私は洋菓子も和菓子も好きなただの甘党ですが、洒落た和菓子屋さんに行くと、お菓子がまるで「季節のメッセージ」のように感じることがあります。小さくて素敵な甘いメッセージ。
【ただいま読書中】『「和菓子を作る ──職人の世界」展』虎屋文庫、2011年
2011年9月28日~11月6日に虎屋ギャラリーで開催された「第74回虎屋文庫資料展」の解説本です。
まずは言葉の定義集があります。その一部を抜粋してみます。
「新粉」うるち米を生のまま粉にしたもの。
「上新粉」新粉をさらに目を細かくしたもの
「上用粉」上新粉よりさらに目を細かくしたもの
「糯粉」もち米を生のまま粉にしたもの
「白玉粉」もち米を水挽きしてさらし、脱水・乾燥させたもの
「道明寺粉」もち米を蒸して乾燥させ、粗挽きしたもの
「新引粉」もち米を蒸して乾燥させたものを粉砕し、炒った粉
恥ずかしながら、私はこれまで「米の粉なのに、いろんな名前があるもんだなあ」程度にしか思っていませんでした。
餡も、虎屋では40種類あるそうです。そんなことを言われたら、全種類食べてみたくなるじゃないですか。
「撰小豆(よりしょうず)」という言葉も紹介されます。小豆をお菓子に粒のまま使うときに、一粒ずつ手で選別する作業のことです。こんどからそんなお菓子をいただく場合、最敬礼してから、かな。
同じ「ねる」でも、「煉る」は加熱しながらかき混ぜること。「練る」は加熱せずにかき混ぜることです。
室町時代に創業したお菓子屋さんだけあって、言うことに一つ一つ「歴史」が含まれています。本書には「お菓子の作り方(具体的な手技)」「一人前の職人になるまでの過程」「史料の挿絵」などが含まれ、「良い味」がする小冊子です。