「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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いったい、どのくらいの土壌汚染から凌げなくなると考えるのか

2011-11-24 11:26:37 | 福島第一原発と放射能

 さて、徳島の講演会も多くの方に参加していただきました。地元の徳島新聞も取材にきていました。故郷というものは、大変ありがたいですし、徳島で、ガレキや給食について先進的な取り組みが、精力的に続いていることに驚愕しました。自分が、どちらかというと、元々、嫌になって、出た故郷が、思いもかけない形で跳ね返ってくる現実はうれしいものです。 これは、地元の皆さんが、こまめに給食の中身のチェックを繰り返していること、そうした流れを現実に支える政治家が一定数県内にいることも背景にあります。県内では、放射能被害者を受け入れる試みを始めている人達もいます。これも必要な方は問い合わせてください。汚染状況の程度と、いろんな放射能防御の全県的な取り組みのレベルなどを併せて考えると、徳島に避難するのは、ポイントが高いと感じました。何か、この土地に新たなムーブメントがはじまっている感じも致します。

 さて、とにかく講演会場で、多い質問なんです。いったい土壌汚染はどの程度の数値から警戒をすべきなのでしょうか。これに確定的な数値は、もちろんありませんが、何か目安になることはないかと考えています。さらに、ベラルーシの女医を囲んでの勉強会が、京都では本日午後五時から開催しますが、その席でもいろいろ確認したいと思います。彼女が話しているα線核種が、この福島第一原発事故で放出されているものが、チェルノブイリよりもかなり多く、そのために健康被害の状況が悪化拡大するスピードが早く、甚大であるなら、想定はもっともっと厳しくなります。

 小出先生が「1万Bq/㎡はびっくりして、私だったらその場には入らない」という発言をしていますが、この数値はBq/kgに直すと、150Bq/kg位です。また、チェルノブイリに詳しい専門家は「3000Bq/㎡から、健康被害がおきる可能性は否定できない」とも言います。これは、50Bq/kgです。チェルノブイリ後のフランスの平均的な汚染は30Bq/kg、西ドイツは90Bq/kg、イタリアは100Bq/kg。西ドイツやイタリアでは健康被害はおきていて、フランスは平均的な場所ではほぼおきていない。こう考えると、100Bq/kg程度から注意が必要になると僕は思いますし、150Bq/kgで、立ち入りたくないと言う感覚も理解できます。僕は考え方としては、自宅や周辺環境の平均的な数値が100Bq/kg位までなら、凌ぎたいと思う方が凌いで、すごすことはできるのだろうと思っていました(もちろんこの数値以下で、健康上の不安を覚える方が避難することは、当然の考えと思います)。ここ以上の数値の二倍、とか三倍程度、つまり200から300Bq/kg位から凌ぐことは難しいと考えています。子どもや妊婦、妊娠可能な女性に首都圏からの退避を呼びかけるのは、ほとんどのエリアで200Bq/kg程度の汚染が、自宅かその周辺にあるという現実が分かっているからです。

これは、ストロンチウムが都内、埼玉、神奈川などで、数十Bq/kgから数百Bq/kgの汚染が普通にあること。東葛地域では、プルトニウムも検出されている情報もあることなどを考え、ベラルーシの女医のα線核種からみた示唆も考え合わせると、判断はシビアになるしかありません。