俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

現物支給

2008-03-23 19:35:02 | Weblog
 バブル崩壊の頃、給与の現物支給の噂をしばしば耳にした。ある家電メーカーでは系列店で使える買い物券が給与の一部として支給されたそうだ。買い物券を支給されれば系列店で自社製品を買うしかない。社員が買えば系列店はそれなりに潤うし、その家電メーカーが系列店に対して買い物券使用額の全額を支払う筈が無い。もし8掛けで支払えば経費負担は2割減る。現物そのものを支給すれば企業の負担は原価分で済む。不良在庫を押し付ければゴミが金に変わる。
 デパートではキャンペーンと称して社員に対して押し付け販売をしているらしい。中元・歳暮などで派遣店員を含めた全従業員に買い物を強制しているそうだ。かつては取引先にも押し付けていたが公正取引委員会によって禁止され、その結果相対的にノルマはきつくなったようだ。
 銀行での現物支給はどうだどうか。銀行員は現金ではなく、借金やローンを押し付けられているのではないだろうか。もし差し押さえた土地や建物を押し付けられたら、いくら高給取りの銀行員でも大変だろう。

公平な分配

2008-03-23 19:21:23 | Weblog
 公平な分配は不公平を招く。誰にでも同じ量の食事を与えれば、ある人には多すぎるしある人には少な過ぎる。子供・青年・老人の適正量はそれぞれ異なる。
 レベルの高過ぎる授業は大半の生徒には理解できない。
 働く量に応じて金銭を支給することも不公平だ。いくら時間を掛けた作品であろうと下手糞な絵を買いたいと思う人は誰もいない。音痴の熱唱は聞くに耐えない。音痴の熱唱に対してその熱意に応じた金銭を支払うような社会はあり得ない。

高齢者潰し

2008-03-23 19:14:50 | Weblog
  寓話
 ある所に下手な陶芸家がいた。彼の焼く丼は殆どが出来損ないだった。彼は「この丼鉢の馬鹿野郎!」と罵りながら毎日丼を叩き割っていた。
               *           *
 もし神が創造者なら被造物に罰を与えるべきではない。出来損ないしか作れない創造者が悪いのであって丼鉢に罪は無い。彼は創造も破壊も慎むべきだろう。
               *           *
 バブル崩壊以来、多くの企業が高齢者潰しに励んでいる。年功序列制度のせいで若年層より給料が高いからだ。この高齢者潰しが不当である理由は2つ挙げられる。
 ①育てなかった企業の責任
 トヨタのような人を育てるのが上手い企業に就職すると仕事を通じて賢くなる。社員はトヨタという企業で考える力を身に付ける。トヨタのOBは引く手数多だ。
 一方、高齢者潰しを図る企業は社員を育てない。社員には考える仕事ではなく、考えない作業ばかりをやらせるから、そこの社員は年々阿呆になる。しかし阿呆になった責任が社員本人ではなく企業にあることは間違い無い。彼は立派な「社畜」になっただけなのだから。
 こんな企業でも存続できるのは資産(資本)力のお陰でしかない。潰れそうにないほど資産力のある企業なら、その社員が馬鹿ばかりでも(もしかしたら「馬鹿ばかりだからこそ」)多くの企業が取引を望む。
 ②年金泥棒のような仕打ち
 年功序列制度においては若い内は安月給でこき使われ、中年では妥当な額が、高齢では現在の貢献以上に支払われる。このようにして一生ではその労働と賃金はバランスが取れている。これを突然成果主義を持ち出して、若い頃に残した賃金以上の貢献を踏み倒そうとするのは年金泥棒のようなものだ。