えーっと、小浜のお寺は8ヵ寺。
どのお寺も見ごたえがあり、とても一日では回り切れません。
しかも最初に行った天徳寺はその8ヵ寺には入っていないという・・・
ということで、今回は潔く半分の4ヵ寺を回ることとしました。
妙楽寺の次に向かったのがすぐ近くにある圓照寺です。
2kmしか離れておらず、車で5分ちょっと。
着きました。
これまで行ったお寺はどこも高野山真言宗でしたが、こちらは臨済宗のお寺です。
階段を上っていくと、全体に小ぢんまりとしており、お庭はいかにも禅宗らしい風情。
(ただし、写真は撮り忘れ・・・)
突き当りの本堂で声をかけると、ご住職が出てきてくださいました。
朱印帳をお預けし、大日如来が安置されている大日堂を案内していただきます。
臨済宗のお寺に、大日如来?ですが、ここは元々は真言宗だったのです。
このお寺は、昔春日明神の信託によって刻まれた大日如来像を、奈良三笠山から遷して、遠松寺と号したことに始まります。
当初南川沿いにあった堂宇が大洪水で流されたことから、15世紀に現在の地に移転。
宗派を臨済宗に改め、寺名も圓照寺に変わりました。
このような変遷を経て今に至っていますが、大日如来は往時の姿で、大日堂にいらっしゃるというわけです。
平安末期の特徴を残しつつ、鎌倉初期の躍動感も見られる像・・・とのことですが、私は手を合わせていたのみ。
珍しく、一人旅の若者が参拝していたので、遠慮してお堂の写真も撮り忘れました。
お庭にあったヒツジグサの写真だけはとっていたという。
そうそう、本堂の横にお庭がありました。
「庭観式林泉庭園」だそうですが、あいにく庭園知識皆無のなつみかんには猫に小判・・・
と書きかけたのですが、折角なので少しだけ調べてみました。
庭園で〇〇式というのは、「何を表現しているか」の分類だそうですが、検索しても庭観式が出てこない(泣)
普通は「浄土式」や「蓬莱式」などというそうです。
後ろの〇〇庭園は、「何で表現しているか」の分類で、「枯山水」「池泉」などが有名。
この「林泉式」は、文字通り木々や池で表現しているということのようです。
ぴったりとはいきませんが、この原則を知っていると、見たお庭の理解が少し深まる・・・かな?
ここの池にもスイレンが咲いていました。
咲きはじめのキキョウを見ながら、圓照寺を後にしました。
この時点で時刻はもう13時近くになっていました。
お腹もかなりぺこぺこになっていたので、道の駅わかさ小浜に立ち寄って昼食。
鯖サンド(ハーフサイズ)と梅はちみつティーをいただきました。
やっぱり鯖よね~
さて、次に向かったのは萬徳寺です。
こちらは真言宗のお寺で、小浜市のホームページには以下のようにご由緒が説明されています(下線部ポイント)。
「応安年中(1368から1374)安芸円明寺の覚応法印が、この地にあった天台宗極楽寺を正照寺と改め真言宗を広めました。
天文13年(1544)、祈願所となり、罪人は入寺すれば助かるという若狭唯一の「駆け込み寺」となりました。
慶長7年(1602)、城主京極高次の寄進を受けて、寺号を萬徳寺と改めました。
酒井忠勝が小浜藩主となった以後も、代々の祈願所として庇護を受けて、藩主に尊崇された寺院です。」
罪人の駆け込み寺が、藩主の祈願所になるという特異な歴史を経たこのお寺。
これまでのお寺とは少し雰囲気が異なります。
入ってすぐに案内された書院は、代々の藩主の休憩所だったそうで、部屋から美しいお庭を臨むことができます。
江戸時代に作られた庭園は、面積は1500平方メートルあり、枯山水風の書院庭園です。
先ほど勉強した庭園の呼び方で言うと、「蓬莱式枯山水庭園」。なるほど~
美しいお庭なのですが、お天気晴れ過ぎ・・・コンデジでは白砂がどうにも写真になりません。
目で見たときには、砂がキラキラ光っていたのですが・・・
お庭の奥に石段があり、そこを上ると本堂があります。
本堂には、極楽寺のご本尊でもあった阿弥陀如来(重要文化財:平安後期)が安置されています。
桧の寄木造り、素地の座像はとてもお優しい姿で、いつまでも手を合わせていたい気持ちになりました。
小浜のお寺の仏様は、どこもすぐお傍に寄ることができるのが有難いです。
このお寺のもう一つのポイントはカエデの木の多さです。
今は青もみじですが、紅葉シーズンはさぞ美しいことでしょう。
本堂前はこんな感じ。
まるでレースのような細かい葉。
赤みを帯びた葉も・・・
階段からお庭を見下ろしたところです。
右手が、お殿様が休憩された書院。
お庭の奥もカエデが沢山植えられているので、秋の紅葉は見事でしょうね。
書院の前の通路を通って、萬徳寺を後にしました。
書院といってもとても素朴な建物ですね。
ということで、今回の小浜古寺紀行はここまで。
一応植物ブログなので、最後に行った神社の近くで見たニラの花をどうぞ。
イチモンジセセリを撮ろうと思ったのに、ちょうど飛び立ってしまいました。
これもちょっと面白いでしょう。
神社のご紹介もできればよかったのですが、それは次回、残りのお寺に行った時のお楽しみということで。
長々とお付き合いくださり、ありがとうございました!
