テレビで群れているコメンテーターの多くに私が好感を持てないのは、そのコメントが浅薄で単なる印象批評だったりレトリックを駆使して人に強い印象を与えることだけを狙ったものであることが大きな理由ですが、もう一つ、彼らがコミュニケーション技術が下手くそなことも大きな要因です。彼らは人の話をちゃんと聞かないでしょ? 耳がなくて口だけの存在って、うざいだけ。
【ただいま読書中】『剣嵐の大地(3) 氷と炎の歌3』ジョージ・R・R・マーティン 著、 岡部宏之 訳、 早川書房、2007年、2800円(税別)
少しずつ話は収束を始めます。主要な視点人物は北を目指し、その結果出会うべき人が出会い、枝が何本か切り払われて(中にはずいぶん太い枝もありましたが)木や林の見通しがよくなりいくつもの小川が合流して川になったかのようにストーリーはしずしずと進み始めます。「3」とか「7」とかの数字が何度も登場しますが(特に「3つの裏切り」が気になります)、そういえば「破られた宣誓」はいくつだったっけ?と私は皮肉な思いを噛みしめます。
本書の表紙は、どう見てもサムウェル・ターリーです。デブでぐずでのろまなおちこぼれ。たしか最近は壁の向こうで野生人や異形人に追われて、ぐずぐず泣きながら退却をしていたはずですが、表紙絵ではなんだか颯爽としています。実際に本書で、地下の秘密通路から登場したときには、まるで“ヒーロー”のようです。基本キャラはもちろんまだ弱虫なのですが、それでもそれを制して決断をすることができるようになっています。「男子三日会わざれば刮目して見るべし」ですな。
「壁」に野生人の大部隊(おそらく十万以上)が殺到します。人間だけではなくて巨人やマンモスまで混じっています。守備をする夜警団に援軍は期待できません。隊員は次々倒れ、いつしかジョンが指揮を執ることになってしまいます。本人がそれを望んだわけではないのですが。
わが愛する“小鬼”ティリオンは、「王殺し」として裁判(あるいは茶番)にかけられています。すべての証拠と証人は彼に対して「有罪!」と叫び、擁護するものは皆無。しかしそこに過去の因縁が立ち上がり……(ちなみに「殺し屋(スレイヤーslayer)」と呼ばれる者は……ジェイム、ティリオンそして、サム。なんとも珍妙な取り合わせです(プリエンヌも王殺しと呼ばれましたが、誤解は解けたから除外します)。そういえば「手を切られた男」は二人、ジェイムとダヴォスで、「処女妻(あるいは処女の未亡人)」も二人。結婚披露宴で公然と殺人が行なわれるのも2回。これらもどこかで“キリ”をよくするために三人(3回)になるのでしょうか)
壁で孤軍奮闘していたジョンもまた「裏切りの罪」を問われて即席の軍事裁判にかけられます。「現実の世界」を見ることよりも「おれはお前なんか嫌いだ」の感情の方を優先する人が、世界を動かそうとしています。
ティリオンとジョンは意図的に死地に追い込まれます。それも“味方”の手によって。それも、一度は助かったと思わせておいてもう一度落とされるのですから、運命は念が入っています。しかし……しかし……しかし……ここで二人の心に仕込まれた“毒”があとでどのように育っていくのか、気になります。
……ということで、「乱鴉の饗宴 氷と炎の歌4」に続く。また図書館から借りてこなくては。
【ただいま読書中】『剣嵐の大地(3) 氷と炎の歌3』ジョージ・R・R・マーティン 著、 岡部宏之 訳、 早川書房、2007年、2800円(税別)
少しずつ話は収束を始めます。主要な視点人物は北を目指し、その結果出会うべき人が出会い、枝が何本か切り払われて(中にはずいぶん太い枝もありましたが)木や林の見通しがよくなりいくつもの小川が合流して川になったかのようにストーリーはしずしずと進み始めます。「3」とか「7」とかの数字が何度も登場しますが(特に「3つの裏切り」が気になります)、そういえば「破られた宣誓」はいくつだったっけ?と私は皮肉な思いを噛みしめます。
本書の表紙は、どう見てもサムウェル・ターリーです。デブでぐずでのろまなおちこぼれ。たしか最近は壁の向こうで野生人や異形人に追われて、ぐずぐず泣きながら退却をしていたはずですが、表紙絵ではなんだか颯爽としています。実際に本書で、地下の秘密通路から登場したときには、まるで“ヒーロー”のようです。基本キャラはもちろんまだ弱虫なのですが、それでもそれを制して決断をすることができるようになっています。「男子三日会わざれば刮目して見るべし」ですな。
「壁」に野生人の大部隊(おそらく十万以上)が殺到します。人間だけではなくて巨人やマンモスまで混じっています。守備をする夜警団に援軍は期待できません。隊員は次々倒れ、いつしかジョンが指揮を執ることになってしまいます。本人がそれを望んだわけではないのですが。
わが愛する“小鬼”ティリオンは、「王殺し」として裁判(あるいは茶番)にかけられています。すべての証拠と証人は彼に対して「有罪!」と叫び、擁護するものは皆無。しかしそこに過去の因縁が立ち上がり……(ちなみに「殺し屋(スレイヤーslayer)」と呼ばれる者は……ジェイム、ティリオンそして、サム。なんとも珍妙な取り合わせです(プリエンヌも王殺しと呼ばれましたが、誤解は解けたから除外します)。そういえば「手を切られた男」は二人、ジェイムとダヴォスで、「処女妻(あるいは処女の未亡人)」も二人。結婚披露宴で公然と殺人が行なわれるのも2回。これらもどこかで“キリ”をよくするために三人(3回)になるのでしょうか)
壁で孤軍奮闘していたジョンもまた「裏切りの罪」を問われて即席の軍事裁判にかけられます。「現実の世界」を見ることよりも「おれはお前なんか嫌いだ」の感情の方を優先する人が、世界を動かそうとしています。
ティリオンとジョンは意図的に死地に追い込まれます。それも“味方”の手によって。それも、一度は助かったと思わせておいてもう一度落とされるのですから、運命は念が入っています。しかし……しかし……しかし……ここで二人の心に仕込まれた“毒”があとでどのように育っていくのか、気になります。
……ということで、「乱鴉の饗宴 氷と炎の歌4」に続く。また図書館から借りてこなくては。