The Wine Heat!

オテル・ド・ヤマダ ワインフォーラムの主催者であるDr.ヤマダのワインな日々の記録です。

ル・ドームとヴァランドロー

2013-02-03 06:42:23 | ワイン
今となっては聞きなれた名前ではあるけれど、
当時最初に聞いたときには、誰もがある種の衝撃を覚えたはずです・・・

シンデレラ・ワインと呼ばれた、この2つのサンテミリオン!
『ル・パン』のようには行かずとも、一世風靡をした事だけは確かです。

で、ワタクシにとっての2つのワインの登場の仕方は、全く違った形だったんですね・・・

まず『シャトー・ヴァランドロー』は、何とファースト・ヴィンテージのプリムール買いの話でした。

とある並行輸入の会社から『95’プリムールの最高値』、その年は『ムートン』だったのですが、
その『ムートン』よりも高値のサンテミリオンがあるとのこと。
その人が言うには、だまされたと思って買っておいた方がイイ!ということでした。

その当時、どこの馬の骨状態の『ヴァランドロー』でしたので、
予定の半分だけをお付き合いし、翌年まで買っていたのを忘れていたわけですが、
翌年の仙台のワイン専門店の店先で、『95’ヴァランドロー』の価格表示を見てビックリ!
何とプリムール値の10倍に跳ね上がっていたではありませんか!

その時にシンデレラと言う意味を、身を持ってジッカンした訳です。

一方『ル・ドーム』は西麻布の例の妖しいワインバー『T』での初お目見えでした。
面白いサンテミリオンがあるというので、じゃあそれ!となったのですが、
何とも素敵な、イタリアワインもビックリのエティケットで、
沈んだ味わいよりも、エティケットの魅力で記憶にとどめた1本といったら失礼か・・・
まあ『ル・ドーム』との出会いは、そんな感じでありました。

さて、今回図らずも『07’ル・ドーム』『04’シャトー・ヴァランドロー』を同時に御相伴に与る機会を得、
2つのサンテミリオンのスタイルの違いを白日の下に晒すことが出来たのですが、
これもひとえに、Tチャンマン氏の思し召し・・・



ヒジョーに納得のデギュスタシオンではありました!

で、飲んでみましたところ、喩えれば『ル・ドーム』は月、『ヴァラドロー』は太陽。

『ル・ドーム』は寡黙で、内省的で、沈着にしてシリアス・・・
それに対して『ヴァランドロー』は多辯家で、外交的で、意気軒昂にして直情的な味わいなんですね。

これはカベルネ・フラン・バランスとメルロ・バランスのセパージュによるものだけではなく、
シャトーの造りのスタンスによるものなのでしょう・・・

さて、じゃあドッチが本来のサンテミリオンか?と問われれば、
ワタクシは答えるでしょう、ドッチでもないと・・・

すなわち、いずれもシンデレラなのだと・・・

ここ10年の間に、サンテミリオンの質の向上には目を見張るものがありましたが、
その牽引役となっているのは、他でもなく、まさしくこれらのシンデレラ・ワイン!

実にそのスタイルは多岐にわたり、ワタクシタチを楽しませてくれます。

値段は残念ながら、真の意味でのシンデレラにはなりませんでしたが、
そんなことなどサレカマナイデ、まずはもう少しの間、追い求めてみることに致しましょう。