蜜柑のつぶやき ~演出家の独り言~

NPO法人劇空間夢幻工房の演出家/青木由里の日々の呟き。脚本執筆・役者・ワークショップ講師も兼業する舞台人日記♪

劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演「ISHIN version.2024」

NPO法人劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演
タイトル 『ISHIN ~狼たちは最果てに~ version.2024』
脚本・演出 青木由里
出演 青木賢治/栗生みな/村松沙理亜/清水まなぶ/井田亜彩実/導星ゆな 他

日時 2022年9月8日(日)11:00~/15:30~
会場 飯山市文化交流館 なちゅら 大ホール
チケット予約フォーム:https://www.quartet-online.net/ticket/ishin2024

皆さまへ感謝を込めて晴れやかに開催‼
どうぞお楽しみに‼

岸田戯曲は面白い! #初 #東京公演 #演劇 #地方劇団 #岸田國士

2018年01月12日 13時41分30秒 | 日記

昨日は劇団員2人の集中稽古。

「行間を読む」と言葉で言うのは簡単だけどね。
腑に落ちるところまで理解を深めるのは容易ではない。

因みに大辞林には下記のように記載されている。

行間を読むとは・・・
文章には直接表現されていない筆者の真意や意向を読み取ること

直接表現されていないものをどのように読み取るのか。

自分の人生経験や知識を総動員してイメージする―

これに尽きるんだよね。

そうは言っても、自分とは異なる時代
環境を生きる人物を演じるわけで
つい「経験がないからわからない」と
言いたくなるところだろうが、演じる以上
「わからない」では済まされない。

私は記憶にないことは表現できない、と思っている。

故に役者は、いつでもイメージを最大限
膨らませることができるように
観察眼を磨き、様々な表現を記憶にインプットしたり
自分の感情をいつでも動員できるように
皮膚間感覚を研ぎ澄ませることが肝要なのだ。

日常はね・・・
感覚を鈍らせたほうが楽なことも多々ある。

で、防御壁を厚くして自分を守っている人もいるし
自分基準の色眼鏡を用いて
自分とは異なる価値観の人間を排除して
自分を守ろうする人もいる。

動物の自己防衛本能かもね。

ただ本格的に役者を目指そうと思ったら
この防御壁は邪魔な存在。

それと・・・

演劇をするしないは別にしても
防御しながら生きるよりは
自然体で生きたほうが
もしかしたら楽かもしれないし・・・

話がずれた(^-^;

演劇における行間を読むポイントを
いくつか挙げてみよう。

●科白とト書きから読み取る力
 人物の特徴、性格、生活環境、生い立ち
 人物同士の関係性・距離感、舞台空間イメージ
●具象的な想像力
●感情変化のポイントの抽出
●感情、行動の適切な基準設定

この基準設定、適切な基準を発見できればいいんだけどね。
どうしても自分基準になりがち。

異なる人物を演じるには、この基準が重要だと私は思う。

キャラ変化で、短時間であれば
ごまかしは効くかもしれないけど
今回は短編とは言え一作品30分~40分
しっかりと基準を持っていないとブレるし
万が一アクシデントがあった時、対応できない。

現時点での稽古方法は、いたって単純。

徹底的に役者に「なぜ?」を投げかける。

私はこういう稽古、とっても楽しい(^.^)

劇団員曰く「発見すると面白い」

だよね~

そして・・・

発見ポイントを素早く見極められるようになると
「役作りが楽しく面白くて」と言えるようになるだろう。

これまでも役作りの方法については
伝えてきたつもりだけど、まだまだ甘かったわ・・・

今がターニングポイント!

時間は限られているけど、焦らず
彼らが自分で発見するのを待とう。

来月に入ったら一気にギアを上げて行く予定(^.^)

にしても・・・

やればやるほど「岸田戯曲」の凄さを感じる日々。

芝居は行間の捉え方と演出で
全く異なるステージになるものだが
岸田戯曲は読み解いていくほどに
感情や行動が絞られていくんだよね。

ぼんやりしていた人物像が立ち上がってくる・・・
そんな感じ。

最初に読んだイメージのまま作ろうとすると
どこかで齟齬が生じ、人物が崩壊する。

一瞬いくつかの選択肢があるように思える箇所に
選択肢を狭めるト書きが書かれていたり・・・

「紙風船」は岸田氏の初期の作品。
「留守」は、それから2年後の作品。

この2つを見比べると精度の違いが明らかだ。

「紙風船」は遊び(行間)が多く
設定も自由度があるように思う。

が、「留守」になると相当限定されている。

とすると、「留守」の3年半後の作品
「ここに弟あり」は更に限定されていく―

兎にも角にも岸田戯曲は面白い♪