俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

失業

2009-12-08 16:22:26 | Weblog
 先日、英会話講師だったイギリス人のリンゼイさんの殺人容疑で市橋容疑者が逮捕された。
 事件および指名手配から2年以上経つので、てっきり富士山麓の樹海あたりで死んでいるのだろうと勝手に想像していたので少なからず驚いた。それ以上に驚いたのは彼が数十万円の現金を持っていたということだ。指名手配されているという就業のためには最悪の条件の人でも貯金ができるほどこの国は豊かなのだということを改めて思い知らされた。
 指名手配者だけではない。わざわざ指紋を変えてまで入国しようとする人もいるぐらいなのだから不法入国者でも結構稼げるのだろう。不況だと騒いでいる割には巷には仕事があるようだ。勿論多くは3Kとされる肉体労働だろう。とは言え高齢者や病弱者あるいは特殊な事情を抱えた人でなければ誰でも職を得ることができる社会で失業率が5%を超えているのはなぜだろうか。選り好みをしているとしか思えない。失業保険や生活保護という制度が一部の失業者を甘やかして、失業率を高めているようにさえ思える。
 労働は苦痛だ。働かなくても生活できるなら誰も働こうとはしない。「宝くじで1億円当たったらどうするか」という問いに対して「嫌いな上司に辞表を叩き付ける」という答えが少なくないのもその現れだろう。

我流

2009-12-08 16:08:54 | Weblog
 休みの日は必ず泳いでいるが、先日、初めて水泳を習った。とは言え10人1組のわずか45分の初心者向けのレッスンで、バタ足と片手クロールをやらされただけだった。それでも・・・・成果があった!
 片手クロールの際に教えられた、前に伸ばした腕を頭にくっつけることを両手クロールに採り入れるだけで1kmのタイムが1~2分短縮された。それだけではない。1ストローク当たりの距離が伸びた分ストローク数が減ったので体力の消耗も減り、ピッチを上げることも可能になった。今後、新フォームを固めつつピッチを上げればタイムはもっと良くなるだろう。
 考えてみれば当たり前のことだ。頭と腕が離れていれば水流は2つに分かれる。水流を1つに近付ければ流れはスムーズになり水の抵抗は小さくなる。何十年も我流で泳いでいてこんな当然のことに気付かなかった。
 改めて我流の怖さを思い知らされた。自分はこう生きて来た、自分の生き方はこうであり他人の指図など要らない、という考えは我流にすぎない。もっと謙虚になって人から学ばないと我流のままで一生を終えかねない。我流を貫けば一生間違った無駄の多いフォームで泳ぎ続けてしまう。

漢方薬

2009-12-08 15:51:23 | Weblog
 行政刷新会議による事業仕分けで、漢方薬を医療保険の対象外にするという案が出された。これは西洋文明崇拝・東洋文明蔑視という隠された本音が図らずも露呈したと思える。
 漢方薬は決していかがわしくて非科学的な民間療法ではない。千年・2千年の研究と検証に基づく立派な医薬品だ。乾燥保存した薬草などを調合する医療技術だ。しかも千年・2千年もかけて効果と副作用が確認された安全性の高い薬だと断言したい。
 西洋医学の場合、薬草をそのまま使わない。薬草に含まれる化学成分を抽出してそれを化学的に合成して薬を作る。こうして合成された化学物質が薬として認められているが、その歴史は数年から数十年しか無い。そのために想定外の副作用が生じて、サリドマイドやキノホルムなどのように販売中止になる薬が跡を絶たない。
 西洋医学では薬効のある化学物質を特定するが、一部の特殊な薬品以外ではそれがなぜ効くのかまでは検証しないし、したくてもできない。実験を通じて薬効が証明されたから薬として認められているだけだ。歴史が浅い分、漢方薬よりも危険性が高い。漢方薬は「生薬」だからではなく、長期にわたって検証されているから安全なのだ。実際、漢方薬を処方する(西洋医学の)医師も少なくない。
 仮にニンジンのβカロチンが健康に良いとしても、合成したβカロチンを摂取すれば良いという訳ではない。ニンジンを食べたほうがもっと良かろう。西洋医学の薬は合成されたβカロチンであり、漢方薬はニンジンに当たる。