俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

従業員尊重

2008-03-11 14:33:46 | Weblog
 アメリカのディズニーランドは従業員(「キャスト」と呼ぶ)を大切にする企業らしい。従業員が快適に働いていないならその不満がゲストに伝わる。従業員が気持ち良く働ければそのサービスのレベルも上がり、快適さの連鎖が生まれる。
 東京ディズニーリゾートでもこの思想は生かされており東京ディズニーシーのど真中を秘密の従業員専用通路が通っているそうだ。
 このことは単にキャストの利便性だけではなくゲストの安全性の向上にも繋がる。万一事故が起きた場合には、混雑する場内ではなく最短距離を結ぶ従業員用通路を使って病人や怪我人を運ぶことができるからだ。言わば至便な非常用通路を先に用意して、それを従業員用通路として使っているようなものだ。
 ゲストを快適に迎えるためにキャストを厚遇することは素晴らしい戦略だ。残業で疲れ果てた「名ばかり管理職」には「スマイル0円」のサービスは困難だろう。

鯨の保護

2008-03-11 14:21:42 | Weblog
 シーシェパードの行為は徳川5代将軍綱吉の生類憐れみの令を思い出させる。鯨や犬を大切にすることは勿論正しい。しかしそれが人より大切にされるなら理不尽なことだ。
 正しい目的のためなら手段を選ばないという考え方は多くの独善家に共通に見られる危険な思想だ。増してや「正しいと信じる」ことを推進するためには、それを「正しいと信じない」人に対して危害を加えても構わないという考えは狂信家のものでしかない。

思考のアウトソーシング

2008-03-11 14:14:02 | Weblog
 それぞれの人が考えるなら民主主義(多数決)は意味がある。様々な立場の人がお互いに意見を出し合って解決に向かうなら素晴らしいことだ。ところが考えない人が多数を占めれば民主主義は危険だ。彼らはマスコミを盲信して「空気」に流される。偏った情報を信じ込んで偏見に凝り固まる。多くの人が同じことを言っているという理由だけで正しい考えだと信じる。
 困ったことに自分で考えるよりも多数者に迎合するほうがずっと楽なのが現実だ。多くの人が考えるという面倒な行為を放棄している。私のような「考えることが好き」と自称している人間でも酔っ払うと考えることが面倒臭くなる。どうせよく分からないことだからと安易に不和雷同してしまう。
 正しい考えだから多数意見になるのではなく、多数意見だから正しい考えだと見なされることが余りにも多すぎる。
 ナチス・ドイツがワイマール共和国で民主的手続きを経て生まれたことを忘れてはならない。盲信は狂信に繋がる。