【撮影:2022/8下旬 福井県小浜市】
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紀行文を拝見した私も、心が洗われました。ありがとうございました。
あらためてご覧になった寺院をみると、真言宗と臨済宗で、いずれも長い歴史がありますね。
私の故郷の石川県も寺院の多いところですが、本願寺派の台頭で真宗に転じたものが多いのが、福井県との違いのようです。
そして、歴史のある寺院のお庭は、どれもいいですね。
小浜は小さな街で、ゆっくり観て回るのにふさわしいと思いました。
これまでは通り過ぎるだけでしたが、落ち着いて観たいところです。
勿論すぐには行けませんので、なつみかんさんの続編に期待したいと思います。
さすが、海のある奈良(@_@)
京都は、歴史の宝庫ですが、
こうして観光客の少ないお寺をのんびり写真を楽しみながら楽しむのも、穏やかな気持になりそうです
平安末期の特徴を残しつつ、鎌倉初期の躍動感、
毎週鎌倉殿を見ていると、まさにそんな時代を
写真から感じます。
そんな中に、建物、庭、日本らしい景色、
白い砂も、綺麗ですよ。
カメラって目と違う時ありますよね。
やはり人間の目って優秀です^^;
おはようございます。
このお寺も素敵ですね。
圓照寺さんに萬徳寺さん、歴史を感じます。
京都や奈良から遠く離れた地方で、これほど立派なお寺がたくさん残されてきたことが驚きです。
湖北のお寺が好きでよくお参りしていましたが、織田信長に焼き討ちされたとよく聞きました。
小浜は戦火がなかったことも影響しているのでしょうね。
仏像を拝観しながら、御朱印をいただいて、お寺の方からお話を聞く。
のんびりした旅がしたくなりました。
久しぶりに湖北の十一面さんに逢いに行きたくなりました。
又HPを見て、大日如来様と阿弥陀如来様を拝みましたよ。
大日如来様は2m50cmと大きいのですね。
圧倒される大きさですね。
「…式…庭」とは、「何を何で表現しているか」ということなんですね。
勉強になりました。
萬徳寺に庭園、素晴らしいですね。
これだけのモミジが紅葉したら、秋にはさぞ綺麗なことでしょう。
お寺巡りはいいですね。心が洗われるようです。
流石は鯖街道、鯖サンド美味しそうですね。
食べてみたいです。
後の4か所歩お寺も、行く機会があったら是非紹介して下さい。
絶対見る機会がないお寺を見せて下さって、有難うございました。
私の植物館に早速こちらへコメントをお寄せ頂き有難うございましたm(__)m
ところで、若狭と小浜のお寺巡り、素晴らしいお写真の数々、堪能させて頂きました。
最初は9月12日掲載の記事、全体読み物としても素晴らしく、紀行として行ってみたくなりますね。
因みに小浜は私は通過しただけ、鯖街道は初めて知った次第です(^_^;)
文中に注入の国道標識も洒落ています。
そして13日ご投稿の天徳寺、お寺の紹介にハグロソウやユキミバナ等綺麗な花を散らし、
レイアウトさすがです!
因みに未だ残暑の中で爪割の滝、涼しそうで、こちらは水の音が聞こえて来そうです。
更に14日は羽賀寺のご紹介、真言宗のお寺とか・・・
ご本尊の十一面観音像もご覧になったとか、良かったですね!
