【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

「知ってる知ってる」/『トロール・フェル(下)』

2008-09-11 18:52:03 | Weblog
 総裁選の候補が出そろいましたが、もうマスコミは誰が当選か決めつけて報道をしています。これって「総裁選なんかただの茶番」と言っているも同様で、ずいぶん失礼な態度だなあ、と感じます。(実際に茶番なのかもしれませんが、それならそれで「茶番だ」とはっきり言って欲しい)
 選挙の時にも開票が始まった瞬間に「当選確実」と報道されることは珍しくありません。これまた選挙そのものをずいぶん軽く扱っている態度のように感じます。マスコミが当選者を「決定」して、開票作業はその確認でしかない、といった感じになりますから。

 話を始めるとちょっと聞いただけで「知ってる知ってる」と騒ぐ子どもがいます。自分が何を知っているかが自慢で仕方ないのでしょうが、そういった賢しらで自己アピールがしたくてたまらない子どもとマスコミの態度には共通点があるような気がしてなりません。

【ただいま読書中】
トロール・フェル(下) ──地底帝国の扉』キャサリン・ラングリッシュ 著、 金原瑞人・杉田七重 訳、 あかね書房、2005年、1300円(税別)

 どん欲な兄弟バルドルとグリムは、ペールを便所に閉じこめ、あろうことかヒルデの幼い双子の弟と妹を攫います。トロール王への贈物として。やっと脱出できたペールは双子の奪還のためにヒルデとトロール山へ向かいます。時は冬至。トロール王の王子と王女の結婚の日です。お客を迎えるために山頂がぱっかりと開く、特別の日です。
 ペールとヒルデは、双子の身代わりとしてトロール山にとどまることを決心します。もう人間界には帰れないのです。そのとき、バイキング船で新大陸にまで行ってしまって(この話は、作中では唯一未完の「お話」として語られます)やっと帰還できたヒルデの父親が村の住人たちとトロール山に乗り込んできます。しかし、圧倒的な力を持つのはトロールの側。しかもペールとヒルデは自らトロールの世界にとどまるという「約束」をしているのです。一度約束したことを、勝手に破るわけにはいきません。一体どうやったらこの状況が打破できるのでしょうか。

 動物たちは人語を解し、豚にはまだ牙が生えています。実はそういったことさえ“伏線”で、物語の別の局面で生かされます。スピード感溢れる展開で一気に読めます。ただし「ジェットコースター」ではなくて……なんて言うかな、自分の足で山道を「ひゃっほー」と叫びながら駆け下りるような感覚、と言ったら良いかな。読むこと自体が快感です。さて、続編を図書館で借りて来なきゃ。