俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

ひ弱な日本人

2009-05-19 15:30:59 | Weblog
 日本人は病原菌に弱い。これが事実であることとその原因は歴史を考えれば明白だ。
 陸続きの諸国と違って島国の日本は海によって交易も交疫も妨げられた。ヨーロッパのようにペストやコレラやチフスなどの伝染病によって町が滅んだような歴史も無い。江戸時代末期にコレラ(コロリ)が流行ったくらいだ。
 これまで疫病に苦しめられなかったことは幸いなことだが未来を考えるなら不幸なことだ。なぜなら疫病は淘汰を生む。淘汰を通じて病原菌に強い民族へと進化するからだ。
 今更、病原体に強い体質を作ることは不可能だ。病原体に強いかどうかは先天的なものであり後天的にはどうすることもできない。
 生命力は「植物的」か「動物的」かに分類できる。植物的生命力とは疫病に強い・飢餓に強い・環境の変化に強いなどの特性であって、動物的生命力とは違って訓練を通じて強化できるものではない。
 強いて言えば基礎体力を高めたり栄養バランスを良くして、病気そのものではなく「症状」に耐え得る体質を築くしかない。しかしそれでも感染し易いという遺伝的短所を克服することはできない。
 今回の新型(豚)インフルエンザで感染者数では日本は世界で4番目の感染国(5月18日現在)になってしまった。これによって日本人の大弱点が暴露されてしまった。今後社会活動がますますグローバル化すればこの弱点は致命的とも成り得る。かつてバリで日本人だけがコレラに感染したようなことが世界のあちこちで起こることだろう。

話せば分かる(?)

2009-05-19 15:17:42 | Weblog
 話せば分かる訳ではない。話しても分からないから多数決という手法が使われる。多数決とは話しても分からない、「話せど別る」ということに基づいた決定方法だ。
 いくら話し合っても結論が出ない場合、2つの選択肢がある。①解決を先送りにするか②何らかの方法で結論を出すか、だ。
 ②の場合は更に2つの選択肢がある。①多数決にするか②誰かに一任するか、だ。
 一任された人にはこれまた2つの選択肢がある。①自分の意見を貫くか②双方が納得する第三の案を提示するか、だ。
 日本ではこれまではこうやって解決されることが多かったが、最近ではいきなり多数決にされることが増えているように思われる。
 多数決は一見民主的な方法のようだが危険な手法だ。意見の質を問わず量(頭数)に還元してしまうからだ。例えばA氏の財産を没収するかどうかを多数決で決めればA氏以外の全員が賛成してA氏の財産を没収してしまうという暴挙も可能だ。多数決は、多数者が少数者の権利を剥奪する手法にも成り得る。多数決はベストの手法ではなく、やむを得ずに採らざるを得ないワーストの手法と言えるだろう。

ナチス

2009-05-19 15:01:56 | Weblog
 ナチスに偏見を持たない日本人は少ないだろう。特にユダヤ人虐殺は、アメリカによる原爆投下や東京大空襲と並ぶ非人道的行為だと思っている。
 しかし第一次世界大戦の敗戦国で巨額の賠償金を課せられてハイパーインフレに苦しみ、更にアメリカ発の大恐慌にも巻き込まれたドイツがなぜあれほどの国力を持てたのだろうか。愚挙によって覆い隠された多くの善政がある。
 ドイツは景気対策および失業対策として大規模な公共事業に取り組んだ。これはどこの国でもやることだが一番大きな特徴は建設費の46%が労働者の賃金に充てられたということだ。公共事業費の大半がゼネコンの懐に入るどこかの国とは全然違う。
 少子化対策として結婚資金貸付法を定めて結婚資金1,000マルク(約200万円)を無利子で貸し付けた。単に無利子なだけではない。子供が1人生まれるごとに1/4が返済免除になるので4人の子供が生まれれば全額返済免除となった。
 あるいはスポーツ局を作って労働時間内での有給レクリエーションを奨励したり、食の安全にも配慮して世界で初めて合成着色料を規制したそうだ。
 どうもアメリカに倣うよりもナチス(国家社会主義ドイツ労働者党)に倣ったほうが現在の日本の苦境を克服できそうな気がする。ナチスを頭から否定せずに是々非々のスタンスで、歴史から葬り去られつつあるナチスの政策を再評価しても良かろう。