俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

易姓革命

2009-01-13 13:33:51 | Weblog
 中国には易姓革命という思想がある。統治者が「徳」を失うとそれが天災や飢饉を招く。平安を取り戻すためには現在の王朝を倒して新しい王朝を立てねばならないという考えだ。
 勿論、王の徳と天災とは何の因果関係も無い。庶民のやり場の無い怒りに乗じて野心家が権力を奪おうとするだけのことだ。
 麻生内閣の不人気もこれに似ている。麻生内閣はまだ何もしていない。何かしようとしても民主党の抵抗に会うから何もできないと言ったほうが適切かも知れない。多数の失言と放言はあるが失政はまだ無い。従来からの路線に乗っているだけだ。
 勿論、何もしないからダメだという見方は可能だ。解散はしないし雇用対策も不充分だ。しかし韓国などの多くの国のような通貨暴落という事態には陥っていないだけマシだ。通貨が暴落した国では不況下のインフレという悲惨な事態を招いている。もし日本の通貨が値下がりすれば、食料自給率40%の日本では食品の値上がりで生活は無茶苦茶になる。
 サブプライム問題をきっかけにした景気の低迷の責任を現在の統治者に押し付けることは決して合理的ではなく、少しだけだが可哀そうな気がする。

お金

2009-01-13 13:22:41 | Weblog
 金があっても幸福になれるとは限らない。しかし金が無ければ不幸になることは確実だ。つまり金は幸福のための十分条件ではないが必要条件だ。金が無ければ食うこともままならない。金を稼ぐために人は働く。決して社会参加のために働く訳ではない。
 金さえあれば自由を満喫できるなどと言うつもりは無いが、金が無ければ確実に不自由を強いられる。金の無い人は自由を失う。生活の総てが不自由になる。
 金を稼ぐことを卑しいことと考えるのは金に困っていない人だけだ。金は無くてはならない、言わば水や空気のようなものだ。第一、人間は霞を食って生きて行ける訳ではない。
 金儲けが浅ましいのは儲けることが自己目的になってしまうからだ。資産が充分にあればそれを自分や社会のために使えば良い。金は腐らないからという理由でもっと増やそうとするから畜生道に堕ちる。
 金銭欲以外の欲望は充たされると収まる。腹一杯食べればそれ以上食べようとは思わない。ぐっすり眠ればそれ以上眠りたくない。充分にお金のある人がもっとお金を使うことを考えたら景気も少しは良くなるだろう。

ワークシェアリング(2)

2009-01-13 13:01:03 | Weblog
 経団連の御手洗会長が言及したこともあり、雇用対策としてワークシェアリングが話題になり始めた。しかし欧米とは雇用形態が異なる日本では日本流のワークシェアリングを考える必要がある。
 日本独特の雇用形態として年功序列制度が挙げられる。これは言わば給料のあと払い制だ。若いうちは働きに比べて安い賃金で雇用して、高齢になれば比較的高い賃金になるという仕組みだ。
 企業の新陳代謝がうまく働いている間は合理的な仕組みだが、新規採用が減ると高給取りの高齢者ばかりが増えて人件費が嵩んで経営が苦しくなる。
 労働する側としては給料のあと払いだから、たとえ現在大した仕事をしていなくても高給を貰う権利があると考える。企業側はこんな「穀潰し」には早く辞めて貰いたいと考える。これが高齢者潰しに繋がる。
 企業は高齢者を閑職に追いやって働き甲斐を奪う。まるで一時話題になったJRの「日勤教育」のようなやり口だ。私の勤務先では、ある先輩(部長)がそれまでのキャリアとは全く関係の無い子会社への出向を命じられた。彼は激怒して出社を拒否しそのまま中途退職してしまった。古き良き時代なら出向を指示した人事部門の責任が問われかねない事件だが、人余りの現代では何ら問題にされなかった。
 こんな形で人事部門と社員が敵対するのではなく双方にメリットがある仕組みとして高齢者の週休3日制を提案したい。週5日の勤務が4日に減るので労働時間は2割減るが給料は15%程度の削減に留めるなら双方にとってメリットがある。高齢者の労働時間と人件費が減った分で若い社員を雇用できるし、高齢者も余暇が増えることで退職後の準備に取り掛かることができる。
 退職後の20年間(60歳~80歳)は一生で最も自由な時間だ。この自由時間を有意義なものにするためには、ワーカホリック(働き中毒)の高齢者の意識を少しでも早く改革する必要がある。