俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

風邪薬

2009-02-07 14:43:56 | Weblog
 風邪を治す薬が存在しないことは広く知られている。もし本当に風邪を治す薬を発明すればノーベル賞が貰えるとまで言われている。
 では現在の「風邪薬」は一体何なのか。対症療法でしかない。解熱剤とか咳止めとか鼻水・鼻づまりを緩和する薬だ。
 この中で問題とされるべきなのは解熱剤だ。風邪をひいて熱が上がるのはウィルスを退治するためなのに、解熱剤で強制的に熱を下げることはウィルスを生き長らえさせてしまう。せっかく体がウィルスと戦っているのに熱を下げていまえばウィルスは活動を強める。
 解熱剤が有害・無益だと言うつもりはない。子供が40℃を超える熱によって脳障害を起こすことがあるからだ。しかし37℃程度の熱で解熱剤を服用する必要は全く無い。必要の無い、もしかしたら有害かも知れないことに金を使うのは製薬会社に踊らされているとしか思えない。
 風邪をひいたら薬など飲まずに自然治癒力に頼って、暖かくして寝ているのが現状では最善の対処法だろう。

高額な給料

2009-02-07 14:15:26 | Weblog
 給料が高額であるということはその企業の長所と通常は考えられる。経営がしっかりしていて社員の待遇も良ければ優良企業と言えるだろう。
 しかし高過ぎる給料のために経営難に陥っている企業がある。アメリカのビッグ3と言われるGM、フォード、クライスラーの3社だ。
 アメリカの自動車業界人の給料が高いのは20世紀初期のフォード社に始まる。フォード社では自社の社員が自社の商品(自動車)を所有できるようにするという高い理念を実現するために当時としては画期的な高賃金策を採った。高賃金で優秀な労働者を集め、オートメーションシステムと徹底した分業によって高度で熟練した労働者を育成して大量販売を実現し、高収益企業となった。
 日本と違って産業別労働組合が主流のアメリカでは他の自動車メーカーも高賃金策を採らざるを得なかった。その結果ビッグ3の社員の給料は日本では非常識と思えるほど高額だ。
 現役労働者の賃金だけではない。退職者の企業年金も日本円に換算して平均で約500万円と言われている。幾ら労働者を優遇することが必要でもここまで手厚いとさすがに無理が生じる。
 こんな高賃金を支給するためには高付加価値の商品を大量に販売し続けることが必要になる。経営は付加価値の高い大型車に頼らざるを得ない。企業が儲けるために存在するのではなく、むしろ高額の給与を支払うために企業が存在するような状態になってしまった。
 そこへ(相対的に)低賃金の労働者を使うトヨタやホンダやニッサンがやって来て低付加価値の小型車をどんどん売り出した。ビッグ3が苦境に陥るのは当然だ。これはかつて安価な中国製品が日本に流入して日本のメーカーが駆逐されたのと同じ構造だ。
 現在ビッグ3は公的資金の投入によって辛うじて生き延びれいるに過ぎない。まともに生き延びるためには経営構造の改革(本来の意味でのリストラ)と高過ぎる賃金の見直しが必要だ。
 しかし賃下げは労働者としては承認し難く、強力な全米自動車労働組合が認める筈が無い。高い賃金は労働者の権利だと彼らは主張する。
 賃金を見直すためには公的資金の投入ではなく倒産というショック療法が必要なのかも知れない。倒産から連邦破産法(日本での民事再生法)に至れば、高賃金のせいで経営が成り立たないという事態からは脱却できる。労働者も経営が成り立たなくなるほどの既得権益にいつまでも甘えている訳には行かないだろう。

希望退職(2)

2009-02-07 13:55:09 | Weblog
 私の勤務先では高齢者の希望退職募集活動の真っ最中だ。役員クラスによる個人面接をして被面接者が「辞めます」と言うまで何度でも繰り返される。彼らははっきりとは言わないが「退職しなければそのことに対するペナルティとしての配置転換をする」ということを匂わせる。最悪の配置転換を想像して少なくない同僚が「希望されて」退職に応じている。
 他社ではもっときつい手法を使っているそうだ。外部スタッフを同席させてボロクソに罵らせる。「役立たず!給料泥棒!恥知らず!」と。そこで人事担当者が仲裁に入る。被面接者は味方が現れてホッとする。ついつい人事担当者に迎合して勧められるままに希望退職に応じてしまうという訳だ。
 何かに似ていると感じるだろう。そう、警察による尋問とそっくりだ。罵り役と宥め役の2人一組で尋問して容疑者が宥め約に気を許したらいかにも容疑者の味方のようなフリをして巧妙に自白へと誘導する。
 このやり方が効果的なのは自社の社員に罵り役をさせないことだ。社員同士では、苦楽を共にし、同じ釜の飯を食った仲間という意識があるのでここまで酷く罵れない。また人事担当の社員が罵れば「お前こそ給料泥棒だろう」という反発を招く。汚れ役を、2度と顔を会わせることの無い外部スタッフにやらせることによって、人事担当者は泥を被らない仲裁役を演じることができる。恨みは外部スタッフに向けられる。
 こんな他社の例を採り上げたのは決してこれが合理的だと勧めたいからではない。こんな卑劣な手法に騙されないことを勧めたいからだ。罵るのは外部のスタッフだが罵らせているのは人事担当者だということを忘れてはならない。実行犯よりも犯罪を陰で操る首謀者のほうが罪は重い。