いつはりに なれてまことが 虚仮に見え あだの狸の 袴をあがむ
*今日は一年前のツイートから持ってきました。
「虚仮」とか「あだ」とかいう二文字で意味の深いことばは便利なのでおぼえておきましょう。「あだ(徒)」は誠意がないとか、はかないとか、無駄だとかいう意味だ。「虚仮(こけ)」は実体がないとか、愚かなこと、という意味だ。
嘘ばかりの世界になれて、本当のことが馬鹿に見え、誠意のない狸の袴をあがめる。
こんなことはよくありますね。今の世界は、嘘の方が本当らしく見えるものですから、誠意のない嘘ばかりの芸能人のサインを神棚にあげたりしているなどということがよくある。
かのじょも一時期、新興宗教に凝っていた時がありました。三十代のころ、何か高いことが勉強したいと思っていたかのじょは、あることをきっかけにある宗教グループに入ってみたのです。教祖は一見、とても個性的で誠実な人のように見えた。
おもしろいことをやっていそうでしたしね、宗教グループのうたい文句を信じて入信したのです。最初のころは、その教祖に夢中になりました。なんでもその教祖の言うことが一番のような気がして、熱心にやっていた。だが、いつか、教祖の行動に疑問を感じるようになり、ある日突然やめてしまった。
結局のところ、その教祖の言っていたことはほとんどが嘘でした。かのじょはその経験から別のことを深く学びました。真実の振りをする嘘がどんなに上手に嘘をつくか、その嘘を守るためにどんなことを裏でしているか、ということです。
嘘というのは、自分を本当のことにするために、実にうまく、裏で汚いことをやっているものなのです。だから人はよく、本当よりも嘘の方がよく見え、本当を捨てて嘘に走ってしまうのだ。
あなたがたも、そうでしたね。偽物の美女があまりにもよくできていたから、本物の美女をみんな殺してしまった。男の思い通りにならないというだけで、馬鹿にして殺してしまった。
そんなものがいなくても、ほかにも美人はいると思っていたのです。男は馬鹿みたいな、計算のしやすい美人のほうがよかったのです。ですが、感覚が進化して、そんな美人の正体がどんなものか、自分を美女にするためにどんなことをしているかがわかったら、一斉に逃げた。
あだの狸とは良い言いようだ。誠意も何にもない、人を化かしている狸のようなものの、袴をあがめる。要するに、偽物の美人のはいているソックスのようなものをあがめている。
そんな情景が、この世界のあちこちにありましたね。今も見かける。
しかし、そんなものの馬鹿らしい正体もだんだん見えてきた。この世界で踊っている嘘たちは、真実を見抜く進化した人類の目にさらされている。
さて、これからこの世界はどうなっていくでしょう。