【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

絶対零度

2013-04-10 06:34:18 | Weblog

 絶対零度よりも低温は存在しない、と言われても、なんだか釈然としません。時間にも虚時間があるように、温度にも虚温度のようなものがあって、そちらの“モード”ではもっと“低温”にできるのではないか、なんて妄想がむくむくと湧いてしまいます。
 そうそう、ビッグバンより前の世界には、温度は存在していたのでしょうか? そもそも「世界」が存在しない?

【ただいま読書中】『世界で一番美しい元素図鑑』セオドア・グレイ 著、 ニック・マン 写真、武井摩利 訳、 若林文高 監修、創元社、2010年(11年7刷)、3800円(税別)

 この前読んだのは『世界で一番楽しい元素図鑑』、そして今回は「一番美しい」です。出版社も差別化するのが大変ですね、とありきたりの感想を私は先ず持ちます。
 「楽しい」は元素をグループ化していましたが、こちらは律儀に元素を「1番」から順々に登場させます。面白いのは、希ガスのところで、「楽しい」と同じ「ネオン管」が登場することです。ただ「美しい」の方が写真がでかくて、迫力と美しさはたしかにこちらの方が上、と見えます。
 写真が大きな分だけ文章は少なめになっていますが、著者の文章に漂うユーモアは私と波長が合います(「楽しい」の方もユーモアがありますが、そちらの方が波長が合う、と言う人もおられるでしょう。ぜひ両方を読んでみてください)。巻頭言としてルクレティウスの『事物の本性について』からの引用がありますが、その格調の高さにびびる必要はありません。とにかく楽しくて美しい本です。
 そうそう、著者は、「周期表テーブル」(本書にその写真があります。周期表の形をした木製のテーブルで、それぞれの元素の所にそれぞれの元素標本が置かれている、という面白いもの)を作製したことに対して、イグ・ノーベル賞が贈られています。このテーブルの写真だけでも、一見の価値がありますよ。
 いやあ、科学って、楽しい。