このまえ一家で大阪に行ってきました。大阪駅北側のでかいビルの空中庭園を20数年ぶりに訪れたら、記憶にあるのとずいぶん夜景が変わっていました。大阪駅の南側に高層ビルが増えていて、“地上の星”がずいぶん分厚く増えていたのです。
ただ、地上の星の多さと、そこで見ることができる空の星の数は反比例するんですよね。その両立ができたら、というのは、見果てぬ夢なんでしょうか。
【ただいま読書中】『墓標なき草原 ──内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録(下)』揚海英 著、 岩波書店、2009年、3000円(税別)
内モンゴルでの虐殺は「モンゴル人vs漢人」であるだけではなくて「洗練されたモンゴル人vs粗野で無知な漢人(+粗野で無知なモンゴル人)」という構造もあるようです。で、もちろん“裸”で勝負したら、洗練された者の方が負けます。そしてそのあとでこんどは「モンゴル人vs漢人」が持ち出された、と。どちらにしても「虐殺の絞肉機(ミキサー)」に押し込まれるのはモンゴル人なのですが。
「モンゴル人虐殺は正しかった」「モンゴル人がいくら死んでも、埋める場所はある」「モンゴル人が死ねば、食料の節約になる」……下巻の目次から。
本書には「モンゴル人(の多くは被害者)」という「偏見のフィルター」がかかっています。おそらく漢民族側からは「文化大革命では漢民族も多く殺された」という“反論”があるのではないか、と私は予想します。ただ、著者はその「偏見フィルター」の存在について、無頓着ではありません。
著者はこう述べています。「文化大革命中のモンゴル人大量虐殺について、私たちモンゴル人はまだ完全に冷静に語れないのである。冷静ではない、と読者の方々に映った点があれば、それは本書の限界であると認めざるを得ない。そして、その限界はひとえに語り手たちの証言を日本語で整理した私個人にある。私は本書の限界性を他者との対話のきっかけとしていきたい」(はじめに)
私も本書を読んで冷静ではいられません。そして、その気持ちをやはり他者との対話のきっかけにできれば、と思っています。
中国政府のスローガンを無批判に信じてモンゴル人虐殺に走った人々のことを批判するのは簡単です。ただ、日本にもそういった種類の人は多いんじゃないかと私には思えるのです。なにか単純で手っ取り早いスローガンを無批判に信じて「○○をやっつけろ」と具体的な攻撃行動に出る、そしてその“運動”が終わったらまた別のスローガンと別の「○○をやっつけろ」に走る人がけっこうな数いるのではないか、と。
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ただ、地上の星の多さと、そこで見ることができる空の星の数は反比例するんですよね。その両立ができたら、というのは、見果てぬ夢なんでしょうか。
【ただいま読書中】『墓標なき草原 ──内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録(下)』揚海英 著、 岩波書店、2009年、3000円(税別)
内モンゴルでの虐殺は「モンゴル人vs漢人」であるだけではなくて「洗練されたモンゴル人vs粗野で無知な漢人(+粗野で無知なモンゴル人)」という構造もあるようです。で、もちろん“裸”で勝負したら、洗練された者の方が負けます。そしてそのあとでこんどは「モンゴル人vs漢人」が持ち出された、と。どちらにしても「虐殺の絞肉機(ミキサー)」に押し込まれるのはモンゴル人なのですが。
「モンゴル人虐殺は正しかった」「モンゴル人がいくら死んでも、埋める場所はある」「モンゴル人が死ねば、食料の節約になる」……下巻の目次から。
本書には「モンゴル人(の多くは被害者)」という「偏見のフィルター」がかかっています。おそらく漢民族側からは「文化大革命では漢民族も多く殺された」という“反論”があるのではないか、と私は予想します。ただ、著者はその「偏見フィルター」の存在について、無頓着ではありません。
著者はこう述べています。「文化大革命中のモンゴル人大量虐殺について、私たちモンゴル人はまだ完全に冷静に語れないのである。冷静ではない、と読者の方々に映った点があれば、それは本書の限界であると認めざるを得ない。そして、その限界はひとえに語り手たちの証言を日本語で整理した私個人にある。私は本書の限界性を他者との対話のきっかけとしていきたい」(はじめに)
私も本書を読んで冷静ではいられません。そして、その気持ちをやはり他者との対話のきっかけにできれば、と思っています。
中国政府のスローガンを無批判に信じてモンゴル人虐殺に走った人々のことを批判するのは簡単です。ただ、日本にもそういった種類の人は多いんじゃないかと私には思えるのです。なにか単純で手っ取り早いスローガンを無批判に信じて「○○をやっつけろ」と具体的な攻撃行動に出る、そしてその“運動”が終わったらまた別のスローガンと別の「○○をやっつけろ」に走る人がけっこうな数いるのではないか、と。
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