俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

下痢止め

2009-02-17 14:31:54 | Weblog
 7日付けの「風邪薬」で解熱剤の有害性について書いたがもう1つ明らかに有害な薬がある。下痢止めだ。
 下痢は体が壊れて起こるのではない。体が壊れることを防ぐために体が意図的に起こすのが下痢だ。体内に入った有害物質を一刻も早く体外に排出するために下痢を起こす。下痢止めは有害物質を体内に留めてしまうから腸が有害物質を吸収してしまう。不快な症状から脱出するためにもっと危険な状態を招くのは本末転倒だ。まるで肉を切られることを避けるために骨を切らせるようなものだ。
 受験とか大事な会議のために下痢止めが必要になることもあろう。しかしその場合はその後遺症を覚悟しておく必要がある。下痢を止めることが有害物質を全身に蔓延させてしまうということにもなりかねない。それだけの覚悟をせずに安易に下痢止めを使うことは危険だ。現在の不快な状態から免れるために、より危険な状態を招く行為を選ぶということは麻薬に溺れるようなものだ。
 「利害」という比較的単純なはずの基準でさえ、短期的ではなく中長期的な視野を持って考えるべきだろう。

食の安全

2009-02-17 14:10:24 | Weblog
 事故米を食用米として偽装販売した三笠フーズの関係者が不正競争防止法違反の容疑で逮捕された。これを詐欺罪とすべきだという意見もあるが、まだ甘いと思う。毒物混入罪あるいは殺人未遂罪を適用しても良いと思う。
 事故米にはメタミドホスなどの毒物に汚染された米も混じっていた。こんな米を食用米として販売することは不当表示どころではなく詐欺であり、それどころか毒物が混入していることを承知で偽装販売するのだから毒物混入罪あるいは無差別殺人未遂罪でも良いと思う。
 有機水銀公害によって水俣病を起こしたチッソ水俣工場は有機水銀の毒性を充分に知らなかったから排出した。三笠フーズは有毒性を知りながら食用に転売した。知っていながら犯す罪は知らずに犯す過失より遥かに重い。またチッソ水俣工場は工業製品を作る副産物として有機水銀を作ってしまったが、三笠フーズは金儲けのために有毒な米を食用として販売した。この違いも大きい。
 危険運転致死傷罪が制定されてから飲酒運転が減ったように、残念ながら人間の倫理に期待するよりも厳罰化するほうが確実に効果があがるようだ。故意に食の安全を脅かす者には、想定される最厳罰を適用しても良いのではないだろうか。現在の食品安全法が甘過ぎるから三笠フーズやミートホープなどによる食品偽装が跡を絶たないのではないだろうか。
 そもそも事故米という言葉もおかしい。表現が婉曲すぎる。多分、騙されて買った食品メーカーの風評被害を招かないための配慮からだろうが、「汚染米」と呼ぶべきだろう。水をかぶっただけの事故米も混じっているが、一番問題なのは農薬(より正確には「殺虫剤」)に汚染された米を食用として転売したことだ。きつく表現すれば「殺虫剤によって汚染された有毒米」と呼べるだろう。

最悪の廃棄物

2009-02-17 13:51:20 | Weblog
 最悪の廃棄物とは何だろうか?
 プラスチック容器?CO2?石綿(アスベスト)?有機水銀?とんでもない。桁外れに有害な産業廃棄物がある。放射性廃棄物、つまり原子力発電所が排出する廃棄物だ。
 数万年に亘って有害な放射能を撒き散らし、物理的・化学的に処理することは不可能で、隔離する以外に処分する方法は無い。日本海溝に捨てるとかロケットに乗せて宇宙空間に放り出すといった方法が大真面目に検討されているが、そんなことをすれば汚染が広がる。もし宇宙人がいたら激怒するだろう。
 チェルノブイリ原発の廃墟は今も大量の放射能を撒き散らかし続けており周囲に近づくことさえできない。
 これほど有害な廃棄物を出す原子力発電を関西電力は「CO2を出さないクリーンなエネルギー」と宣伝している。厚顔無恥としか言いようが無い。CO2より何億倍も有害な廃棄物を出す原子力発電が「クリーン」な訳が無い。原子力発電所の廃棄物に比べれば、かつてチッソ水俣工場が排出した有機水銀のほうがマシだ。
 CO2の何億倍も有害な廃棄物を出しながらCO2の排出量の少なさだけを根拠にして「クリーンエネルギー」と呼ぶのは余りにも非常識だ。CO2さえ出さなければ何をしても良いという訳ではない。最悪の廃棄物を出す原子力は最もダーティなエネルギーだろう。