もう何ヶ月も前の話だが、私は一人で美術館に行った。
ある高名な画家の絵を見るために。
そこには、いくつもの絵が展示してあったが、大きなヒマヤラの山の絵に、私は釘づけになった。
じっと見てると、そこからヒマヤラの風や空気が伝わって来るようで、まるで私もヒマヤラにいるかのように感じた。
すごい!
感動に浸る。
ずっとここに居たい!と思った。
いくら見ていても見飽きない。
心が静まり返る。
何も考えず、自分の魂も一緒にヒマラヤにいる。
夢心地になる。
変性意識状態というやつなのか。
やはり絵画には魂が宿るのだ。
この画家は、もうとうに亡くなっているのだが、こうして自分の魂を絵に宿しているのだ。
この絵のポスターからはこうしたものは伝わってこない。
やはり原画だけが持つ力だ。
写真には真似のできないものだと思う。