蜜柑のつぶやき ~演出家の独り言~

NPO法人劇空間夢幻工房の演出家/青木由里の日々の呟き。脚本執筆・役者・ワークショップ講師も兼業する舞台人日記♪

劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演「ISHIN version.2024」

NPO法人劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演
タイトル 『ISHIN ~狼たちは最果てに~ version.2024』
脚本・演出 青木由里
出演 青木賢治/栗生みな/村松沙理亜/清水まなぶ/井田亜彩実/導星ゆな 他

日時 2022年9月8日(日)11:00~/15:30~
会場 飯山市文化交流館 なちゅら 大ホール
チケット予約フォーム:https://www.quartet-online.net/ticket/ishin2024

皆さまへ感謝を込めて晴れやかに開催‼
どうぞお楽しみに‼

Simple is the best!

2009年10月24日 15時31分52秒 | 日記
昨日の夕方、ホテル国際21へ。

「夢を追いかける人たちへ贈るトークショー」
             by 紀里谷和明

という講演会に行って来た。

この講演会が始まるまでの30分間
牧さんがヴァイオリンを演奏されると伺い
それに間に合うように行こうと思ったんだけど
会場前に午後6:05到着。
既に牧さんの演奏は始まってました

  牧さん、ごめんなさい

急いで席につき、ヴァイオリンの音色に耳を傾け
ふと正面のスクリーンに目を向けると
紀里谷監督の紹介の合間に
音楽に合わせた映像が映し出されている。

講演会の開始時間は18:30のため
18:15頃から人がどんどん入ってきて
ざわめきが多くなり、ヴァイオリンの音色が
かき消されていく。

  マナーがないなぁ…
  しゃべりたければロビーに行けばいいのに…

と、演奏を聴きたい私は少々イラついた。
牧さんは、場内を歩きながら演奏し始めた。

  聴かぬなら 聴かせてやろう ホトトギス?

と、徐々に静かになり、最後の曲が終わると大きな拍手が♪

  さすが、牧さん!

と、本当に思いました

18:30、主催者であるN氏から挨拶が。
N氏は、5ヶ月前に情熱大陸というテレビ番組で
紀利谷さんを知り、その生き方に魅力を感じて

  会ってみたい
  長野に来てもらいたい

と思ったとか。

私は、紀里谷さんを知らなかったので
どんな講演会をされる方なのか
ネットで事前にサラッと調べたところ
かなり評判が良かったので
聴いてみる価値がありそうだと思ったが
牧さんの演奏がなければ
わざわざ予定をあけてまでは
行かなかったかもしれない。

N氏の話を伺って、ますますどんな人か興味を持ったところで
いよいよ紀里谷監督が登場!

よれよれのGパン姿。
ホテルでの講演会なので客席はスーツ姿が多いのにもかかわらず…
で、飾らない人だと一目でわかった。

年齢41歳。
けど、見た感じは30代に見える。
郷里は熊本の山に囲まれた盆地。
小学校5年生で山の向うの世界に行ってみたいと思い
父に「外国に行かせて欲しい」と言ったそうな。
「なにバカなことを言ってるんだ」と父は一笑したが
その後「考えておくから」と言ってくれた。
紀里谷さんは、その思いずっと持ち続け
中学二年でご家族や先生のご協力を得て
念願の渡米を果たし、米国のハイスクールに入学。
卒業後、様々な経験を経て
突如写真家になりたいと思い立ち
5ヵ月後には雑誌社の仕事を貰うようになり
写真家としてある程度知名度が上がったところで
PPVを撮影してみたいと思い、撮り始め
次は映画を撮ってみたと思って
映画「キャシャーン」を作ることを決意。
あたって砕けろ(?)状態で権利を譲って頂き
60億円かかる予算を6億円で製作したとか。
10分の1ですっ!
けど、「やりたい」と思ったことを
「無理だ」と思わず、やれる手法を考え
決して諦めず、必死に努力をして…
そういう彼の魅力にひかれて
協力する人もいたはず。
だから、映画を完成することが出来たんでしょうね。

その後、「GOEMON」を撮ることになった。
今年、公開され話題になった映画だ。

話し始めから、他の講演会とは異質だった。

  皆さん、せっかくいらしたんだから参加してくださいね。
  問いかけには応えてください。
  参加したいか、したくないか、です。
  参加したくない方は、どうぞあちらへ。

と、出口を指差す。

  コミュニケーションが大切なんです。
  さあ、前後左右の人と握手してみましょう。

と促され、観客はおずおずと照れながら
見知らぬ前後左右の人と握手をする。
思わず笑いがこぼれる。
何となく場の雰囲気が柔らかくなった。

  ほら、これだけでも変わるでしょ?

紀里谷さんは、こうしたワークショップを
数多くやってきたそうだ。
目的は「平和」
間が飛び過ぎで、わかりずらいかもしれないけど
人と人との繋がり、対話を大切にすることで
「平和」な国にしていきたい、と。

彼の話は実に

  Simple is the best!

そのものだった。

  やりたいから やる
  やりたくなければ やらない
  ただそれだけ

  人生は 生きる か 死ぬか
  生きたいから生きるんでしょ?

  この場も 参加するか 参加しないか
  したければする したくなければしない

  ただそれだけのこと

私には、とてもわかりやすい言葉だったし
私が常に考え、立ち戻っているところでもあった。

  しがらみとか皆さん言いますが
  自分でしがらみを作ってるんですよ
  囚われの身に自分からなってるんです
  それは、精神の奴隷―
  僕は奴隷にだけはなりたくない

彼は幼い頃からの体験を通して、聴衆に語りかける。

  インスピレーションは衝動
  天才はいないと僕は思ってます
  天才と呼ばれている人に何人も会いましたが
  みんな物凄く練習しているし
  寝る間を惜しんで努力をしている
  あの人は天才だから・・・というのは
  自分が努力しない言い訳ですよね

言葉は若干違うかもしれないが
上記のようなニュアンスのことを語ってくれたと思う。

  創造者は、生き方を追究するものなんだなぁ
  辿っていく過程が、似てるよなぁ…

同じようなことを日々考えている私は
ふと、そんなことを思った。

彼は、世界を歩いていろんな生き方を学び
「人間は自由なんだ」と言う考えに辿り着いた。

  やりたいことをやっていたら食えない

と思った時期もあるそうだが、ある人に

  食えなかったら飢え死にすりゃいい

と言われ

  そうだ…本当にそのとおりだ!

と思ったそうだ。

そこから、ひたすら「やりたいこと」だけをやり続け、今に至る。
彼は飢え死にせず、道はどんどん広がっている。
そこには人知れぬ努力があるのだろう。

  障害なんてものは、単なる不都合でしかないんですよ

しんどくなるときもあるだろう。
悩む瞬間もあるだろう。
それを、うまく切り替え
「やりたいこと」を一番手にドーンと置いて
熱い情熱で走り続けている人…

そんな印象を受けた。
  
  Simple is the best!

最近、これを実感していた私にとって
彼の言葉は後押しのように感じられ
講演会終了後、なんとも言えぬ爽快感があった。

牧さんの演奏と紀里谷さんの講演会
どちらも私の栄養となる貴重な時間でした。

牧さん、お誘いいただいて
本当にありがとうございました