小諸 布引便り

信州の大自然に囲まれて、風を感じ、枝を眺めて、徒然に、社会戯評する日帰り温泉の湯治客です。愛犬の介護が終了しました。

=蝉の羽化を観察する=生命誕生の3時間のドラマ

2011年07月31日 | 自然・植物・昆虫
いつのことであったろうか、忘れてしまったが、未だ、子供達が小さい頃だったであろう、雨上がりの夕方になると、蝉の幼虫は、土が、柔らかくなるのを知っているのであろうか、老犬と夕方の散歩から、戻ると、蝉の抜け殻らしきものを発見したので、近づいてよく、見ると、未だ、背中が割れていない。ひょっとしてと思って、慎重につまむと、小さい手足を動かした。潰さぬように、観察する為に、室内へと持ち込み、巻いたすだれに、そっと置くと、ちょこちょこと、登りはじめ、暫くして、じっとし始めた。すわ、羽化の準備かと思い、身構えるも、一向に、変わった様子が見えない。じっと、手持ちぶさたで、観察するわけにもいかないので、料理をし始めると、暫くして、何やら、白い緑色がかったものが、明らかに、黒い目をもったその生命体は、背中をのけ反らしながら、90度の角度で、殻を突き破り、更に、弓なりに、背筋をそらせ始めたではないか!羽は、未だ、鳥の雛のように、縮こまったままである。6本の手足のうち、前足が、まず、伸び始め、血が循環し始めた。長いくちばしも、いつの間にか、完全に、一直線に、伸びきっている。全体的に、おしりの付け根を除いて、上半身以上は、もう、殻の外である。ここまでで、約1時間である。暫くして、気がつくと、もう、6本の足は、既に、長く伸びて、殻の上をしっかりと捕まえる形で、全体が、羽を除いて、殻の外に、出た。羽は、未だ、白っぽい、緑色で、透明感がある。まだ、血液が、十分、廻っていないのであろう、4枚の羽には見えない。盛んに、羽を、開こうとする仕草をする。やがて、長い方の羽が、すっくと、伸び始め、徐々に、背中の後ろで、合わさり始める。成程、4枚ある。未だ、白い透明というよりは、やや、薄緑がかった色で、文様が、透き通っている。血の循環が、未だ、羽の先々まで、行き渡ってはいないのであろう。ゆっくりと、蝉らしくなりつつある。胴体部分も、薄緑色から、徐々に、肩の辺りが、茶色味がかってきた。最終的には、茶色い黒っぽい蝉、アブラ蝉の雌に、なった。体制を調えてから、約3時間後の生命誕生のドラマであった。