俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

喫煙者の受難

2009-09-01 19:21:15 | Weblog
 喫煙者は今後、社会的地位を落とすことになるだろう。
 もし3時間に1度吸おうとすれば3時間ごとに離席せねばならない。かつてのように自分の席で喫煙できるなら仕事を続けながら喫煙することができた。今では喫煙するためには仕事を中断せねばならない。
 コーヒーを飲んだり菓子を食べる人は職場を離れずに済むのに喫煙という行為だけは欲求を充たすためには職場を離れねばならない。これは喫煙者にとっては大きなハンディとなる。
 喫煙所は不便な場所に設けられることが多い。屋上であったりビルの外であったりする。こんな環境ではタバコ1本を吸うために10分以上の時間が掛かる。
 上司から見ればしばしば私用離席をする喫煙者はやる気が無いように見える。自分の席でパソコンで遊んでいる者よりも喫煙者のほうが怠け者に見える。
 個人の能力の差はある程度高度なレベルの仕事をする時にしか現れないから、若手社員の時点でのこの差は致命的となり得る。喫煙者は私用離席や私用電話の常習者と同じように扱われて低く評価される恐れがある。
 「喫煙はサラリーマンとして損をする」ということは「喫煙は健康に悪い」という必ずしも事実に基づかない理由以上に禁煙を促すための説得力があると思う。

強欲な投資家

2009-09-01 19:00:39 | Weblog
 投資家は強欲だ。自分では殆ど何もせずに金に金を生ませようとする。企業を金の成る木と考えて、自分は水(金)を与えているのだから実を得るのは当然の権利だと考える。
 誰でも金利0.1%の預金よりも3%の預金に魅力を感じるがそれと同じ感覚で投資する。少しでも多く儲けるということだけが投資の基準だ。
 投資家は高配当を求める。企業がそれに応えて配当率を上げれば株価は高騰し、投資家は頃合を見計らって売り抜ける。ここには企業を育てようという思いは全く見られない。
 投資家の欲は際限が無い。5円配当より10円、あるいは15円と幾らでも要求を拡大して歯止めが無い。経営者なら現状を知っているからこれ以上はヤバイと感じるがチャートしか見ない投資家の欲望は無制限だ。
 資本主義の根幹の株主制度がこんな状態だから企業のスタンスは歪む。長期的な利益よりも短期的な成果を追求せざるを得なくなる。いかにして株主利益を最大にするかということを基準にすれば企業経営は歪む。
 本来長期的なヴィジョンを持つべき経営者が株主に振り回されている。会社のことを真面目に考えて長期的繁栄計画を練るべき人が工場や営業所の閉鎖や人員削減に励むとは奇妙な話だ。マルクスの指摘を待つまでも無く、資本家こそ労働者の敵だ。
 企業と心中をせざるを得ない経営者や従業員よりも、企業と心中する気など全く無い株主の意向のほうが尊重されるとは真に奇妙な社会だ。
 資本主義の矛盾の根幹はここにある。人より金が優先されているからだ。
 人の自然な欲は充たされ得る。食欲も性欲も充たされればそれ以上を求めない。しかし金銭欲は金銭を得ても充たされない。それどころかもっと欲しくなる。金銭欲は不自然な欲なので幾らでも肥大する。
 強欲資本主義を生むのは金銭に対する人間の強欲だ。

機械と人間

2009-09-01 18:53:03 | Weblog
 機械は使えば使うほど劣化する。あちこちの部品が傷みそのうち壊れてしまう。機械を長く使うためには無駄使いをせず大切に扱うことが必要だ。
 いつも機械を使っている人間は人間についても同じであるかのように錯覚してしまう。つまり動いたり頭を使ったりすればそれだけ消耗すると考えてしまう。
 確かに激しく運動すれば疲労してこれ以上動けなくなる。しかし実際には鍛錬を通じて肉体は強化される。
 人間を機械と同じように考えて動くことを節約すれば筋力の劣化や生活習慣病を招く。考えることを怠れば痴呆症になる(かも知れない)。
 機械と人間の機能は全く違うということを理解していないと、劣化を防ぐ筈の行為が劣化を招く。