生のイタリア製の洋服と靴をベッドの上に並べて、一着ずつ行き先を決めてゆく。1、救世軍2、日本3、トランクルーム私は、モスボール(ナ...

待つことに慣れ水仙の窓口に
「忘年会」年末のビッグイベントその一が終わる。友人カップルが自宅に私と先生を招き、結婚祝いの席を設けてくださる。お別れ会と忘年会も兼ねている。シャンパンのコルクを部屋の端までみごと...

雨粒の雪に変はりし馬のかほ
トランクルームの帰り、馬場の前を通る。赤い厩舎が並んでいる。誰でもこの公園で馬に乗れる...

よく見れば落葉の中に七面鳥
日本に箱をいくつか送る。先生は姉の住所と電話を暗記した。先生が電話で、友人にその住所を教えてるのを聞いて、勘違いに気づいた。先生は、姉のラストネームをケーンだと思ってた。アルファベ...