「世界最高」を連発する政治家自身が、世界最高の政治家だったら良いのにね。
【ただいま読書中】『ビブリア古書堂の事件手帖(4) ──栞子さんと二つの顔』三上延 著、 メディアワークス文庫、2013年、570円(税別)
これまでの3巻は“連作短編集”でしたが、こんどは一冊丸々江戸川乱歩だけです。江戸川乱歩の(大人向け書籍)全冊そろいのコレクションを引き取らないか、という依頼がビブリア古書堂に舞い込みます。ただしそのための条件は、金庫を開けること。なんと、ダイアルと鍵とパスワード入力が必要だという三重の関門が設けられた特製の金庫です。そこで紹介される江戸川乱歩の作品群の数々と彼の人生についての蘊蓄は、「誰でも知っている作者」のはずなのに、意外なことが多いのには驚かされます。
そこに、十年前に栞子さんたち家族を捨てて家を出て行った母親が現れます。10年間何をやっていたのか、そもそもなぜ失踪したのか、今になってなぜ現れたのか……すべてはほのめかされるだけで詳しくは全然語られません。
そんな中、大輔と栞子さんの関係はまた一段ステップアップします。と言っても「デート」の約束をしただけですが。
それにしても、前巻では栞子を目の敵にしていたヒトリ書房の主人にもそれなりの“事情”があったことがわかった上に、彼と書店の従業員との間の長く微妙な関係があることがコメディリリーフ的な味付けとなっています。今回は「古書の謎に囚われた人々の関係の謎」がいろいろ深く掘られていて、このシリーズの終焉が予感できます。ちょっと惜しい気もしますが、あと1冊くらいが“ちょうど良いところ”とも私には思えます。主人公以外の他の登場人物の“外伝”は読みたい気がしますが。