仕事の関係で何度も訪れ写真も撮っている茨城の雨引観音、こちらも真言宗豊山派のお寺ですが、
ご本尊の延命観世音菩薩像(重文)はご住職でも特別な日以外は拝めず、
当然私などは外でしか拝めません。
そして今回の圓照寺に萬徳寺、お寺も素晴らしいですが、ロケーション、最高ですね!
そして間に鯖サンドを挟む所は、なつみかんさんのユーモアたっぷり!
素敵なお寺巡り、重ねてお礼申し上げます_(_^_)_
今日はお寺の宗派と庭園の分類など、かなり勉強になる内容でした。
仏教の宗派は沢山あって、私はよくわかりません。
一般的に聞く宗派は、天台宗、真言宗、浄土真宗、臨済宗、曹洞宗、日蓮宗など13宗派が存在しているそうです。
さらに、宗派の中にも派閥がさらに細かく分かれており、本当に複雑怪奇です。
例えば、浄土真宗だけでも、西本願寺(本願寺派)、東本願寺(大谷派)など10の派閥があります
そして、宗派によって本尊も異なり、仏教の専門家でも、これらを全て理解するのは無理なような気がします。
庭園は「何を表現しているか」で分類されるという説明、よく理解できます。
でも、実際の庭園を見て、〇〇式とわかるのは、これまた至難の業ですね。
私はこれはパスして、庭園を見て蘊蓄を述べるのでなく、ただ「美しい!」で済ませます。(笑)
今回も、住職に大日堂を案内していただいたようですね。
訪れたお寺で、寺の人とお話をするというのは、とても有意義で大切なことです。
なつみかさんの立派なところは、ただ見学するだけでなく、コミュニケーションが取れることです。(^.^)
こちらのお寺はほとんど真言宗でした。
唯一の臨済宗のお寺も元々は真言宗のようでしたし。
歴史の古いお寺が多く、それぞれの由来も調べたら奥が深かったです。
残りの4カ寺もすぐ行きたくなりました。
(しばらく雨ばかりですけど)
石川県といえば、やはりイメージは真宗ですね。
加賀一向一揆のイメージです。
それも後から宗派が変わったのかもしれませんね。
小浜は福井県なので、石川県から足を延ばしたらそんなに遠くありません。
また機会があったらぜひ遊びに行ってくださいませ。
昔は寺社巡りが好きだったのですが、しばらく遠ざかっていました。
改めて訪れてみると、魅力が一杯です。
京都市内にも、もちろん歴史のあるお寺が沢山あるのですが、人出の多さが難点です・・
前に行った仁和寺のお庭などもよかったのですが、
人が多すぎて、はい、先へ先へ~みたいな感じになります。
一時は仏像の特徴なども調べたりして知っていたのですが、すっかり忘れてしまいました。
今回行った中では、羽賀寺の十一面観音と、萬徳寺の阿弥陀如来に心惹かれました。
平等院鳳凰堂の阿弥陀様も穏やかな表情で衆生を救ってくださりそうなのですが、望遠レンズでお顔だけ拝見する感じなので・・・
それにしてもお天気が良すぎると、それでなくてもイマイチの写真が一気にイマ億になります。
まだまだ全然修行が足りません・・・
スルーしたいけど今日は是非とも足跡残さないと(-"-;A ...アセアセ
お寺さんとか神社とかはほんと疎くて恥ずかしいです。
ただ臨済宗の文字は実家がそうなので懐かしい。
母の葬儀の時もお寺さんがこちらでは少ないということで一寸苦労したのですよ。
家は浄土真宗なのですけど、私も最近自分たちのこれからの事を考えて、お盆にみんなが集まったときもその話してたところです。
もうあちらの事を考えるようになってきています・・。
fukurouさんは湖北によく行かれていたのですね。
私も渡岸寺の十一面観音を始めとして、あちこちのお寺を巡りました。
湖北の方もすごく歴史があって雰囲気の良いお寺が多いですね。
それこそ35年くらい前の話なので、今はどうなっているか全然分かりませんが・・・
その頃から植物は好きだったので、お寺と植物をセットで楽しんでいました。
中抜けはありましたが、今になって元の趣味に回帰しています。
小浜のお寺、もっと知られてもいいように思いますが、本当に人が少なかったです。
今度は紅葉の時期に行きたいと思いますが、さすがに人が多いでしょうね~